
歴史あるスポーツランドSUGOに新たな施設が登場する。メインゲートの右手に4月7日オープン予定のSUGO CAFÉ(スゴー カフェ)だ。一般道からサーキットに入らずにアクセス可能とあって、ツーリングの立ち寄りスポットにも有力な候補になりそうだ。
●文/写真:ヤングマシン編集部(埜邑博道) ●取材&写真協力:スポーツランドSUGO
東北地方における“モータースポーツの聖地”をリスタート
東北自動車道の村田ICからクルマで10分ほどの場所にあり、東北地方のモータースポーツの中心地となっているのがスポーツランドSUGO(以下SUGO)。その広大な敷地内には、国際レーシングコースに加え、モトクロスコース、マルチショートコース、そしてキャンプ場などが点在しています。
このSUGOに、まったく新しい施設「SUGO CAFÉ」が4月7日(金)にオープンします。メインゲートの右手、道路に面した駐車場に作られたSUGO CAFÉはSUGOのゲートをくぐらずにアクセスできるようになっているので、このCAFÉを目的に訪れやすくなっています。
このロケーションにした理由は、モータースポーツを観る、楽しむことが目的ではない方々にも来ていただき、コーヒーや食事を楽しんでもらい、同時にSUGOの雰囲気に触れてもらってモータースポーツへの興味を持つきっかけになって欲しいという趣旨からと言います。
ご存じのように、日本におけるモータースポーツ人気は長年、低迷していて、SUGOへの来場者数も減少傾向(他のサーキットも同様と思います)にあります。また、マーケットで売れているバイクは(クルマも同様)、スーパースポーツや本格的なオフロードモデルではなく、ツーリングや街乗りを楽しむための速さよりも雰囲気や乗り味を重視したモデル(クルマはSUVなど)が主流。スーパースポーツモデルなどが主流だった80~90年代と比べると、バイクという趣味がモータースポーツとは距離のあるものになってしまっています。
とはいえ、以前、本誌でインタビューしたMFJの鈴木会長が言ったように「モータースポーツはバイク/バイクライフを楽しむための強力なコンテンツ」です。
さまざまなレースを観る、モータースポーツを体験するといったコンテンツ満載のSUGOを、CAFÉをきっかけにして多くの人に知ってもらいたいという思いが込められているのです。
「蔵の町」村田で長年育まれてきた発酵食品をレシピに活用!
ただ、そのCAFÉにしても、ありきたりなものでは多くの人が足を運んでくれるものにはなりません。
そこでSUGOが着目したのが、SUGOのある宮城県村田町には江戸時代から続く「蔵の町」があること。蔵の町には特産品の発酵食品があり、CAFÉで提供する料理に発酵食品を用いることを考案しました。
今回のプロジェクトに携わったメンバー。向かって右から、SUGOの遠藤社長、桜中味噌店、大永商店、大沼酒造店、吉田シェフ。
近年、コロナ禍もあって、免疫力が向上し、健康にもいいと注目が高まっている発酵食品をCAFÉメニューのレシピに用いるというアイデアは、「観光庁 令和4年度 地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」にも採択され、SUGOと蔵の町という村田町にある2つの観光リソースを組合わせることで、県外からの観光客の誘致も行おうという計画が持ち上がったのだそうです。
村田の蔵の町で古くから作られてきた納豆、味噌、酒粕といった発酵食品を用いたレシピをSUGOから依頼されたのは、ツインリンクもてぎのMotoGP開催時に限定メニューなどを提供した経験のある「きまぐれや」の吉田友則シェフ。
蔵の町の生産者の方々と話をしながら吉田シェフが考案したメニューの数々が、4月7日からSUGO CAFÉで提供されるのですが、2月22日に報道関係者を集めてカフェメニューの試食会が開催されました。
味噌の塩分を使って仕上げた85カレー。
当日、提供されたのは「85(はっこう)カレー」と「710(なっとう)ボロネーゼ」、酒粕ミルクソフトの3種類。
塩分をすべて味噌で賄っているカレーや、酒粕バターがトッピングされたボロネーゼ、酒粕独特の風味がアクセントになっているミルクソフトは、いずれも美味しさの中に発酵食品独特の深みが隠し味になっていました。
2月22日の試食会で提供されたCAFÉメニュー。85カレーのほかに、納豆を使用して酒粕バターをトッピングした710ボロネーゼ、酒粕を使用して独特の深い味わいを実現した酒粕ミルクソフト。710ボロネーゼと85カレーはレトルトも販売予定(各650円・税込み)だ。
3月25日(土)15時には、最寄りの菅生PAにスマートインターチェンジが開通することになっていて、東北自動車道からのアクセスもさらに向上し、SUGO周辺の交通量も大幅に増える見込みとのことで、SUGO CAFÉは新たな立ち寄りスポットになりそうです。
東京を含む関東のライダーにとっては少々遠く感じるSUGOですが、東北自動車道で約3時間。人気ツーリングエリアの蔵王はSUGOから約1時間ほどですから、蔵王ツーリングのときの休憩スポットとしても活用できそうです。
そして、SUGOが取り組む新たな活動はまだまだあります。
今年も春(4月30日)と秋(10月22日)には、バイクファンのための参加型イベント「2FUN」(入場無料)を開催。体験サーキット走行やフリー走行、模擬レースなどが国際レーシングコースで行われ、パドックにはさまざまなブースも出店。SUGOを舞台に、バイクを1日中楽しむことができます。
また、広大な敷地内に点在する駐車場を使用した子供向けのランバイク練習場やモータースポーツ教室、CAFÉを目的地としたツーリングイベント、地域貢献にもなるマルシェなどなども企画中とのこと。
4月7日のSUGO CAFÉのオープンが起爆剤となって、近県のみならず、関東方面や北陸方面のライダーが一度は訪れたい場所にSUGOがなるかもしれません。また、それをきっかけにモータースポーツの楽しさに触れてもらいたいと思います。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
1986年に開催されたTBCビッグロードレースの映像をDVDに復刻収録! 前年はあいにくの雨のレースとなったが、この年は天候に恵まれ熱いレースが展開された。また、1986年からはそれまで2ヒート制だっ[…]
新メニューは「旭川 Miso Butter」と「函館 Shio」の2種類 グーテンバーガーとか懐かしいですよね(今回は関係ありません)。 バイク乗りがツーリングをすれば、各地に設置された自販機には大概[…]
2022年シーズンもいろいろなことがありましたが、全日本ロードレース選手権も最終戦を終えました。JSB1000クラスは、前戦の岡山ラウンドで中須賀克行が11回目のチャンピオンを最終戦を待たずに決めてい[…]
2022年12月より警視庁の白バイ隊も着用! より安全なライディング装備として、バイク用のエアバッグを手に取るライダーは年々増加している。なかでも25年以上の歳月をかけて研究開発し誕生したダイネーゼの[…]
PROLOGUE:エキゾーストノートという ひとつの芸術(丸山 浩) 1988年、ロードレースの国際A級に昇格し、レーシングライダーのひとりとして、そして駆け出しのモータージャーナリストとして活動し始[…]
最新の関連記事([連載] 多事走論 from Nom)
トランプ関税はバイクの世界にも影響があるのか、国内各メーカーに聞いてみました 世界中に吹き荒れている「トランプ関税」の深刻な影響。 特に、自動車に課されることになった15%の相互関税は日本の自動車メー[…]
暫定税率を廃止するなら代わりにって…… 与野党が合意して、11月からの廃止を目指すことになったガソリン税の暫定税率。 このコラムでも数回取り上げてきましたが、本来のガソリン税28.7円/Lに25.1円[…]
対策意識の希薄化に警鐘を鳴らしたい 24年前、当時、編集長をしていたBiG MACHINE誌で「盗難対策」の大特集をしました。 この特集号をきっかけに盗難対策が大きな課題に そして、この大盗難特集号は[…]
もっと早く登場するはずだったCB1000F 今日、鈴鹿サーキットをホンダが開発中のCB1000Fコンセプトというバイクが走ります。 大人気で、ロングセラーだったCB1300シリーズが生産終了になったい[…]
なぜ二輪用エアバッグをテスト? 相変わらずバイクの事故は減っていなくて、死亡事故の件数もまだまだ多い。先日、取材に伺った日本二輪車普及安全協会でもそんな話が出て、二輪の死傷者数は減少してはいるものの、[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
秋の浜松はスズキ祭り! 3つのミーティングが開催 2025年のスズキミーティングは、3つのモデルシリーズに焦点を当てて開催される。 9月7日(日) 「KATANA Meeting 2025」 会場:は[…]
今年の1月から6月までにニューモデルなどを11 機種投入した 大隅さんは、’98年にBMWジャパンに入社以来、ずっとモトラッド部門で勤務され、我々メディアと接する機会の多いマーケティング担当として働か[…]
作って、触って、攻略する。新感覚のサーキット模型 スマホケースなどの地図柄グッズを手がけるクロスフィールドデザインが、モビリティライフスタイルブランド「レシプロ」の新商品として「レイヤード ランドスケ[…]
国産から海外、EVまで! 圧巻の車両ラインナップを見よ! 総展示台数350台以上を誇る東北最大級のバイクイベント「BIKETOBER FESTA」。新車購入を検討している者から、愛車のカスタムを考えて[…]
「56design NARA」に続く新店舗が北海道に バイクアパレル&ファッションブランド「56design(フィフティシックス・デザイン)」が、北海道札幌市に新店舗「56design SAP[…]
人気記事ランキング(全体)
ホンダ「CB1000F SE コンセプト」が鈴鹿8耐で世界初公開! 8月1日より予選が始まった“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会のホンダブースにて、CB1000F SE コンセプト[…]
日本では400だが、グローバルでは500(451ccエンジン)のエリミネーター 欧州でエリミネーター500/SEに新色が登場した。日本仕様でプラザエディションとしてラインナップされる『メタリックインペ[…]
キャッチニッパー :作業後のゴミが減り掃除が楽になる、切れ端を飛ばさないキャッチ機能付き 配線や結束バンドを切断した際に切れ端が飛び散るのは仕方がないというのが一般的な常識に対して、一方の刃にプレート[…]
鮮やかなブルーでスポーティな外観に 欧州においてスズキ「ハヤブサ」が2026年モデルへと更新された。アルティメットスポーツを標ぼうするマシンは基本的に2025年モデルを踏襲しながら、レギュラーカラーが[…]
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
最新の投稿記事(全体)
世界の二輪市場にBSA復活を知らせる2台の新型車 BSAブランドが再び動き出したのは2016年。自動車や二輪車、物流や不動産など多角的に事業を展開するインド/マヒンドラ・グループが、新たに起ち上げたク[…]
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
400cc4気筒ブームの立役者、第3世代の直4を実現したカワサキの戦略 Z1/Z2系からZ650のザッパー系に続くカワサキ直4の第3弾がZ400FX。1980年代初頭に日本で巻き起こった空前のバイクブ[…]
秋の浜松はスズキ祭り! 3つのミーティングが開催 2025年のスズキミーティングは、3つのモデルシリーズに焦点を当てて開催される。 9月7日(日) 「KATANA Meeting 2025」 会場:は[…]
今年の1月から6月までにニューモデルなどを11 機種投入した 大隅さんは、’98年にBMWジャパンに入社以来、ずっとモトラッド部門で勤務され、我々メディアと接する機会の多いマーケティング担当として働か[…]
- 1
- 2