高い走行性能と手頃な価格で大人気のホンダ レブル1100に、大型カウルとサドルバックを装備した「T」が登場した。クラッチ操作不要のDCT車も選べるが、今回はスタンダードなMT車をテストする。
●文:ヤングマシン編集部(青木タカオ) ●写真:山内潤也
【テスター:青木タカオ】姉妹誌WITHHARLEYで編集長を務めるなど、クルーザーに造詣の深いバイクライター。レブル300/500やゴールドウイング、BMWR18などで海外試乗の経験も豊富。
ホンダ レブル1100T 概要
ホンダ レブル1100T 試乗インプレ:安くて速い長兄にツアラー能力もトッピング
スタンダードのデビュー時から、フロントカウルは純正アクセサリーに設定されていたが、「1100T」で追加装備するフェアリングは、スモーク仕様でショートカットされたウインドシールドが備わるなど、専用パーツであることがわかる。
正面から見て、左右グリップまですっぽり覆うヤッコ型のフォルムは、アメリカンクルーザーではお馴染みの形状。ヘッドパイプから後輪へかけて真っ直ぐに低く落ち込み、ライダーの股下にくびれをつけた車体の後部にはハードサドルバッグも備わり、スポーティさを合わせ持つバガーカスタムスタイルを演出した。
フェアリングは見た目こそボリューミーで、迫力のあるフロントマスクを形成しているものの、軽量な樹脂製でメーターなどを内側に配置することも一切ない。スピードレンジが上がった時こそ見た目以上のウインドプロテクションを発揮するが、常用速度域ではハンドリングに重さを感じることはなく、おおらかでありつつもフロントの接地感のある「レブル1100」で唸ったステアリングフィールはそのまま健在だ。
18インチホイールに130mm幅のタイヤを履くフロントまわりは、クルーザーらしくフォーク角を30度としながらスラント角を2度設け、28度にキャスターを立ててトレール量を110mmと極端に増やさないのがレブル流。扱いやすさに定評ある250や500と同じディメンションで、ビギナーにも受け入れられる軽快でイージーなハンドリング特性を持ち味としている。1100Tもコーナーアプローチで車体がすんなりと寝て、切れ込む事がないままビッグネイキッドのような手応えで旋回中も落ち着いたまま。バガーカスタムとなっても、コーナーをアグレッシブに駆け抜けられるのだ。
90度Vツインと同じ爆発間隔となる270度クランクのパラツインは、低回転でリズミカルなパルス感を伴いつつ、重いクランクによって力強く車体を押し出す。高回転域までスムーズに吹け上がり、サウンドも弾けるような力強さを伴うからアクセルを開けるだけで頬が緩み、どこまでも走り続けたくなる。
スポーツモードならスロットルレスポンスに俊敏さが加わり、加速はより強烈だが、レインモードでも粒立ちをハッキリと感じ、ダルさの中から潤沢なエネルギーを蓄えつつ、ゆったりと車速を乗せていくのは痛快としか言いようがない。コイツもまた人気を呼びそうだ!
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