スズキの”カタナ狩り”って? 賛否両論の耕運機アップハンドル[’82-]スズキ GSX750S【青春名車オールスターズ】

CB750フォアを尖兵に、ホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキの日本4大メーカーが世界の頂点に君臨する時代が幕を開ける。大排気量空冷マルチエンジンを搭載した公道の王者たち、その有志をご覧いただこう。本記事では、スズキ カタナの国内向けラインナップ GSX750Sシリーズについて取り上げる。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。


●文:ヤングマシン編集部

“カタナ狩り”の初代ナナハン【’82 スズキ GSX750S】

750カタナは主に国内向けに用意された排気量縮小版と思われがちだが、実はエンジンは別物。ベースはGSX750Eで、登場は1100と同時期。TSCC採用の空冷4バルブも同様だが、開発がやや遅かったため、クランクシャフトは今日のような一体式のプレーンメタル支持を採用していた。

つまり、1100のように豪快なトルク感はないが、吹け上がりは俊敏でより洗練されていたのだ。

日本国内向けは認定の関係から流麗なフォルムに不似合いな大アップハンドルが装着され、ユーザーは落胆したが、それでも人気を集めた。

当然、ハンドルを1100用に交換する人が続出。これを違法改造車として取り締まる通称「カタナ狩り」も行われた。当時は暴走族を取り締まる余波で、変形ハンドルへの風当たりが非常に厳しかった時代だ。

【’82 SUZUKI GSX750S】■空冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 747cc 69ps/8500rpm 6.2kg-m/700rpm ■車重222.5kg(乾) ■タイヤF=3.25-19 R=4.00-18 ●価格:59万8000円

’82年、初代750カタナデビュー時の1100(左奥)とのツーショット。クリップオンハンドルに換装して1100仕様にするオーナーが続出した。初代750カタナの純正ハンドルは「耕耘機ハンドル」とのあだ名も。ちなみに、スクリーンはオプション扱い。

スズキ GSX750Sの系譜

【’82 SUZUKI GSX750S】国内版には運輸省の認定の関係から大アップハンドルを装着。それでも初年度は7000台を超える販売を記録。

【’82 SUZUKI GSX750S[S]】オプションのスクリーンが標準装備に。ほかの仕様は変らず。ただ、カウルがFRPからABSに変更との説も。

【’83 SUZUKI GSX750S[S2]】当時流行のF16インチ/R17インチホイールを採用。車体色はグレーになり、エンジンも3ps増の72psを獲得。

それでも“リトラ”はヒーローだった【’84 スズキ GSX750S[III]】

’83年に発売されたネイキッドのGSX750E4は従来型よりも軽量化され、また角型パイプフレームやリヤモノショックを採用。エンジンもピストン裏側をオイルで冷却するなど、改良が加えられていた。これをベースに新外装を与えたのがS3型だ。

車名はカタナだが、新規に社内デザインを採用。ロードスポーツとしては初の格納式ヘッドライトを備え、印象的な金色のフレームにも意気込みが感じられた。認定基準の緩和でハンドルもグッと低くなった。

しかし、初代カタナほどの評判を得るには至らず。別の車名ならば違う評価を得られたかもしれないが、ともあれその生涯は2年と短かいものとなった。

【’84 SUZUKI GSX750S[III]】■空冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 747cc 77ps/9000rpm 6.4kg-m/7500rpm ■212kg(乾) ■タイヤF=100/90-16 R=120/90-17 ●価格:69万9000円

時代を超え、今なお賛否両論のスタイリングと語り継がれる3番目のGSX750S、通称「3型カタナ」。格納式ヘッドライトはロードスポーツモデルでは初採用だ。空力性能に優れつつ、スーパーカー世代に突き刺さるギミックといえる。カタナの反転ロゴは発光する。

テールランプはウインカーとのコンビネーションタイプにしてスマート感を演出。ひと目でリトラクタブルカタナだとわかる。

風洞実験の様子。空力性能の向上を追求し、高速ツアラーとしての適正もさらに高まった。

S3(写真)は扇形メーターの左端に各種警告灯を内蔵。S4になると左端に燃料計、下部に警告灯を配置する。

スズキ GSX750S[III]の系譜

【’84 SUZUKI GSX750A[3]】リヤにモノショックを備えたGSX750E4をベースに、専用の外装や足まわりなどを装備。

【’85 SUZUKI GSX750S[4]】メーターパネルに燃料計を追加したマイナーチェンジモデル。新色の銀も追加された。


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