「人とくるまのテクノロジー展2022」の注目技術

ドライカーボンのカウルを45%も軽量化!? 最新技術の見本市で胸熱テクノロジーを発見!

自動車関連企業の最新技術や製品が展示される「人とくるまのテクノロジー展」。今回はコロナ禍で3年ぶりのリアル開催で、5/25(水)〜27(金)の日程で行われた横浜展示会では、会場のパシフィコ横浜に484社(オンラインを除く)の企業や団体が出展した。4輪がメインの見本市だが、その中で発見した2輪用のカーボンカウルが驚きの製品だったぞ!


●文:ヤングマシン編集部

軽量&高強度のコア材をサンドイッチし軽量化

CFRP、通称ドライカーボンと言えば、樹脂を含浸させたカーボンシートを何層も積層させ、高圧や高温を掛けて成形した樹脂素材。超軽量でいて高い強度も併せ持つのが特徴だ。製造には手作業の工程が多く高価なため、採用はレーシングマシンや高級スポーツバイクなどに限られるライダー憧れの素材だ。

そのドライカーボンが、さらに半分の重量になる!? 展示されていたのは「ロハセル」という素材をカーボンシートでサンドイッチして成形したカウリングで、従来の製法で作られた同形状のドライカーボン製カウルが1140gなのに対し、なんと620g! ただでさえ軽量なドライカーボン製品が、さらに約45%も軽量化できてしまうのだ。

会場に展示されていた、ロハセルを使用して軽量化したドライカーボン製カウリング。通常製法による同形状のドライカーボン製(左)が1140gなのに対し、なんと約45%も軽い620g! 従来製法でも十分軽いのだが…。

このロハセルは、日本ではポリプラ・エボニック株式会社が取り扱う硬質プラスチック発泡剤で、サンドイッチ構造の内部素材に用い強度を高める「コア材」の一種。発泡素材のため軽量なのに強度が高く、さらに耐熱性や耐圧縮性にも優れており、曲げや削りなどの加工も可能というもの。航空機の圧力隔壁やヘリコプターの回転翼といった、軽量と高強度の両立が迫られる部品で使用されている。

今回のドライカーボンカウルに使用されたのは、米島フエルト産業株式会社が新開発した「コアフレーク」という製品で、ロハセルを薄くスライスして六角形にカットし、さらに粘着フィルムに並べて転写シートとしたもの。複雑な形状に対する追従性が非常に高いのが特徴で、つまりは曲面やエッジを多用する2輪用フェアリングにはピッタリなのだ。

このロハセル・コアフレークが補強材となって強度が高まるため、より薄いカーボンシートが使用でき、さらなる軽量化が可能になったというわけ。十分に軽いと思っていたドライカーボン製品だが、まだまだ軽量化の余地があるとは……驚きだ!

画像はポリプラ・エボニック株式会社のパンフレットより転載(以下同様)。高強度でいてオートクレーブでの高温にも対応可能な高耐熱性もロハセルの特徴だ。

そのロハセルを六角形にスライスし、転写シート化したのが米島フエルト産業のコアフレーク。複雑な形状の製品にも容易にロハセルをコア材として積層できるのだ。

ロハセル・コアフレークは、ロハセルを一枚物のシートで積層するより曲げ強度や弾性率が高まるのも特徴。その分、カーボンシートの使用量を減らして軽量化が可能となる。


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