2017年3月に発売されたカワサキの軽二輪アドベンチャー、ヴェルシス-X250ツアラーが、現行モデルでラストと発表された。パニアケースやエンジンガードなど装備が充実しているだけに、惜しむ声が多数聞こえてくる。あらためてヴェルシス-X 250の魅力に迫ろう!
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:カワサキモータースジャパン
カワサキ ヴェルシス‐X 250ツアラー 概要
[◯] ベース車より高回転型。走りはまさに冒険志向
まずはエンジンから。このクラスで同じく水冷パラツインを積むアドベンチャー系と言えば、スズキのVストローム250があるが、それと比べると低回転域でのトルクがやや薄く、自然と4000rpmから上の回転域で発進していた。パワーが盛り上がってくるのは7000rpmからで、そこから先はレッドゾーンの始まる1万2000rpmまで気持ち良く伸び上がる。このヴェルシス-X 250、エンジンは旧ニンジャ250の180度クランク水冷並列2気筒だが、最高出力はこちらの方が2ps多い33psで、最大トルクの発生回転数は8500rpmから1万rpmへ移行しているのだ。
こうしたアドベンチャー系は、低中回転域のトルクが厚い方が扱いやすいが、未舗装路の走行を想定していることやトラクションコントロール非装備ということを考えると、あえて高回転型にしたとすら思えてくる。加えてスロットルレスポンスは、特に戻し方向でのエンジンブレーキの効きが優しく、滑りやすい路面でもコントロールしやすいと感じた。アシスト&スリッパークラッチを採用しているのでレバーの操作力は非常に軽いなど、実にいいエンジンだ。
続いてハンドリング、こちらも優秀だ。ホイールトラベル量は現行ニンジャ250比でフロント10mm/リヤ18mm長いだけなので、本格的なトレールモデルよりも車体のピッチングは大きくない。ゆえに、ネイキッドなどから乗り換えてもハンドリングの違和感が少なく、フロント19インチならではの大らかな旋回性が楽しめる。リヤサスペンションがリンク式のモノショックで、衝撃吸収性のいいワイヤースポークホイールを履いていることもあり、荒れた路面を走っているときの乗り心地の良さは軽二輪とは思えないほど。アドベンチャーらしいと感じられる大きな要素だ。
そしてもう一つ、アドベンチャーらしいと感じるのがウインドプロテクションの高さだ。スクリーンやフロントカウル、そしてハンドガードが実にいい仕事をしており、メーター読みで120km/h巡航すら余裕だ。軽二輪でアドベンチャーを名乗れる数少ない傑作、買うなら今!
[△] 乗り降りするたびに足をぶつける程度か
強いて挙げるなら、乗り降りのたびにパニアケースを蹴りやすいことぐらいか。ボルト4本で固定されているので取り外すには工具が必要だが、上面開きかつメインキーで開閉できるので使い勝手がよく、一度でも使うと手放せなくなるだろう。
[こんな人におすすめ] Vストローム250との差額は約8万円。コストパフォーマンスで勝てる
新排ガス規制に対応したスズキのVストローム250が64万6800円になったので、ヴェルシス-Xとの差額は7万9200円に。パニアケースやエンジンガードなどを標準装備していることを考えると、コストパフォーマンスでスズキに勝てる稀少な存在だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
モデルチェンジしたKLX230Sに加え、シェルパの名を復活させたブランニューモデルが登場 カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やS[…]
欧州で登場していたメタリックディアブロブラック×キャンディライムグリーンが国内にも! カワサキモータースジャパンが2025年モデルの「Z900RS」を追加発表した。すでに2024年9月1日に2025年[…]
1位:2024秋発表のヤマハ新型「YZF-R9」予想CG 2024年10月に正式発表となったヤマハのスーパースポーツ・YZF-R9。2024年2月時点で掴めていた情報をお伝えした。これまでのYZF-R[…]
1位:「Z900RS SE」火の玉グレーが2024秋登場か インドネシアでは「Z900RS」および「Z900RSカフェ」の2025年モデルが発表済み。ともに北米や欧州はもちろん、日本でも発表されていな[…]
コンパクトな車体に味わいのエンジンを搭載 カワサキの新型モデル「W230」と「メグロS1」がついに正式発表! ジャパンモビリティショー2023に参考出品されてから約1年、W230は白と青の2色、メグロ[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
モデルチェンジしたKLX230Sに加え、シェルパの名を復活させたブランニューモデルが登場 カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やS[…]
軽快性や機敏性だけでなく安心感にも優れるのが長所 2024年の夏はジムに通ってトレーニングに取り組むことを決意したのですが、私にしては珍しく、飽きることなく続いています。さらにこの夏休みは、ロードやモ[…]
OHV45度Vツインの伝統を受け継ぐ史上最強エンジンは、キャラに違いあり!! 長きにわたり、ウィリーGが熱き情熱でスタイリングを手がけ、開発技術者たちとともに魂が込められ、製品化されてきたハーレーダビ[…]
完全なMTの「Eクラッチ」と、実質的にはATの「Y-AMT」 駆動系まわりの新テクノロジー界隈が賑やかだ。以前からデュアルクラッチトランスミッション=DCTをラインナップしてきたホンダはクラッチを自動[…]
400ccライダーの感じたレブル1100T DCT 柴﨑美奈子さんは横須賀にあるバイカーズカフェ☆TWO STAR☆のオーナー。10代で免許を取得してからずっと同じ400ccのバイクに乗り[…]
人気記事ランキング(全体)
電熱インナートップス ジャージタイプで使いやすいインナージャケット EK-106:1万5000円台~ ポリエステルのジャージ生地を採用した、ふだん使いをしても違和感のないインナージャケット。38度/4[…]
欧州で登場していたメタリックディアブロブラック×キャンディライムグリーンが国内にも! カワサキモータースジャパンが2025年モデルの「Z900RS」を追加発表した。すでに2024年9月1日に2025年[…]
モデルチェンジしたKLX230Sに加え、シェルパの名を復活させたブランニューモデルが登場 カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やS[…]
誕生から10年、さまざまなカテゴリーで活躍するCP2 MT-09から遅れること4か月。2014年8月20日に発売されたMT-07の衝撃は、10年が経過した今も忘れられない。新開発の688cc水冷パラツ[…]
クリップリフター:クリップ対応の溝幅設定が細かく、傷をつけにくいクロームメッキ仕様 自動車のドアの内張やモール類のクリップをピンポイントで狙って取り外すための5本組リフター。クロームメッキ仕上げの本体[…]
最新の投稿記事(全体)
ZX-25Rターボの250km/hチャレンジに続くZX-4Rターボ トリックスターが製作したZX-4Rターボは、2024年4月の名古屋モーターサイクルショーで初披露された。すでにZX-25Rのターボ化[…]
誕生から10年、さまざまなカテゴリーで活躍するCP2 MT-09から遅れること4か月。2014年8月20日に発売されたMT-07の衝撃は、10年が経過した今も忘れられない。新開発の688cc水冷パラツ[…]
クリップリフター:クリップ対応の溝幅設定が細かく、傷をつけにくいクロームメッキ仕様 自動車のドアの内張やモール類のクリップをピンポイントで狙って取り外すための5本組リフター。クロームメッキ仕上げの本体[…]
何がいま求められているのか、販売の現場で徹底リサーチ! 「ステップをミニフットボードに交換するのに伴って、シフトチェンジペダルをカカトでも踏み下ろせるようにシーソー式にしたいという要望を耳にしますね」[…]
モデルチェンジしたKLX230Sに加え、シェルパの名を復活させたブランニューモデルが登場 カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やS[…]