ドライカーボン採用なのに実勢価格4万5000円のスポーツジェットヘルメットはトランスフォームする

カーボンにはドライとウェットが存在し、コストの問題から一般的なカーボン製品にはウェットが採用されることが多い。だがWINSのA-FORCE RS JETはドライカーボン採用ながら実勢価格4万5千円を実現しているという。二輪ジャーナリストの相京雅行氏が実力を探った。

【ナビゲーター:相京雅行(あいきょうまさゆき)】某バイクパーツメーカーに立ち上げから10年勤務し、現在は2輪ジャーナリスト/動画クリエイター/ワークマンのアンバサダーなど、多岐にわたって活動中。小学生の女の子二人の父親。ヤングマシンでは主に初心者ライダー向けに記事を書いていこうと思います。 [写真タップで拡大]

●文:ヤングマシン編集部(相京雅行) ●写真:相京雅行 ●外部リンク:ウインズジャパン

カーボンにはウェットとドライがある

カーボンにはウェットカーボンとドライカーボンがあるのをご存じでしょうか?

細かい説明は省きますが、軽さと強度に優れているのがドライカーボンで、レース車両などの外装に使われています。

一般的にカーボンといえばウェットカーボンと呼ばれるもので、アフターパーツメーカーから販売される外装などに採用されることが多い素材です。

ドライカーボン製品を作るためには専用の機械が必要になり、手間も材料代もかかるためアフターパーツメーカーが手掛けるのは難しいのです。

筆者もアフターパーツメーカー勤務時代に、ウェットカーボンは製品化したことがありますが、ドライに関しては技術的、コスト的な問題で製品化に至りませんでした。

ですが今回紹介するWINSのA FORCE RS JETはドライカーボンを採用しながら5万円を切る実勢価格を実現しているのだから驚きです。

光沢がないものがドライカーボンと思われることもありますが、クリアを吹くことでウェットカーボンと同じような見ためになります。 [写真タップで拡大]

A FORCE RS JETの見ため

最大の見ための特徴は何といってもカーボン目です。

ドライカーボンは曲がりのある部分でもカーボン目がよれずに均一になるのが特徴。ヘルメット中央に型の合わせ目がありますが、他の部分は均一で美しいカーボン柄を確認することができます。

WINSのロゴは額部分と後頭部に一か所ずつ。製品名のA FORCE RS JETは左右耳下あたりと後頭部に確認できます。特に左右ロゴ下にはカーボン製を表す「Carbon Conposite」が確認でき、カーボン製品の所有感があります。

また各所にA FORCE RS JETが備えている機能ロゴが表記されています。

帽体はワンサイズなので大きめですが、三次元的な造形やカーボンの色味はコンパクトに見せる効果があります。

カラーはカーボンとカーボン×レッドの2色。カーボン×レッドは「typeC」となりインナーバイザーが従来比5mm長く設定されています。

価格はどちらも変わらないので、個人的にはグラフィックモデルを推したいところですが、グラフィックモデルの方が重くなるので、とことん軽さに拘りたい方はカーボン単色がお勧めです。

ドライカーボン採用ならではの美しいカーボン目 [写真タップで拡大]

A FORCE RS JETの機能性

前述したようにA FORCE RS JETの帽体には機能を表すロゴがいくつか入っています。

その一つがDAC(Dual Action Closing)。シールド位置が段階的に調整が可能で、もう一つはDVS(Dual Visor System)。インナーシールドが採用されており、インカムの装着を考慮してシールドベースの下側に操作用スライドが用意されています。

インナーバイザー収納スペースが必要なので、ベンチレーションは頭頂部に一か所。

別売り4290円(税込み)のフェイスガードを追加すればフルフェイスヘルメットにもなります。フェイスガードにはノーズガードやチンカーテンが標準装備されており、風切り音の低減に貢献しそうです。

また同封されるはがきに必要事項を記入して郵送すれば、シールド曇り止め効果があるFOGWINの提供を受けることができます。

雨の日や冬場のシールドの曇り止め効果があるので、忘れずに申し込んでおきたいところです。

別売りのフェイスガードを本体に差し込むと、しっかりと固定されるのが確認できた [写真タップで拡大]

もともとフルフェイスヘルメットだったような違和感のない見た目になる [写真タップで拡大]

A FORCE RS JETの内装

内装はトップ、チークパッド左右、ネックカーテンの4点が取り外し可能です。今回はMサイズをお借りしましたが、帽体が共通ということもあり、各部のクッションは厚め。

特にチークパッドはかなり厚い印象でしたが、クッションは柔らかめで圧迫感は少なそうです。

チークパッドの一部はへこみがあり、眼鏡やサングラス装着時につるの圧迫感が軽減される設計になっています。

全ての内装は外と内側で色が切り替えられており、目につく内側は鮮やかな赤が採用されているのもポイント。

内装を外した帽体にはインカムのスピーカー用ホールが設けられており、浅いですが直径は広め。そもそも帽体が大きめで内装が厚いので浅いのは問題にならなそうです。

インカムを使用しない場合には、消音イヤーパッドが付属されているので装着しておきたいところ。風切り音の低減などに効果があります。

色々なヘルメットのインプレをしてきましたが、ネックカーテンがついているのは珍しい。 [写真タップで拡大]

インカムを使わないときは消音イヤーパッドをつけて風切り音を低減しておきたいところ。脱着はマジックテープなので簡単です。 [写真タップで拡大]

A FORCE RS JETの重さ

A FORCE RS JETの重さを測定してみると1361gでした。typeCはカーボン単色モデルと比べて差し色が入っている分重くなり、インナーバイザーも5mm長いため、少し重くなっています。

同じ仕様で素材にFRPを採用したG-FORCE SS JET STEALTHも測定してみたところ、1450gでした。

多機能なスポーツジェットで1500g以下というのも驚きですが、1361gはドライカーボンを採用しているからこそといえるでしょう。

グラフィックモデルは塗料やステッカーが多くなるため重量増となる。加えてカーボン×レッドのtypeCはインナーバイザーが長いことも要因となる。 [写真タップで拡大]

実際に被って走ってみました

サイズ感

筆者は国内主要メーカーのヘルメットは全てMサイズ。WINSのA FORCE RS JETに関してもMサイズでピッタリでした。

チークパッドはしっかりフィットはしますが頬が潰れることはなく、インカムの通話などで喋りにくい事もありません。

下道での性能に関して

スポーツジェットヘルメットは顎がカバーされていないので下からの巻き込み風が入ってきます。

ロケ日が気温30度だったこともあり、顔回りに風が入って涼しいので夏場はありがたいですが、風切り音はそれなりにします。

インナーシールドの出し入れはレバーが見つけにくいこともなく、スムーズに出し入れすることができます。またメイン、インナーともにシールドに歪みはなく、視界が広いので開放感があります。

30分程度ベンチレーション全閉の状態で走行した後に、開放して走行してみましたが頭が蒸れていたこともあり清涼感を感じることができました。

下からの巻き込み風で顔は涼しいですが、ベンチレーションを開けていれば頭が蒸れることもないので夏場も快適に走行することができそうです。

フェイスガードを装着すると性能が激変

途中でフェイスガードを装着してみたところ、カチッと節度のある取り付けになっており、装着後はボタンを押さなければ外れない設計になっているため落下の心配はありません。

フェイスガード本体にチンカーテンが装着されていることもあり、下からの巻き込み風がしっかりとシャットアウトされ、静粛性が大幅にアップします。

そのうえ、シールドはジェットヘルメットなので視界は広いまま。フルフェイスヘルメット特有の閉塞感がありません。

高速道路も走ってみた

フェイスガードをつけたままで高速道路も走ってみましたが、スポーツジェットヘルメットに比べて静粛性に優れているため、高速道路などを使ったツーリングには「フルフェイス化」した状態で行きたいところです。

空力に関しても100km/h前後の制限速度内で走行している分には大手メーカー製品と遜色なく快適に走行することができます。

またフェイスガードを追加することで顔には風が入ってこなくなりますが、スピードを上げていくとベンチレーションから風の流入量が増していくので快適です。

夏場はジェットが涼しくて最高です。 [写真タップで拡大]

動画でインプレッションを見たい方はこちら

用途に合わせて使えるのが便利

筆者はスポーツジェットとフルフェイスヘルメット両方を持っていて、用途に合わせて使い分けています。

例えばバイク通勤していた時には軽量で視界が広く、気軽に使えるスポーツジェット、ツーリングで長距離や高速道路を走る際にはフルフェイスヘルメットといった具合です。

この商品のファーストインプレッションは「ドライカーボンなのに実勢価格4万円代ってすごい!被ってみたい」と思ったのですが、試乗後はフルフェイス化できる魅力にハマりました。

重さやカーボンに拘らないという方はFRP仕様のG-FORCE SS JETという製品もあります。

こちらは某ロボットアニメを彷彿させるようなグラフィックモデルがラインナップされているので、気になる方はWINSのホームページをチェックして頂けたらと思います。


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