パワフルな電動デュアルパーパスバイク「ゼロモーターサイクルズDS」試乗インプレッション

ジーム ゼロモーターサイクルズ DS|電動バイク

ゼロモーターサイクルズは、アメリカ・シリコンバレーにある電動バイクメーカーで、どのバイクもスポーツ走行性能や航続距離がズバ抜けて高いことで知られている。今回は日本に上陸したばかりのデュアルパーパスモデル「DS」に乗った。


●文:ヤングマシン編集部(近藤スパ太郎) ●写真:輪 ●外部リンク:ジーム[MSソリューションズ]

街乗りだけじゃモッタイナイ。オフも走りたくなるバイク!

ゼロモーターサイクルズにはバイク作りや電装系の専門家が在籍し、スポーツ性能の高い電動バイクが評価されている。現在9車種をラインナップし、ゴツゴツしたブロックタイヤにアップフェンダーを備えるデュアルパーパスの「DS」は、日本でも人気が高い同社のネイキッドスポーツ・SRから派生したモデルだ。フレームやアクセサリーなどSRとの共有パーツも多いが、DS専用に設計されたモーターを搭載し、走りの特性はまったくの別モノだ。

【ZERO MOTORCYCLES DS】■全長×全幅×全高(mm):2110×830×1120 ■シート高:843mm ■車体重量:144kg ■原動機:Z-Force®75-5 空冷高効率ラジアルフラックス永久磁石ブラシレスモーター ■駆動方式:カーボンファイバー製ドライブベルト ■定格出力:11kW ■最大出力:34kW(46ps)/4300rpm ■車両区分:軽二輪 ■最高速度:158km/h ■最大トルク:106Nm ■駆動用バッテリー:リチウムイオンセル(脱着不可) ■バッテリー電圧/容量/充電時間:NA/7200Wh/1.5h(チャージタンク使用時) 5.2h(100Vまたは200V使用時) ■一充電走行距離:132km(街乗りでの数値。89km/hの場合は79km。113km/hの場合は63km※) ■ブレーキ:ディスクブレーキ ■タイヤサイズ:F=100/90-19 R=130/80-17 ■車体色:マットグレー×グリーン ■乗車定員:2名 ●価格:194万9800円 ※実際の航続距離は走行モード/速度/坂道/ライダーの体重/気温/バッテリーの劣化状況等により変化

【ライディングポジション】シートは少し硬くて843mmと高い。サスも硬めで跨ってもオフ車のような沈み込みはないので、ボクのばあいは足着きがベッタリとはならない。また重いバッテリーを縦に積載している関係だろう、車両の重心も高い。ハンドル切れ角も大きくはなくロードバイクと同等。跨ったポジションもデュアルパーパス…というよりは、ロードバイクの印象だ。[身長173cm/体重77kg]

さて、跨ってみるとシートがけっこう高い。ポジションもやや前傾でハンドル切れ角も小さめなので、オフ車の作りではなさそうだ。スロットルを開けるとリニアに反応して、シュイーン! と一気に加速する。このエンジンとまったく違う加速フィーリングは、ゼロの醍醐味でもある。走行モードは回生ブレーキ度の強いエコ/よりパワフルライドが楽しめるスポーツ/好みに設定できるカスタムの3つがあり、右手のボタンで走行中でも切り替えできる。スロットルを開けた時のエネルギー放出度や、回生ブレーキ時のエネルギー回収度がメーターパネルにリアルタイムにグラフ表示される。回生ブレーキを上手く使うと、バッテリーが充電されて航続距離が延びるだけでなく、メリハリのある走行が楽しめる。

ちなみに、エコモードでもその加速はすさまじく、高速道でも100km/hなんてあっという間。エコモードの方がスロットルのオンオフのメリハリが楽しめる道も多かった。フルアジャスタブルの前後サスペンションはちょっと固めの設定だが、フロントには倒立フォークを採用し、コーナリングやブレーキ時にも安定性が高く、安心感があった。でもボクがオーナーになるとしたら、もう少し柔らかい設定にして、車高も少し下げるかな? さらにスタンディングポジションも楽しくて、今回本格的なオフロード走行はできなかったけど、工事中の未舗装路を往復してしまった…。

ジームのDSの特徴は、電気自動車と同じ200V普通充電規格・J1772にて充電ができるコト。95%チャージに1時間というから、充電ポイントに立ち寄りながらのツーリングも可能だ。まだまだバイクお断りの充電施設もあるから、事前に充電マップアプリで調べる必要はあると思うけど、電動バイクもここまで進化したか…と、ニコニコのボクでした。

ゼロモーターサイクルズ DS ディテール写真解説

【空冷センターモーターにベルトドライブ駆動】ゼロオリジナルDS専用設計のセンターモーターは最高出力34kW/最大トルク106Nmを発揮する。このモーターのパワーはカーボンファイバー製のドライブベルトでダイレクトに後輪に伝達される。

放熱対策のためリヤシート裏にコントローラーを設置。

【キャストホイールにショーワサスペンション】キャストホイールを採用しピレリのオン/オフタイヤ・MT60を前後に履く。フルアジャスタブルのショーワ製サスペンションを前後に搭載し、ABSはボッシュのジェネレーション9を採用する。

スペインのホタホアンのブレーキを採用。

意外だが、ヘッドライトはハロゲン球でウインカーも一般的な電球だ。テールランプ/ブレーキランプにはLEDが採用されている。

少し幅広のテーパーハンドル。

発進可能スイッチと走行モード切替スイッチ。

デジタルメーターは視認性の良いブルー液晶ディスプレイを採用。

DCソケットが装備され多様な電子機器との接続が可能。

200V充電中の放熱のために充電口には放熱孔が備えられている。

電動バイクとしては大きめの収納BOXがシート下にあり、車体の右側で開閉する。充電ケーブルやドリンク、ツーリング先ではお土産も収納できそうだ。モチロン車体キーで施錠もできる。

シートは幅があり、ちょっと薄くて固い印象。

ワイドフットベクがデュアルパーパス感を高めている。

最短1.5時間で満充電となるJ1772規格200V充電と、100V充電の双方を備える

【200V充電口はダミータンクの上部】電気自動車と同じ200V普通充電規格・J1772のコネクター充電口を備える。このチャージタンクはゼロ DSとしてはオプション品なのだが、ジームから販売される日本向けのDSには標準装備となっているので便利だ。

J1772で充電する場合は、空状態からでも約1.5時間で満充電となる。

【家で充電もOK! 100Vの場合はフレームにプラグイン】自宅でも充電が可能な100V充電口を車体のフレームに装備する。充電器本体は車体に搭載されているため、充電ケーブルのみ持ち歩けば外出先でも充電できる。

充電口には防水キャップがある。空状態から満充電までは約5.2時間。

街中に充電設備が足りない!

GS給油所数約3万か所(’19年調べ)に対して、普通充電器設置数は約2万2500基(’19年調べ)あるそうだが、充電器は1か所に何基も設置されていることが多く、設置場所の数はまだまだ少ない。また都内ではバイクの入場お断りの施設が圧倒的に多い。

都立公園の城南島海浜公園もバイクが入れないエリアに8基あり、管理人に許可を得て充電した。

コレはチャデモという規格の急速充電器。ゼロやBMWのバイクとは規格が違うので充電できない。

近藤スパ太郎[タレント/プロデューサー]:環境番組のパーソナリティを担当したことを機に、電動バイクの強烈なパワーにひと目ぼれ。俳優・MCの他、企画プロデューサー、芸能・制作プロダクションSPANCHOOSの代表を務める。[URL]近藤スパ太郎SPANCHOOSTwitter


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