映画『トップガン マーヴェリック』で主人公役のトム・クルーズが実際に駆った2台の愛機が日本上陸! その細部まで子細漏らさず撮り下ろした。特に、36年分の歳月を再現したGPZ900Rのリアルな姿は、第1作を知る者なら感涙必至だぁ!
●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明) ●写真:箱崎太輔 ●外部リンク:カワサキモータースジャパン
“Ninja”の伝説はここから始まった
滑走路で戦闘機と加速競争する姿、美人教官とのタンデム、苦悩を抱えて丘の上に佇む夕暮れ──。数々の印象的なシーンに初代ニンジャ=GPZ900Rがいた。
’86年に公開された映画『トップガン』で、トム・クルーズ演じる主人公マーヴェリックの愛機だったGPZ900R。その勇姿は、当時若者だった我々のハートを釘付けにした。映画の大ヒットともに、マーヴェリックに憧れる者が続出。ニンジャは一大ブームを巻き起こした。
あれから36年、誰も予想していなかった続編『トップガン マーヴェリック』が公開。マーヴェリックは弾けるような若者から、歳月を重ねた渋みのある大人へと成長した(ただし、無鉄砲な部分は健在!)。
往年のファンを歓喜させたのは、冒頭の場面に登場するGPZ900Rだ。36年という歳月を表現した姿に、劇中の主人公とトム・クルーズ、そして我々にも等しく流れた時の重みを感じ取り、深い感慨を覚えた者も多かったはずだ。さらにニンジャの末裔であり、撮影時に最強旗艦だったニンジャH2カーボンが新たな愛機として活躍。この世代交代も作品のテーマと固く結びついている。
──撮影で使用された2車は、’22年秋のミラノショーのカワサキブースで「PREPARE FOR TAKE︲OFF」(離陸に備えよ)との意味深なコピーとともに展示され、同年末~翌年1月、神戸のカワサキワールドでも特別展示された。現地で激写してきた勇姿を、余す所なく公開しよう!
細部は前作と異なるも、長年の相棒そのもの
今回披露されたGPZ900Rは、第1作に登場した実物ではない。続編向けに’84北米仕様「A1」を用いてユーズド処理を施した車両だ。前作と微妙に細部は異なるが、36年の歳月をリアルに経てきたと思わせる。
前作の劇中車両は、’85年型の「A2」と言われる。しかし、この黒×赤のカラーリングは純正で発売されていない。国内向けに発売されたGPZ750Rの外装を900に装着し、オリジナルペイントした説が濃厚だ。また、米国選手権AMAスーパーバイク参戦用に750が北米に数台輸出され、その外装が使用されたとも言われる。
前作ではカワサキから協力を得られず、車体からメーカー名や排気量を消す事態となったが、続編ではカワサキUSAが車両協力。一説ではレストアしたGPZを2台、H2カーボンを4台提供したという。
今回は’84初期型の北米仕様がベースのため、前作のニンジャにはなかったリフレクターがサイドカウルに追加されている。ペイントでは白ラインが細くなり、前作では白っぽいエンジンの色が黒に。タンクにはステッカーが増え、フロントフォークにもステッカーが加わっている。
前作そのものズバリではないが、「この36年の間にマーヴェリックがステッカーを追加したんだろうな」「サイドカウルが割れたから、北米仕様のカウルに交換したんだろうな」などと想像する余地があり、見ているだけで楽しい!
ベースは’84北米仕様! エイジング処理が超リアル
※後編「トップガン マーヴェリック GPz900R 劇中車マニアックス」は後日公開!
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