かつてバイク乗りのロマンをかき立てた「最速」の2文字。メーカーは威信をかけ、ライダーはプライドをかけてこの戦いに挑んだ。未知の速度域を手中に収めるため、新たな技術が次々に開発されてゆく時代だ。本記事では、GPz900Rを受け継ぎ、その2年後に登場したハイパフォーマンスモデル GPZ1000RXを取り上げる。 ※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
- 1 GPz900Rを受け継ぐ実用系最速マシン【カワサキ GPZ1000RX】
- 2 カワサキ GPZ1000RX 派生モデル
- 3 カワサキ GPZ1000RX ライバル機
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GPz900Rを受け継ぐ実用系最速マシン【カワサキ GPZ1000RX】
’83年にTT-F1の排気量上限が750ccに引き下げられた結果、リッターバイクはレースの呪縛を解かれて独自に発展し始める。そのとき、今なお語り継がれる画期的なマシンが生まれた。――カワサキ初の水冷4バルブ、直4初のサイドカムチェーン、空気を切り裂くエアロボディ。そう、GPz900Rがそれだ。
115psのエンジンが228kgの車体を軽々と250km/hオーバーまで引っ張り、瞬く間に最速の座を手中に収めた。世界中から称賛の声と数多くのオーダーが寄せられたことは言うまでもないだろう。
そのわずか2年後、「さらに速く」をコンセプトに投入されたのがGPZ1000RXだった。排気量を997ccに拡大し、吸気ポートをハンドポリッシュ仕上げするなどして、10psアップの125psを実現。ペリメターフレームなどにより、車体側も大幅に強化されていた。
その結果は、最高速度260km/h、ゼロヨン10.6秒とライバル勢を圧倒。導く空気の流れを感じさせつつ、威厳に満ち、オーナーを誇らしい気分にさせてくれるスタイリングも我々の心を鷲づかみにした。
タンクバッグを置きやすい燃料タンク形状や握りやすいグラブバー、収納式荷掛けフック、優れたウィンドプロテクションといった「親切設計」もRXからの伝統だ。
ZX-10、ZZ-R1100と10年以上にわたって連綿と続くカワサキらしい実用最速マシンの歴史は、RXから始まっているのである。
カワサキ GPZ1000RX 派生モデル
’89 カワサキ ZX-10:正常進化で最高速にプラス10km/h
ZX-7のノウハウを投入して125→137psに増強した出力を、e-BOXと呼ばれるアルミフレームとワイド&偏平ラジアルタイヤで受け止めながら、車重を16kgも軽量化。RX比で最高速度を10km/h高めて、最速の座を万全にした。
’90 カワサキ ZZ-R1100:ついにメーターが320km/hスケール
2mmボアアップで147psを獲得。徹底したエアロフォルムとラムエア過給の採用で最速の座を守り抜いた。’93年型Dタイプで格段に完成度を高めてからは、長らく王者の位置に君臨。そのDNAはZZR1400に受け継がれた。
カワサキ GPZ1000RX ライバル機
’87 ホンダ CBR1000F:あくまで優しさを追求
RC30と同じ年にデビューしたホンダ初の水冷直4リッターマシン。当時は最速を誇ったが、真の狙いは扱いやすさと快適性に重きを置いたハイスピードクルージングバイクだった。このコンセプトはCBR1100XXに結実していく。
’87 ヤマハ FZR1000:ヤマハもやっぱりハンドリング命
FZ750ベースの5バルブエンジンをアルミフレームに搭載。特に’89年以降はマスの集中化&低重心化を狙ったジェネシス思想に基づく「自在なハンドリング」を堪能できる。レプリカ系最速マシンの存在価値をいっそう深めた立役者。
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