夫婦で楽しむハーレーは、タンデムが一番〈ハーレーダビッドソンのある暮らし〉

ハーレーダビッドソンのある暮らし

手に入れれば、生活のすべてが変わる可能性を秘めている。それがハーレーダビッドソンという乗り物だ。そんな暮らしを満喫中の個性派オーナーたちを、『ウィズハーレー』誌が全国を渡り歩いてピックアップ。今回はFLSTCに乗るTさんのハーレーライフを紹介しよう。


●文/写真:ウィズハーレー編集部(森下光紹) ●外部リンク:S&Fモーターサイクル

バイクのタンデムライディングを楽しくする秘訣とは

北海道のほぼ中央に位置する旭川市。ライダーなら誰でも一度は走ってみたいと思う北海道でハーレーを走らせることほど、贅沢で至福の時はない。そんなツーリングパラダイスでも、ほんの1ヶ月だけ通行が許される特別な道路があると聞いて、今回はそこでの取材となった。

Tさんご夫婦は、普段からタンデムでハーレーを楽しまれている。ご主人は10代からバイク乗りという生粋のライダーで、少年時代に見た『イージーライダー』に憧れたという真っ直ぐな人。29歳で家を建て、35歳までにハーレーを購入すると決めていたと笑う。

旭川にあるS&Fモーターサイクルで待ち合わせをしたのだが、ショップ代表の高橋氏は、こんな話をしてくれた。

「Tさんは、少年期の僕が憧れたハーレーライダーだったんですよ。友人のお父さんで、カッコよくソフテイルに乗っていました。まさか自分のお店のお客様になるなんて、その時は想像もしていなかったですけど…」

30年前のTさんはどんな雰囲気だっただろうか。あの映画のままならば、高橋少年が憧れるのも無理はない。しかし現在は、タンデムシートの奥様を笑顔でエスコートする物腰柔らかな紳士という印象だ。奥様は、ご主人とのタンデムツーリングが何よりも好き。ご自身ではバイクをライディングする意思は全然ないときっぱりおっしゃる方だった。

「だって、いつも仲良しで一緒にいたいから。私はタンデムが一番楽しいです」
 
30年乗り続けたソフテイルカスタムのリヤシートに比べると、ヘリテイジのシートは別世界であるという。シッシーバーも取り付けてあるから、恵美子さんの専用シートは最高の乗り心地なのだ。

夫婦仲良しの秘訣は、お互いを認め合い思いやりを持つことだという。優しい気持ちで相手を想う。バイクのタンデムライディングを楽しくする方法は、これしかないだろう。

そんなお二人のリヤビューを眺めながら出発する。旭川から旭岳方面に進んで、21世紀の森近くから開放されたゲートを抜けてワインディングを走り込むコースが「チョボチナイルート」と呼ばれる道道1116号線だ。アイヌ語のチョボチナイ沢を通ることから命名された新ルートだが、開放されるのは9月末からのたった1ヶ月間だけ。北海道のライダーは、休日ともなれば一気にここを目指すという。

僕らは午前中の早目の時間に出発したので、混雑する前のチョボチナイルートを堪能できた。そろそろ山頂には雪をいただく旭岳の紅葉が徐々に外界へと降りてくる時期と重なって、前を行くヘリテイジはときおり落ち葉を巻き上げながら軽快に進んで行く。その印象的なシルエットからは、いつも仲良しな二人の会話が聞こえてくるようだった。

旭川は北海道の中央部にあり、旭岳/美瑛/富良野も近く雄大なロケーションはてんこ盛りだ。休日のツーリングは、いつもタンデムというお二人は本当に幸せそうだった。秋が深みを増す9月の末は、シーズン最後のツーリングを楽しむ季節として貴重な時間なのである。

Tさんは、S&Fの高橋代表が少年期に憧れた先輩ライダー。友人の父親なのだ。ショップをオープンして、Tさんがお客様になるとは、縁とは不思議なものだと語る。少しビンテージなイメージが良いというリクエストで仕上げられた車両は、高橋氏の手によるものである。


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