
7月22日に東京湾アクアラインの料金体系が変わることになったのは、以前の記事でお伝えした通り。さらに3車線化やトンネル1本追加を千葉県が要望したとの報道があったので、国交省や千葉県にどういうことか聞いてみました。
時間帯別料金導入の次は片道3車線化&トンネル1本追加だって?
渋滞の解消のため、土日祝日の混雑する時間帯(13時〜20時)の料金を引き上げ、逆に20時〜24時の料金を引き下げる「時間帯別料金」を7月22日(土)から導入することになった東京湾アクアライン。
一応、来年の3月31日(日)までの「社会実験」と言う建前ですが、使いやすい&使いたい時間の料金を上げて、使いにくい&使いたくない時間の料金を下げるなんて実質的な値上げであることは間違いありません。そして、「社会実験」が終了した後も、時間帯別料金はきっと継続されるのでしょう。たぶん、この時間帯別料金を導入してもアクアラインの渋滞は解消されないでしょうから。
「千葉からの帰りに、どこかに寄ってご飯でも食べて20時過ぎにアクアラインに乗ってくれればいいんですよ」と国交省の担当者は気軽に言っていたが、1日遊んで疲れて早く家に帰りたいのにそりゃ酷というもんでしょ。
と言うのも、アクアラインの渋滞の原因は、時間帯による交通集中によるものだけでなく、道路自体の設計に起因するものもあるからです。千葉県側から川崎方面に向かうために国道409号からアクアラインに入ろうとした場合、木更津金田ICまでの合流路線が非常に短く、さらにそのすぐ先には料金所があるために慢性的に渋滞が発生してしまいます。
夕方前くらいからは行楽帰りのクルマに三井アウトレットパーク木更津帰りのクルマも加わり、アクアラインに乗るのにも一苦労するくらいの状況になっています。
さらに、やっと本線に合流できたと思ったら、今度は海ほたるまでまたまた延々と渋滞……。
こうやって考えると、アクアラインの渋滞の大きな原因は明らかに設計ミスのような気がします。本来は料金の値上げなどで交通量を制限するのではなく、道路の構造を改良することで渋滞を解消することを優先して考えるのが筋ではないでしょうか。
最初から片側3車線にしておけばよかったのに……。
とはいえ、来週から時間帯別料金が始まるのだと思い、さてさて渋滞はどうなるかと思っていたところに、「アクアラインの3車線化とトンネルの追加を千葉県が要望」と言う報道がありました。
具体的には、アクアラインの橋の部分を片側3車線化するとともに、3本目(現在は、千葉方面と川崎方面の2本)のトンネルを掘り進めるというもので、橋の部分に関しては拡幅が可能な構造に当初からなっていたそうです。
トンネルはともかく、だったら最初から片側3車線の6車線にしておいたら現在のような渋滞も招かなかったのではと思います。
片側3車線(6車線化)は当初から構想されていたそうで、千葉県のウェブサイトの「東京湾アクアラインの概要」というページにも掲載されている。
千葉県は来年度の要望として、国に対してこの片側3車線化と新たなトンネルの掘削を求めるそうですが、やはり気になるのがその建設費です。
現在のアクアラインの建設費は1兆4000億円だったそうです。しかし、アクアラインが完成したのはいまから25年以上前の1997年ですから、その間に人件費も上がっていますし、資材の価格も高騰しています。橋の部分は改修で済むのかもしれませんが、少なくともトンネルは丸々1本新たに掘ることになります。一体いくらかかるのでしょうか?
ちなみに、千葉県の担当者は、改修と追加が決まっても施工するのは国(あるいはNEXCO?)なので、建設費の試算は特にしていないとのことでした……。
思い返すと、アクアラインが完成した当時、普通車の料金は4000円(以下普通車料金)でした。そして、この高額さからなかなか利用が進まなかったため、2000年に3000円になり、さらに2002年にはETC車は2320円となり、2009年に普通車のETC料金を引き下げることを公約に県知事選に出馬した前知事の森田健作さんが当選し、現在の800円になった経緯があります。
片道3車線化&トンネル新設がいつ実現するのか、本当に実現するのかどうかは分かりませんが、この建設費はまたまたユーザーが負担する=通行料の値上げにつながるんじゃないのでしょうか。
この国の道路行政って、グランドデザインがないというか、見通しが甘いというか、行き当たりばったりというか、もう何をか言わんやです。
現在のアクアラインは建設に10年間を要しましたが、片道3車線化&トンネル新設はいったい何年かかるのでしょうか。ボクが生きているうちに完成するのかな?
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
アクアラインにロードプライシングを導入? これぞユーザー無視のお役所仕事の典型だ! サーキット走行会が数多く開催される袖ヶ浦フォレストレースウェイがあり、ツーリングスポットとしても人気の千葉県。関東周[…]
工事概要 館山道木更津南IC入口ランプ(国道16号側)において、舗装補修工事を行うため夜間ランプ閉鎖を実施。工事実施に当たって通常の車線規制では施工できないことから、ランプを閉鎖して作業を行う必要があ[…]
生活するだけで税金? EV普及のために補助金投入して普及したら増税で取り返すつもり? 三原じゅん子参議院議員が、TWITTERで「これは国民の理解を得られないだろう……!」とつぶやいたこともあって大き[…]
利用者の利便性向上には程遠いETC専用料金所 先日、さまざまなナビゲーションアプリをリリースしているナビタイムジャパンから、バイク専用ナビアプリ「ツーリングサポーター」とトラック専用ナビアプリ「トラッ[…]
高速料金問題は自民党PTの1丁目1番地。12年かかって一歩進んだと思います 2022年4月3日からスタートした“ETC二輪車定率割引”。土日祝日限定/事前に専用サイトで自分のETC機器を登録/片道10[…]
最新の関連記事([連載] 多事走論 from Nom)
補助金を段階的に上げて暫定税率廃止へと繋ぐというが、年末までに無理なく実施できる? このコラムでも何度も取り上げてきたガソリンの暫定税率が、ついに廃止される見通しとなりました。 自民、日本維新の会、立[…]
トランプ関税はバイクの世界にも影響があるのか、国内各メーカーに聞いてみました 世界中に吹き荒れている「トランプ関税」の深刻な影響。 特に、自動車に課されることになった15%の相互関税は日本の自動車メー[…]
暫定税率を廃止するなら代わりにって…… 与野党が合意して、11月からの廃止を目指すことになったガソリン税の暫定税率。 このコラムでも数回取り上げてきましたが、本来のガソリン税28.7円/Lに25.1円[…]
対策意識の希薄化に警鐘を鳴らしたい 24年前、当時、編集長をしていたBiG MACHINE誌で「盗難対策」の大特集をしました。 この特集号をきっかけに盗難対策が大きな課題に そして、この大盗難特集号は[…]
もっと早く登場するはずだったCB1000F 今日、鈴鹿サーキットをホンダが開発中のCB1000Fコンセプトというバイクが走ります。 大人気で、ロングセラーだったCB1300シリーズが生産終了になったい[…]
人気記事ランキング(全体)
空冷エンジンのノウハウを結集【カワサキ GPz1100[ZX1100A]】 航空機技術から生まれたハーフカウルとレース譲りのユニトラックサスを装備。デジタルフューエルインジェクション効果を高めるために[…]
月内発売:SHOEI 「GT-Air 3 AGILITY」 優れた空力特性とインナーバイザーを兼ね備えたSHOEIのフルフェイスヘルメット「GT-Air3(ジーティーエア スリー)」に、新たなグラフィ[…]
背中が出にくい設計とストレッチ素材で快適性を確保 このインナーのポイントは、ハーフジップ/長めの着丈/背面ストレッチ素材」という3点だ。防風性能に特化した前面と、可動性を損なわない背面ストレッチにより[…]
「特殊ボルト」で困ったこと、ありませんか? 今回は「でかい六角穴のボルト」を特殊工具なしで外してみようというお話。 バイクを整備していると時々変なボルトに出会うことがあります。今回は古い原付オフロード[…]
点火トラブルって多いよね 昔から「良い混合気」「良い圧縮」「良い火花」の三大要素が調子の良いエンジンの条件として言われておりますが、それはそのまま調子が悪くなったバイクのチェック項目でもあります。その[…]
最新の投稿記事(全体)
マイノリティ好きにはたまらない2スト250で3気筒、走りに刺激はなかったけれど海外でもファンが少なくなかった! カワサキが世界進出の勝負球として、500ccで2ストローク3気筒のマッハIIIをリリース[…]
プロテクター標準装備の冬用ライディングジャケット 一見するとカジュアルなパーカスタイルだが、中身は本格的なウインタージャケットである。本商品は、胸/肩/ひじ/背中の4部位にプロテクターを標準装備してお[…]
未塗装樹脂の白ボケ原因とツヤを復活させる方法 黒かったものが白っぽくなってくると古臭く見えてしまいます。…いいえ、「白髪」ではなくて「黒樹脂(未塗装樹脂)パーツ」のオハナシです。 新車の頃は真っ黒だっ[…]
第一世代登場は20年も前! まず最初に言っておこう。”喰わず嫌いしていると時代に取り残されてしまうぞ。いずれほとんど自動クラッチに置き換わっても不思議ではないのだ”と。なぜそこまで断言できるかというと[…]
原付の排気量区分は? 原付には、50ccまでの原付一種と51ccから124ccまでの原付二種があり、一般的に原付と言うと50ccまでを指すことがほとんど。今回の記事でも特に表記がないがきり原付一種を原[…]
- 1
- 2








































