2019-2020シーズンの世界耐久選手権で総合ランキング3位に食い込み、ルマン24時間レースでは2度目の優勝を遂げたF.C.C. TSR ホンダフランスが重大発表。ヨシムラとSERTにもコラボレーションの動きがあり、来シーズンの戦いはオフシーズンからすでに激化を見せているようです。
全日本ST1000クラスの初代チャンピオンとなった高橋裕紀
FIM世界耐久選手権(EWC)に動きが出て来ました。まずは、F.C.C. TSR Honda Franceに高橋裕紀が加入することが発表されました。これは7月に鈴鹿で行われたテストで高橋がTSRのマシンをライディング。このときマシンの状態を的確にコメントする高橋に藤井正和総監督がべた惚れし、オファーを出したそうです。
今シーズン高橋は、日本郵便Honda Dream TPから全日本ロードレース選手権ST1000クラスに参戦。紆余曲折ありましたが、見事初代チャンピオンを獲得しています。当然、日本郵便Honda Dream TPとしては、来シーズンもディフェンディングチャンピオンとして継続する方向で話が進んでいるそうで、チーム代表の手島雄介が調整役となっています。手島は、現役時代、TSRに所属したこともあり、2009年には全日本ST600チャンピオンになっています。藤井総監督は手島代表にとって師匠でもあり、その師匠の意向に沿うように動いていました。
「子どもの頃から“世界チャンピオンになる”という夢を追い続けてきました。今までMotoGP、Moto2、250cc、昨年は、スーパーバイク世界選手権にも参戦させていただきましたが、頂点に届くことはできませんでした。日本人ライダーが世界チャンピオンになる方法を考えていたところ、藤井監督からオファーをいただきました。F.C.C. TSR Honda Franceは、実際に世界チャンピオンになっていますし、その力があります。あとは自分自身の努力で夢を実現できるチャンスをいただくことができ、とても光栄に思っています」と高橋。
来シーズンのEWCのカレンダーは、まだ発表されていませんが4月のル・マン24時間から始まり全5戦を予定しているそうです。今年までは、年またぎのシーズンになっていましたが、コロナ禍の影響もあり、2021年は、久しぶりに年をまたがないで行われる予定です。鈴鹿8耐も概要が発表され、東京オリンピックの影響もあり、7月18日(日)と1週間早い日程となっています。
まだ全日本ロードレース選手権の2021年カレンダーも発表されていませんが、鈴鹿8耐概要を見ると4月24日(土)・25日(日)に鈴鹿2&4レースがあり、筑波が6月19日(土)・20日(日)に第4戦として予定されているという暫定情報がありました。EWCと全日本が2戦重なってしまうという、うわさもあったので、できれば避けてもらいたい事案ですね。
MotoGPとEWCで世界タイトルを獲ったスズキの、次の一手
そして全日本最終戦のときにSERTと組んでヨシムラ SERT MotulとしてEWCに参戦すること鈴鹿でフランスと同時中継で発表したヨシムラは、スズキのファクトリー体制ということを強調していました。スズキは、昨年、モータースポーツ部門専門のスズキレーシングカンパニーを設立しましたが、MotoGPに一極集中することになり、実際、その成果は今年の結果を見れば一目瞭然となっています。しかし、EWCや全日本には、予算が削られ、スズキユーザーは厳しい状況となっていました。今回のヨシムラとSERTが組むことをきっかけに、MotoGP以外のサポートも復活してもらいたいものです。
新体制となったことでタイヤはブリヂストン、ライダーラインナップは、まだ発表されませんでしたが、全日本最終戦で渡辺一樹が見せていた速さは並大抵ではありません。確実に昨年より速いペースでしたし、まだまだノビしろがあると感じました。ぜひ日本人ライダーも起用してもらいたいところです。
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