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ガソリン税の収入が減るという前に支出を見直すべきでは

江戸時代の通行税かよ! 走行距離課税という馬鹿げた案を理解する国民がいると思う?……〈多事走論〉from Nom

2022年11月3日、「政府が走行距離に応じた課税を検討へ」という報道があり、これに多くの批判が寄せられた。税金の支出として納得のいかない施策が横行していることに対する反動もあって、これが現政権の支持率にも影響を及ぼした。かと思えば「道路利用税」と名を変えて誤魔化しに走る動きも……。これって順序が違いすぎやしませんか?

生活するだけで税金? EV普及のために補助金投入して普及したら増税で取り返すつもり?

三原じゅん子参議院議員が、TWITTERで「これは国民の理解を得られないだろう……!」とつぶやいたこともあって大きな話題になった、「政府が走行距離に応じた課税を検討へ」という報道。

ちなみに、この三原議員のTWITTERには11月15日現在、いいね! が7万6000件、リツートが2万件、コメントが6593件、寄せられています。もともと三原議員のツイートには普段から数多くのリアクションがあるのですが、これはその中でも別格。「走行距離課税」という、どこかから降って湧いたような話に多くの国民は「なんだよ、それは」という反応を示したからにほかありません。

さらに、11月10日には「なんと走行距離課税の名称を変えて『道路利用税』だと?」ともつぶやいて、こちらもたくさんのコメントやリツーイト、いいね!を集めています。

ザクッと書くと、この「走行距離課税」は、今後、政府が掲げる2050年の「カーボンニュートラル(以下CN)」を見据えてEVが普及するのにつれてガソリンの消費量が減る=ガソリン税の収入が減る(実際に現在でも減少している)。なので、その減収分を補うために受益者負担として道路を走行するユーザーに、走行距離に応じた税金を負担してもらう(ユーザーの立場だと負担させられる)という話です。

この話に大きく反発しているのが、特に地方に住む人たち。

電車やバスといった公共交通機関が少なく、あるいは皆無で、バイクやクルマで移動するほかに交通手段がない人たちにとって、ある意味、生活をする、生きているだけで税金が課せられるのと同じ話です。

地方ではなくても、バイクヤクルマを運転するのが好きで、移動は公共交通機関ではなくできるだけバイクやクルマがいいという筆者のような人間も、「なんだよ、それ」と思ってしまいます。

税収が減るのが予想されるのでほかの財源を模索するというのは当り前の話だとは思いますが、国民が望む・望まないにかかわらず、政府が主導して進めているCNのためのクルマの電動化=ガソリン税の減収のツケを、一方的にバイク/クルマユーザーに負担させるというのはいかがなものでしょうか。

ただでさえ自動車税やガソリン税など、諸外国に比しても過重な自動車関連税を支払っている我が国のバイク/クルマユーザーなのに、CO2削減など環境・温暖化対策を考えてEVに乗換え、その代わりにガソリン税の負担が減ったと思ったら今度は走行距離税なんていうものを支払うんですか? というのが多くのバイク/クルマユーザーの反応だと思います。

日本のユーザーは、取得、保有、走行の各タイミングで9種類、総額8.6兆円(国の租税総収入100兆円の約1割!)もの税金が課されている。そのうち、燃料課税の合計は約4兆1000億円だ。 [写真タップで拡大]

諸外国と比較すると、日本の自動車ユーザーの負担はとても過剰で、保有段階における税負担はアメリカの約30倍、ドイツの約4.9倍、イギリスの約2.2倍となっている。 [写真タップで拡大]

さらに言えば、政府はEVを普及させるために、減税処置や購入補助金をたんまり注ぎ込んでいるわけですから、まさにマッチポンプ。やっていること、やろうとしていることがメチャクチャです。

新税を導入するなら、自動車関連の諸問題を整理・解決してからだ!

この騒動(あえてそう書きます)の発端は、10月20日に参議院予算委員会で鈴木俊一財務大臣がEVに対する「走行距離課税」導入の可能性について発言したこと。電気で走るEVにはガソリン税のような燃料に対する課税がなく、大量の電池を搭載するEVは車体が重いため道路への攻撃性が強く、道路の維持補修の負担が増大するというのが理由でした。

そして、10月26日には政府税制調査会がEVの本格普及を見据えた自動車税制の見直しに着手し、ガソリン消費量の減少にともなう税収の減収が予想される中でも道路の維持費を賄うことができる代替財源の確保に向けて、走行距離に応じた課税をすることを検討するとしたのです。

これを受けて三原議員が冒頭のようにツイートしたのですが、実はこの走行距離課税の導入については、2009年に石油連盟が将来のエコカーやEV化を見据えて検討をするように経済産業省に提言していました。

いまから14年も前に、ガソリン税の減収対策が訴えられていたのに、エコカーやEVの導入促進ばかりに比重を置いて、容易に予想されるガソリン税の減収はその14年間のうちに真剣に議論されてこなかったように思います。

それなのに、唐突に走行距離税を検討するというのは、いつものように取りやすいところから取ろうという目論見が見え見えです。

11月17日にオンラインで開催された自工会の記者会見の席でも、永塚副会長が「(走行距離課税は)問題があります。EVの普及にブレーキをかけかねません。地方に住む方の税負担が増えることになるので、到底理解を得られない。手っ取り早く、取れるところから取ろうとしているようだ」とコメントしました。

ただでさえ、諸外国に比べて高い自動車関連税を支払っている日本のバイク/クルマユーザーを狙い撃ちにするようなやり方は到底、納得がいきませんし、生活の足として日常的にバイクやクルマを使っている人たちにとっては、走行距離税が導入されると大きく生活を圧迫する事態にもなりかねません。

さらに、すでに多国間を移動するトラックなどに走行距離税が導入されているEUでは、車両に取付けたGPSで走行距離を把握しているようですが、これがプライバシー保護の観点から問題視され始めていて、国によっては導入を撤回する例も出ているようです。

確かに政府が目指す2050年のCNに向けては、化石燃料に頼らないモビリティが求められるのは明らかですが、それにしても議論に議論を重ねて、一部の国民だけに負担がかからないような形を求めるべきでしょう。

また、新しい自動車にかかわる税を導入するのであれば、前述したように諸外国に比べて非常に高い自動車関連税や、税金の上に税金を上乗せしているガソリン税、いつまで経っても無料にならず、逆に値上げが平気で行われている高速道路料金など、ユーザーが疑問視している事柄を整理・解決してからではないでしょうか。

今後どのような検討がなされて、どういう形の走行距離税を導入しようとするのか。注視していきたいと思います。


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