中〜大型スポーツバイク分野で、カワサキの独走はまだまだ続く? ミラノショー(EICMA)のプレスカンファレンスに登壇したカワサキモータースの伊藤浩社長は、EV/ハイブリッドの計画や水素エンジン車の投入目標などを発表、カーボンニュートラルの分野でイニシアチブを握るとしつつ、ガソリンエンジンの開発と生産も続けていくことを明言したのだ!
●文:ヤングマシン編集部 ●写真:小川勤/カワサキモータース
惚れるぜカワサキ! ガソリンエンジンは作り続ける!
エンジン好きには何とも嬉しいニュースだ。カワサキは電動車やハイブリッド、水素エンジンの投入展望など、カーボンニュートラルへのビジョンを明確に述べたうえで、社長が自ら「ユーザーからの要望がある限り、ガソリンエンジンの開発と生産は続けていく」と宣言してくれたのだ!
しかも発表されたのはエンジン開発の継続だけではなかった。なんとなんと! 「2024〜2025モデルイヤーに、世界的に約30台の内燃エンジン車の導入を計画している」と明らかにしたのだ。しかもこの半分はヨーロッパの規制に準拠したヨーロッパ向けモデル(=アジアなどに向けたコミューター的な機種でなない)になるという。
カワサキの欧州向け機種となれば、中心となるのは中〜大型のスポーツバイクだろうし、各種規制が欧州とほぼ同一の日本にも投入されるモデルとなるはずだ。つまり来年の秋以降、我々の前にはガソリンエンジンを積むカワサキのニューモデルが2年間で約15台、均すと2ヶ月に1台という超ハイペースで現れることになる!? これら内燃機関車の車両概要についての説明はなかったものの、期待せずにはいられない!
電動車でもエキサイティングは忘れない
このガソリン車投入計画につい肩入れしたくなるのは、併せてカーボンニュートラルへのビジョンや取り組みがしっかり提示されているからだ。eフューエルやバイオフューエルにも取り組むとしたうえで、フル電動の「Z EV」「ニンジャ EV」、そしてハイブリッドの「ニンジャHEV」という、計3台の電動系スポーツも発表したのだ。
まず電動の2台だが、最大容量3.0kWhの取り外し可能なバッテリーを積み、ヨーロッパのA1ライセンス(125cc以下かつ最高出力が15ps以下)に準拠するシティコミューターのプロトタイプ。航続距離など具体的な性能は明かされなかったものの、発売時期に関しては2023年中と明言された。
そしてハイブリッドの「ニンジャHEV」だが、エンジン走行とモーター走行を切り替えられるストロングハイブリッドシステムを搭載するプロトタイプ。こちらも排気量などの具体的な説明はなかったが、省燃費とライディングパフォーマンスを両立し、市街地走行からスポーツライディング、ツーリングにまで対応。2024年の発売を予定しているという。
このニンジャHEV、クラッチレバーは見当たらないが、公開された動画では左ハンドルスイッチに「AT/MT」と刻まれたボタンが存在し、トランスミッションが装備される模様。右ハンドルスイッチには「e boost」という何とも気になるボタンも持つ。フロントノーズにはニンジャH2やZX-10Rなど尖ったモデルに装着されるリバーマークが貼られる点からもカワサキの気合いが伺い知れる。
これら2台は今年の鈴鹿8耐でデモランを行っており、基本的にはこの時の仕様と大きくは変わらないようだ。「カワサキのDNAはエキサイティングなパフォーマンス。これは電動車でも変わらない」とも述べられており、その走りに期待が膨らむ。
期待された4気筒400ccのスーパースポーツ「ニンジャZX-4R」は残念ながら発表されなかったが、水素エンジン車の投入展望やイメージイラストを公開し、市販モデルではニンジャH2 SXの改良モデルも発表。これらは別記事でお伝えすることにしよう。
ニンジャHEV動画
Z EV/ニンジャEV動画
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