2021年初頭、エンジンベースのニンジャZX-25Rにレーシングチューンを施し、実測200km/hを突破したトリックスターが、さらにとんでもないことをおっぱじめた! なんとホンダでも市販に至らなかった(関連記事参照)“250ccターボ”にチャレンジしようというのだ。我々をワクワクさせてくれるトリックスターの原動力とは?
●外部リンク: トリックスター
何馬力出るのか、見当もつかない
「4輪はターボがもはや一般的で、さらにハイブリッドのパワーユニットもあります。でも2輪の分野はまだその段階になく、僕らもコンストラクターとして技術の究極を見極めていないという思いがありました」
鈴鹿8耐や世界耐久選手権へのフル参戦、そしてニンジャZX-25RやニンジャH2Rでの最高速アタックなど、ユーザーに夢を提供してやまないトリックスターが、次なるチャレンジを開始した。冒頭のように語ってくれたのは、トリックスター代表の鶴田竜二さんだ。
2020年9月に発売されたZX-25Rとは、単なるチャレンジの素材として以上の密接なかかわりがある。発売当初からマフラーをリリースし、それをZX-25Rに装着した数種類の仕様を体感できる試乗会も開催。さらにヤングマシンの共同企画ではJARIの高速周回路で実測200km/h超えを達成し、今もZX-25Rのユーザーを楽しませるさまざまな企画を続けている。トリックスターの活動がきっかけでZX-25Rに興味を持ったというユーザーも少なくないだろう。
そんなトリックスターの新たなチャレンジは、なんとニンジャZX-25Rにターボを搭載するというもの。250cc4気筒の可能性を突き詰め、それをユーザーに還元しようとしているのだ。
いったいどこまでのパフォーマンスを目指しているのか。率直に聞いてみた。
「正直言って、どのくらいのパフォーマンスが出るのかは見当もつきません。4輪ではすでにさまざまなノウハウがあるのでしょうが、2輪ではまだまだ手探り。とりあえずの目標としては、Moto3マシンの出力60psと、最高速250km/hを狙っていましたが、すでにZX-25Rターボは後輪計測で58psが出ているので、おそらくクランク軸では70psに迫っていると思います」
軽4輪向けの汎用ターボユニットを転用したといい、まずターボユニットとマフラーなどを装着したシェイクダウンとしては順調な滑り出しのようだ。
「まだ進角や燃調なども突き詰めておらず、インタークーラーも未装着、ブースト圧は0.4と穏やかなもの。自然吸気でブン回していくと60psあたりで壊れるという話もあるようですが、ターボはまだまだこれからです。4輪のノウハウを持ったアドバイザーに協力してもらいつつですが、チューニングを進めていけば当然、問題は起こってくるでしょう。トライ&エラーで壊れるまで試してみますよ。
でも、最初からスペシャルクランクなどを投入する気はありません。まずはスタンダードエンジンをベースにどこまで行けるかです。別モノにしてユーザーのバイクとかけ離れてしまっては、ZX-25Rファンの皆さんの心に寄り添うことはできないからです。行くところまで行ったら、その後はスペシャルな技術も投入していれけば……。とはいえラム圧BOXもまだそのままですし、ノーマルエンジンベースでもやれる所はたくさんありますからね」
ターボチューニングが完成した暁には、キットパーツの販売などもあるのだろうか?
「それが公道用として成立するのか、それともクローズドコース専用になるのかはわかりませんが、もちろんそのつもりで考えています。最初にも言いましたが、コンストラクターとして内燃機関=エンジンをやり切っていない、極めていないという思いがある。今の状況ならまだそれが出来るんです。これをやり切ってから電動の世界にチャレンジしていきたいですね。もちろんZX-25Rターボが出来上がったら、ヤングマシンさんにも試乗してもらいたいと思っていますよ!」
チューニングに着手した当初から構想はあったというターボユニットの装着。なんとも楽しみな第1報だったが、まだまだ高みに上っていきそうなトリックスター&ZX-25Rターボである。第2報では大幅に進化した姿を目撃することになりそうだ!
※なお、トリックスターがZX-25R限定で行うサーキットレッスン(10月15日@スパ西浦)にて車両がお目見えすることになっている
【動画】TRICKSTAR Turbo Project / Kawasaki Ninja ZX-25R
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