佐藤寿宏のレース通信

9月の全日本最終戦は1986年以来35年振り……今年もシリーズチャンピオンが決定する

間もなく全日本ロードレース選手権が最終戦を迎えます。2021年9月18日……そう、9月に最終戦が行われるんです。コロナ禍で図らずもこのタイミングでシーズンに幕が下りることになるわけですが、これがなんと35年振りの出来事だというから驚きです。

●文/写真:佐藤寿宏

平忠彦さんが勝ったあのレース……以来?!

皆さんご無沙汰しています。お騒がせした前回の記事(削除済みですが…)以来、約2カ月振りのレース通信になります。あの一件で、多くの方にご心配をおかけいたしました。そして、あらためて多くの方に支えられていることを実感いたしました。力になってくださったヤングマシン編集部を始め、多くの皆さんに感謝いたします。これからも少しでもモーターサイクルスポーツの魅力をお伝えできればと微力ながら邁進する次第です。

※冒頭の写真は岡山の新シケイン。大きなアクシデントもなくレースを終了しましたが、体力と集中力が必要となり、難易度の高いものとなっています……。

さて、今年もMotoGP日本グランプリ、鈴鹿8耐がコロナ禍のために中止になり、全日本ロードレース選手権は9月18日(土)・19日(日)に行われるオートポリスラウンドで早くも2021年シーズンは最終戦を迎えます。

9月でシーズンオフに突入してしまう事態は長いことありませんでしたが、記憶を辿って確認してみると、1986年は9月14日に最終戦が鈴鹿サーキットで行われていました。少年ことぶきはこのレースをテレビ観戦していて、世界グランプリから帰国した平忠彦さんがワイン・ガードナーを打ち破って優勝する様を胸躍らせて応援していました。まぁ、このときは素人目にもガードナーのNSR500に対して、平さんのYZR500はストレートで速く有利だと思いましたが、その後にノンタイトルで行われたTBCビッグロードレースでもエディ・ローソンを最後のシケインで抜き去って勝ち、この時点で世界の1位、2位を破ったんだから、翌年は世界でも期待できるぞ! っと誰もが思ったことでしょう。

凱旋帰国しローソンとガードナーを立て続けに打ち破った平さんは、カッコよかった(写真は1986年・ヤングマシンアーカイブより)。 [写真タップで拡大]

ちなみに1986年の世界グランプリは年間11戦しかなく、250ccクラスにフル参戦した平さんがミザノで行われた最終戦サンマリノGPで劇的な優勝を果たすのですが、その日程は8月24日というものでした。つまり9月にはシーズンオフに入っていたという今では信じられないスケジュールだったんです。翌1987年に日本グランプリが復活し、南米ラウンドも加わり年間15戦に増えました。一方、1986年の全日本ロードレースは、年間11戦が筑波、鈴鹿、SUGOで行われていました。鈴鹿2&4レースは、GP500クラスとTT-F1クラスのみと、全クラス開催ではありませんでしたが、各クラス年間8、9レースでシリーズタイトルが争われていました。

中須賀は『パーフェクトシーズン』に届くか

2戦を残してV10、通算60勝を達成した中須賀克行(写真:中央)が全勝記録を達成するか!? 清成龍一(写真:左)は一矢を報いたいところだ。 [写真タップで拡大]

話を現在に戻します。すでにJSB1000クラスでは中須賀克行が7月のMFJグランプリでチャンピオンを決め、第6戦岡山でも優勝し、負けなしの8連勝を飾っています。この状況は開幕前からある程度予想することができました。唯一ファクトリー体制を敷くヤマハに対し、市販キット車で臨むHonda勢は、その筆頭と見られていた清成龍一の不振が中須賀の独走を許してしまったとも言えますが、安定した速さを見せる中須賀のレベルには、そう簡単に到達することはできないでしょう。それでも中須賀自身は「レースは何が起こるか分からない。過去にウエットで山口(辰也)選手に敗れたレースもあったしね」と気を緩めることはありませんでした。

清成も第5戦鈴鹿のレース2からようやく復調してきたものの、まだ去年の方がいいフィーリングで走れていたと言います。鳴り物入りで登場したCBR1000RR-Rですが、いろいろ苦労が絶えないようです。ワークス参戦しているワールドスーパーバイクでも苦戦が続いていますが何とか修正してもらいたいものです。そんな中、亀井雄大、濱原颯道、岩田悟などが速さを増してきているのが楽しみなところです。

中須賀が最終戦でもダブルウインを達成すれば、2006年にGP250で横江竜司が、GP125で中上貴晶がして以来の全勝チャンピオンとなります。もちろん最高峰クラスでは初めてのこと。その可能性は限りなく高いと言えるでしょう。

渡辺一馬(写真:右)と作本輝介(写真:中央)のタイトル決定戦になる最終戦。岡本裕生(写真:左)もST1000、1年目ながら速さを見せている。 [写真タップで拡大]

ST1000クラスは、渡辺一馬と作本輝介のAstemo Honda Dream SI Racingのチームメイト同士のタイトル争いとなっています。両者の差は19ポイントあり、渡辺が圧倒的に有利な状況ですが、後半戦に入り、作本の速さは目を見張るものがあります。作本は、人事を尽くして天命を待つと言ったところでしょう。渡辺は作本が優勝しても9位以内に入ればタイトル獲得となります。

ST600で2年目のシーズンを迎えている埜口遥希・20歳。ここぞというところで勝つ、“持っている”ライダーだ。現役の立命館大学生でもある。 [写真タップで拡大]

前戦岡山で大きくタイトル争いが動いたのがST600クラス。何とタイトル争いをリードしていた小山知良が痛恨のジャンプスタートでライドスルーペナルティ! 最後尾近くまで落ちながら意地の追い上げを見せ14位でゴールし、2ポイントを獲得しましたが、埜口遥希が長尾健吾との一騎打ちを制し今シーズン2勝目を挙げたため、埜口がポイントリーダーに踊り出ました。

小山は、レース人生で初のジャンプスタート。レッドフラッグが退去してから、シグナルが点灯するまで通常より長かったのですが、そこでクラッチに熱を入れ過ぎてしまいバイクが動いてしまったと言っていました。「後悔しても仕方がないし、最終戦は勝つことだけを考えます」と小山は気持ちを切り換えていました。

埜口102ポイント、荒川晃大90ポイント、小山は87ポイントとなり、埜口が初タイトルに向け絶好の状態で最終戦を迎えることになりました。長尾も85ポイントで続いていますが自力では厳しい状況です。こちらも、どんな結末が待っているのか楽しみなところです。

長年活躍してきた小室も今シーズンでひと区切りつける。初タイトルに向けてプレッシャーを感じているが、応援してくれる人たちの思いを乗せて最終戦に挑む。 [写真タップで拡大]

そしてJ-GP3クラスは、小室旭が130ポイント、尾野弘樹が118ポイントとなっており、その差は12ポイント。ここ2戦は尾野が圧勝しており、最終戦も尾野がリードしそうだ。小室は3位以内に入れば自力でチャンピオンを決めることになります。フル参戦最後のシーズンと位置付けている小室が悲願の王座に着くか? 尾野が逆転するか? その結末をしっかり見届けようと思っています。

あとは、九州の西側に停滞している台風14号の動きが気になるところ。金曜朝イチのフライトなんですが……、果たして飛べるのでしょうか!?


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