クルーザーの範疇を超えるその走り!

ホンダ レブル250/見た目で敬遠すると大損です! 何も考えず、乗るだけでキモチイイ〈YM的新車バイクざっくり解説〉

 
「このバイクって、どこが良いの?」バイク好きなら一度は口にしているであろうこのセリフ。そんな疑問に一発回答! 日夜ニューモデルに触れまくっているヤングマシン編集部が、取材で得た裏話も交えて注目モデルの魅力のキモをピンポイントで伝えます。今回はもっか販売絶好調、軽二輪以上では日本で最も売れるバイクと言っていいホンダのレブル250だ。


●文:ヤングマシン編集部(マツ) ●写真:真弓悟史

見た目を裏切る(?)走りの爽快感

‘17年の登場以来、倍々ペースで販売を伸ばす大ヒット250ccクルーザー。‘20年には年間1万台超えを達成し、人気はいまだ衰え知えずという、現代の250スタンダードと言ってもいい存在だ。

とはいえ若年層に向けたそのスタイリングは、オジサマ方には少々理解が難しいカタチかもしれない。足着き性が最高によく、価格も手頃で・・・と頭では理解しても、直感的に「カッコいいぜ、コレ欲しいぞ!」とはなりにくいであろうことは、47歳になる筆者もよく分かる。

しかし! そんな人でもレブル250の走りはぜひ体感してみて欲しい。「バイクでコーナリングする楽しさ」をこれほどまでにイージーに、敷居を下げて楽しませてくれるという点で、現行車でこのバイクの右に出る存在はないと思うから。バリッとしたスーパースポーツで「ブレーキングがこう、体重移動がこう……」と、アタマを使って走ることにお疲れ気味のライダーなら「バイクってコレで十分楽しいじゃん!」と開眼してしまうかも!?

直進安定性に優れるのはクルーザーだから当然なのだが、コーナリングではスイっと気持ちよく前輪が切れて、本当に軽やかにスルスル曲がっていく(バンク角も結構ある)。コーナリング中もビシッと安定していて頑張ってる感や怖さがほとんどないから、乗り方をあれこれ工夫する必要もないし、低いシート高=物理的に地面が近いという安心感もある。もちろん、速いライダーがペースを上げればもの足りないのだろうけど、普通のライダーが峠道を楽しむ速度域なら、満足感はむしろ高いと個人的には思う。

気持ちいい走りには理論の裏付けがある

このレブル250特有の操縦性は、ものすごくざっくり言うと“ヘッドパイプよりもフロントフォークの方が角度が寝ている”ことがキモ。「スランテッドアングル」と呼ばれるこの構造を採用することで、フォークが大きく寝たクルーザーらしいスタイリングを実現しながら、キャスター角:28°/トレール量:110mmという、ロードスポーツと大差ない数値を実現している点がポイントなのだ。

このキャスター角とトレール量、他車を引き合いに出すと、例えばGB350は27.5°/120mmで、ちょっと古いが1985年に発売された旧型レブルは32°/120mm。つまり通常のクルーザーだとかなり大きくなってしまう数値を、設計の工夫でロードスポーツ並の数値に抑え込むことで、現行レブル250は理論的にスポーツバイクに近い操縦性を構築しているというわけ。開発陣はこのキャスター&トレール量を「現行レブルを象徴する数値」とまで語っており、基本構成が共通の500はもちろん、長兄の1100にまで踏襲しているのだ。

つまりはヤング向けの、ちょっと軟派なシティクルーザーに見られがちなレブル250だが、その中身には様々な工夫が施されており、本誌メインテスターの丸山浩氏が「シートのめちゃめちゃ低いスポーツネイキッド」と絶賛するのも決して大げさではない。筆者も“クルーザーだけどスポーティに走らせちゃおうぜ”という目標を、凝ったハイテクなどを使わず設計(=つまりは開発者のウデですよね)で実現していることにとても共感を覚える。

余談っぽくなったついでに、筆者がレブルに好印象を抱く理由をもうひとつ。高価で速いバイクは小さなメーカーでも作れるが、安価でいいものをたくさん作って、それを多くのライダーに提供することって規模の大きいメーカーでないと難しい。そうして意味ではGB350などと同様、とてもホンダらしいバイクだと感じるし、大事に長く育てていって欲しい1台だと感じる。

【HONDA Rebel250】車体中央をくびれさせた細身のスタイルに、存在感のある太い前後タイヤが外観上のポイント。ブラックアウトされ統一された各部の仕上げも特徴だ。ビキニカウルやダイヤモンドステッチ入りシート、フォークブーツなどを装備したSエディション(右)も設定される。
主要諸元■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 249cc 26ps/9500rpm 2.2kg-m/7750rpm ■車重170(171)kg シート高690mm 燃料タンク容量11L ■タイヤサイズF=130/90-16 R=150/80-16 ●色:マットジーンズブルーメタリック/マットアーマードシルバーメタリック/マットフレスコブラウン(パールスペンサーブルー/マットアクシスグレーメタリック) ●価格:59万9500円 (63万8000円)※( )内はSエディション

レブル最大のセールスポイントが690mmという低シート高による足着き性のよさ。前すぎないステップ位置も適切で、スポーツライディングにも対応するライポジを持つ(ライダー身長:168cm)。

28°のキャスター角(=ヘッドパイプ角)に対し、2°寝かされた30°のフロントフォーク角を持つレブル250。これでクルーザーらしいスタイリングとスポーティなディメンションを両立している。

エンジンはCRF250Lなどと基本を共有する水冷単気筒。元々はCBR250R用に開発されただけにDOHC4バルブヘッドを持つスポーツユニットだが、レブルではトトトトトッと小粒ながら軽快な鼓動感を味わわせてくれるチューニングで、これがまた小気味いい。

ハンドル上にネガポジ反転の液晶メーターをマウントするハンドルまわり。‘20年1月の小改良では灯火類が全LED化されたほか、バネレートを高めるなど前後サスのセッティングを変更し、アシストスリッパークラッチも採用。メーターにギヤ段数表示を追加した。

最後に開発陣の配慮というか、遊びゴコロを感じさせる車載工具へのアクセス法と、その配置術を紹介。グロメットで押し込まれている右側サイドカバーを外すと、プラスネジ(長めのマイナス溝が刻まれており、コイン等でも着脱可能)で固定されている六角レンチが現れる。

このレンチでシート後方に隠れている固定ネジを緩めると、シート裏にマウントされた車載工具にアクセスできる・・・という仕組み。差し替え式の+/−ドライバーにリヤサスのプリロード調整工具、そして2本のスパナ(と六角レンチ)と、近年の車両としては点数が充実する点にも開発陣の心意気を感じる。


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