
’80年代終盤に登場し、後に続くネイキッドブームの火付け役となったゼファー。生みの親たるカワサキは、’94年にZZ-R400譲りの水冷直4を搭載したZRXを開発した。負けじとスズキも対抗馬たるバンディットをフルモデルチェンジ。さらにホンダはCB、ヤマハはXJRにビキニカウル仕様を追加し、ここにネイキッドブーム第2世代が出揃うことになる。
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史
水冷、フルチェンetc…第2世代も登場【ZRX/バンディット/ゼファーχ】
各メーカーの活発な新型リリースに対し、ゼファーでネイキッドブームの火付け役となったカワサキがまたも動き出した。’94年、もう1台の400ネイキッドであるZRXを投入したのだ。ZZ-R400譲りの水冷直4を搭載し、スポーティなライバルに対抗。加えてフォルムは、Z1000Rを思わせる角眼とビキニカウルで、ゼファーと差別化を図るという妙手だった。
さらに、初期からリリースされていたバンディットとゼファーがフルチェンジを敢行し、魅力をアップした。CBとXJRにビキニカウル仕様も追加され、まさに400直4NKは全盛期を迎えたのである。
ヨンヒャクで走りの角Z復活:‘94 KAWASAKI ZRX
レトロな空冷ゼファーに対し、スポーティな水冷400ネイキッドとして投入。角基調フォルム、丸パイプスイングアーム+リザーバータンク付きリヤサスペンションなど随所にZ1000Rの面影を再現しつつスポーティさを両立した。’96年12月に1100が発売。’98からライムのローレプカラーが追加され、クラス初の6ポットキャリパーも獲得した。
【KAWASAKI ZRX】■全長2095 全幅745 全高1130 軸距1450 シート高785(各mm) ■車重185kg(乾) ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 399cc 53ps/11000rpm 3.8kg-m/9000rpm ■燃料タンク容量16L ■タイヤF=110/80-17 R=150/70-18 ●価格:59.9万円 ※諸元は’94年式
【気分はエディ・ローソン!】E・ローソンのAMAスーパーバイク優勝車をモチーフにしたのが’82登場のZ1000R。このローソンレプリカがZRXの元ネタだ。
【’95 ZRX-II|翌年に追加されたシブい丸眼バージョン】ZRXからハンドルマウントのビキニカウルを撤去し、丸眼一灯と砲弾型メーターを採用。ZRXとともにラストの’08年型まで併売された。
ビキニカウルが次期トレンド候補?
ネイキッド人気を受け、400cc直4ネイキッドで闘うレース「NK-4」も隆盛。レーサー風のビキニカウルを再現しつつ、ZRXに影響を受けたと思われる仕様がCBとXJRに追加された。特にCBのバージョンRはエンジンとフレームにメスまで入れたが、ともに不人気で2年ほどで生産終了した。
【’95 HONDA CB400 SUPER FOUR VERSION R】独自の吸排気系や電子制御点火装置=PGM-IGで鋭い応答性を実現。フレームのダウンチューブにクロスパイプを追加し、車体も強化した。
【’96 XJR400R II】小ぶりのビキニカウルと角眼を採用し、バーグラフタコを備えた多機能デジタルメーターも投入。ブラックマフラーなどで差別化した。
全身を磨いた決定版:’96 KAWASAKI ZEPHYR χ
’95年末までに7.5万台超を販売したゼファー。ライバルに対抗すべく、より完成度を高めたのが本作だ。フォルムを堅持しながら、エンジンを2→4バルブ化し、7ps増と高回転パワーを獲得。マフラーやサス、ライポジの変更など大改造を施した。車名のχはギリシャ文字で無限の可能性の意で、「改」の意味も込められる。
【KAWASAKI ZEPHYR χ】■全長2085 全幅745 全高1110 軸距1450 シート高780(各mm) ■車重185kg(乾) ■空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 398cc 53ps/11000rpm 3.6kgm/9500rpm ■燃料タンク容量15L ■タイヤF=110/80-17 R=140/70-18 ●価格:58万円 ※諸元は’96年式
【中身は別物。ついに4バルブをゲット】伝統のZ系では異例の4バルブ化。燃焼室形状やピストン、クランクシャフトなど内部パーツも一新している。力強さが増し、乗り比べると先代とは別物。
カタログでは、日本の景色に溶け込む和製ネイキッドの美しさを強調。中には風景がメインのカットも。
’97でラジアルタイヤや4ポットキャリパーを獲得。Z1風の“火の玉カラー”は’99から度々設定された。
気品と戦闘力を向上した後期型:’95 SUZUKI BANDIT 400/V
デビュー6年目に初のフルチェンジを敢行。新設計フレームとアルミ製スイングアームの採用で3kgの軽量化に成功し、軸間距離を20mm短縮した。さらにエンジンの低中速レスポンスを向上するなど戦闘力を一段と向上している。外観はより丸みを帯び、ライバルと一味違う色気が増した。
【SUZUKI BANDIT 400/V】■全長2050 全幅720 全高1055 軸距1410 シート高745(各mm) ■車重165kg(乾) ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 398cc 53ps/11000rpm 3.8kg-m/9500rpm ■燃料タンク容量15L ■タイヤF=110/70R17 R=150/60R17 ●価格:59.9万円 ※諸元は’94年式STD
リミテッドは設定されず、’97でビキニカウルのVZを追加。’97が最終型となった。
ネイキッドブームに対しアンチ正統派も生まれた
ゼファーの成功以降、オーソドックスな400が一挙に増えたが、挑戦的なモデルもまだ発売された。特にXANTHUS(ザンザス)は強烈。ゼファーで成功を収めたからこそできた冒険だったのかも。RF400はZZ-Rと双璧をなすレアな400ツアラーで、初代バンディットがベースだった。
【’92 KAWASAKI XANTHUS】ルックスも性能もトガリまくりの1台。現代版マッハIIIを目指し、750並みの動力性能を誇った。独自のアルミフレームにZXR400譲りの心臓部を搭載。 ■168kg(乾) 399cc 53ps 3.7kg-m
【’93 SUZUKI RF400】独特な分厚いプレススチールフレームとエアロボディが特徴。フェラーリを思わせるフィンが斬新だ。’94で900が登場。’95ではVC仕様を追加した。 ■185kg(乾) 398cc 53ps 3.8kg-m
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
オーディナリーホワイトとアーティザンレッドの組み合わせ カブハウスのSNSでスーパーカブC125の新色が公開された。詳細は記されていないが、1958年以来の“Sシェイプ”デザインに新たなカラーデュオを[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは昨秋、欧州でZ750→Z800に連なる後継車として2017年に948cc並列4気筒エンジンを搭載したスー[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
オイルの匂いとコーヒーの香り。隠れ家へようこそ。 56designが4月12日に奈良県奈良市にオープンさせる「56design NARA」。以前から要望が多かったという、同社初となる関西圏の新店舗だ。[…]
自分のミスではないアクシデントで運命を分ける空気圧! タイヤの空気圧は大事……わかっちゃいるけど、つい面倒でチェックが疎かになりがち。 しかし脅かすワケではないけれど、実は空気圧が適正に保たれていない[…]
最新の記事
- 発表間もないモデルも全部展示! カワサキが大阪・東京・名古屋モーターサイクルショーにカワサキブース出展
- ヤマハが新型「トレーサー9 GT」を4/15発売! 世界初の自動制御『マトリクスLEDヘッドライト』採用
- なにこれかわいい! クルマの免許で乗れるEVトライクに、キャリアー/ドラレコ等の純正オプションが登場
- 「あの頃の未来」「攻殻機動隊も?!」AKIRAトリビュートのCO-29など〈幻名車〉ホンダのATシリーズ5選
- 魅力的なニューモデル続々! 原付2種(51~125cc)記事ランキングTOP5【2025年2月版】
- 1
- 2