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フラットなコーナーをスムーズにスライドさせながら曲がるためには、スライドコントロールが必要だ。世界的ライダー・渡辺学選手によるオフロードライディング指南企画『渡辺学のスキルアップラボ』から、今記事ではそんなフラット路面でのコーナリングをオフロードヴィレッジの300mオーバルを使ってレクチャーする。スライドコントロールを身につければ、コースだけでなく林道ツーリングなど、危険回避にも役立つゾ!!
●まとめ:ゴー・ライド編集部(山田晃生) ●写真:長谷川徹 ●取材協力:ウエストポイント
【ツイスターレーシング 渡辺学】2021年はJNCCはスポット参戦で、MFJ全日本モトクロス選手権は監督として全参戦の当ラボ院長。2022シーズンの活動も基本的には変更はないが、スクールイベントをもっと積極的に開催していきたい!! とのこと。もちろん本業のマナブ餃子も随時オーダー受付中(twisterracing.com@gmail.com)! マナブ先生は今日もオフロードを走り、ギョーザを焼く。
フラットコーナーでスキルを磨くべし
ダートトラックはフラットな楕円状のコースを左回りに周回するカテゴリー。今回のコースであるオフロードヴィレッジには2種のコースがあり、200mは完全にフラットでダートトラック用に整備されたもの。300mもフラットなのだがインフィールドにコブが2カ所あり、左右のコーナーとジャンプを組み合わせたTT用としても走行ができる。レクチャーするのは300mのフラットコーナーで、使用するマシンはYZ250FXエンデューロ仕様で走行した。とくにビギナーライダーにとっては、この真っ平な路面を見てどこを走っていいのか戸惑うことだろう。
マナブ先生「モトクロスであれば、イン側を小さく回って最短ラインを走るのが速いと思うんです。しかしこのダートトラックコースでは速く走ろうとするほど、バイクが直立している時間は短くなる。楕円状のラインでアベレージスピードを高めるほうが速く走れます。
ただ、そうなるとスピードが上がってビギナーは怖いと感じるかもしれません。それならば、クリッピングポイントでV字になるようなラインを組み立てたほうが恐怖心は少ないかと思います。バイクを倒すのは1回。直線になったらしっかりアクセルを開け、また次のコーナーは同様にV字で曲がる。まずはここから始めてみてください。
次のステップとしては、ダートトラックのように楕円のUラインで走ってみる。使用するギヤは2~3速くらい。ビギナーは2速でもいいでしょう。低めのギヤで高回転をキープして乗ったほうがエンジンブレーキも効きやすいし、アクセルを開けても一気に前に進んだりしないと思います。高めのギヤだとグリップが良いので前に進み過ぎてしまう。スピードレンジも上がるためリスクも高い。
もちろん、これはダートトラック専用トラックでの走り方。フラットな林道であれば、速度を落として高めのギヤ、低めのエンジン回転で走るほうが安全だと思います」
ダートトラックに興味がなくても、練習しておけばスライド時のコントロール能力が上がる。ちなみにこのフラットコースでスライドを練習したモトクロスライダーのほとんどが、モトクロスコースで大幅なタイムアップに成功している。伸び悩んでいるレース派の人はもちろん、林道や一般道での危険回避能力を高めたい人にもメリットがあるだろう。
ただの楕円コースでも走行ラインは無数にある:フラットコーナーをスムーズに曲がろう
何もきっかけのない平らなコーナーでのマナブ式走行法を提案。反復練習しやすいのもオーバルコースのメリットでもあるので、まずはV字、さらにU字ラインという具合に徹底的に2種の方法からチャンレジして、少しずつ慣れていってほしい。
陸上競技のような平坦なトラックだが、走行ラインはスキルレベル/スピードレンジ/相手との駆け引きなど、さまざまな要因で変化してくる。大事なのはいきなり本格的なダートトラックの走行をマネるのではなく、自分がコントロールできる&怖くないラインで走ること。
ビギナーにおすすめのV字ライン:クリッピングポイントで向きを変える
曲げる操作はクリッピングポイントのみ。タイムを縮めるというよりも、恐怖心を減らし確実に曲げるのがV字のラインだ。
オーバルコースビギナーにおすすめなのがまずコチラ。このV字ラインで走る場合、クリッピングポイントまで直線的に走り、リヤのみでブレーキング。
クリッピング手前で向きを変える準備をはじめる。
ここではアクセルオフ。ブレーキターンの要領でちょっとだけテールスライドさせる。
バイクをしっかり傾けて向きを変えるが、その動きは一瞬だけ。遠回りになるためタイムは遅いものの、恐怖心も少なく、転倒のリスクを減らすことができるだろう。
立ち上がりではアクセルを開けていく。
また次のコーナーでも同様に走れるよう、立ち上がりからライン取りを考えておこう。
中級者におすすめのU字ライン:テクニックの差がでる最短ライン
ダートトラック風のアウトインアウトのラインは、じつは難易度高め。バイクのコントロールにシビアさが求められる。
マシンの車高やタイヤの違いで、スライドさせっ放しの走行はほぼ不可能ではあるが、本来のダートトラックの走り方に近いU字のライン。直線からアプローチのラインがワイドめだ。
進入時もスピードを乗せたままバイクを倒し、かつアクセルも緩めない。低めのギヤで高めのエンジン回転数を維持。リヤタイヤも弱めにスライドさせている。
コーナリング中は前にそれほど進まないが、コントロールしやすい高めのエンジン回転を維持したい。パーシャルでもOK。
一気にトラクションさせるとハイサイドのリスクもあるので、ていねいな操作で立ち上がる。
シンプルだからこそ奥が深い
マナブ先生「モトクロスはジャンプを飛んだり、バンクを使ったコーナリングなど変化がありますが、路面に凹凸のない簡単なダートトラックコースを速く走るのは、かなり難しいし面白いと思います。走ってみて左足がつりそうになりましたし、腕もパンパンに張りました。モトクロスのほうがもっと休んでいると思います。コースがシンプルだからこそ奥が深いのだと思います」
今回はIBライダーとも一緒に走行した、モトクロスコースと違い何周も重ねないと追いつけない。自分が速いかどうかの比較対象がいないと判断が難しい。
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