
微笑みの国・タイ。バイクシーンのアツさでも知られる同国で、シェア3位にまで上り詰めた”国産”ブランドが「GPX」だ。今回はその主力モデル「デーモンGR200R」「レジェンド250ツインI/II」「レジェンド150Fi」に試乗。成長を続ける新興ブランドの実力を全方位チェック!
●写真:GPXJAPAN/ヤングマシン編集部 ●外部リンク:GPXジャパン
デーモンGR200R:洗練のライトウェイトフルカウル。”その気”にさせ、走りを楽しませてくれる
【’21 GPX DEMON GR200R】■水冷4スト単気筒SOHC2バルブ 198cc 17.7ps/8000rpm 1.75kgm/6500rpm ■155kg シート高815mm 11L ●色:赤 黒 灰 ●価格:47万800円
「デーモンGR200R」は、GPXがリリースしている、フルカウルをまとったライトウェイトスポーツ。なお今回試乗したのは、コース全長840m/最大直線155mの桶川スポーツランドだ。
まずストレートでは、198ccということもあり、国産250ccスポーツ車と比べるとやはりパンチに欠ける。しかし逆にコーナーでは、扱いやすいエンジンフィールと車体の軽さから来る優れた旋回力、加えて”その気にさせてくれる”ライディングポジションも相まって、メーカー主催の試乗会なのも忘れて(!?)普通にスポーツ走行を楽しむことができた。サスのセッティングも良く、サーキッスト走行にも耐えうる適度な硬さがありつつ、多少のギャップも吸収してくれるので、街乗りもOKな印象。
扱いやすいエンジン、十二分な足回りに、このスタイリング。それでいて税込50万円を下回る価格設定。若い世代の人でスポーツ走行に興味がある人に、一度は乗ってみてほしいバイクだ。
スチールのトラスフレームを採用したボディは洗練されたデザイン。リヤサスは7段階のプリロード調整が可能だ。
灯火類はフルLEDで、デジタルメーターもLED。
レジェンド250ツインI/II:空冷ツインを積むGPX最大モデル。バランスがよく、安心感を持って乗れる
【’21 GPX LEGEND 250 TWIN I】■空冷4スト並列2気筒SOHC2バルブ 234cc 16ps 1.53kg-m ■154kg シート高790mm 14.5L ●色:赤 黒 ●価格:45万9800円
空冷234ccツインを積むネオクラで、「I」はカフェレーサー、新登場の「II」はネイキッドスタイル。装備類では大型オイルクーラー/倒立フォーク/Wディスクブレーキなどが目を引く。走りは平和なもので、エンジンも高回転までキレイに吹け上がるものの、ドラマチックさとは無縁だ。
特筆すべきはバランスの良さ。特にアップライトなIIは”どうとでも乗れる”ような安心感がある。エンジンやブレーキは穏やかなフィーリングでハンドリングも自然。バンク角を深めていくとタイヤが滑り始めるが転びそうにはならない。カフェレーサーのIはややスポーティーでヤル気にさせるが、基本的なキャクターは同じだった。50万円切りでこの内容は大アリ!
セパレートハンドルやシート形状などで”カフェレーサー”を演出。バーエンドミラーも特徴的なネオクラモデル。倒立フォークやフルLEDヘッドランプがスポーティな印象だが、実際の走りはけっこう平和。マフラーは2in1の右1本出し、オイルクーラーは標準装備。
【’21 GPX LEGEND 250 TWIN II】●色:灰 黒 つや消し黒 ●価格:48万7300円
’21年3月にリリースされた「II」は通常のネイキッドスタイル。ゴールドのサブタンクが付いたYSS製リヤサスペンションはプリロード調整可。
レジェンド150Fi:150ccネイキッドクラスでイチオシのモデル
【’21 GPX LEGEND 150 Fi】■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 149cc 14.3ps 1.38kg-m ■143kg シート高780mm 12L ●色:黒 ツヤ消し黒 灰 ●価格:34万9800円
149cc空冷単気筒を搭載し、倒立フォークとYSS製リヤサスペンションを採用するネオクラネイキッド。エンジンは、実際のパワーはともかく250ツインよりもパンチ感がある。専用の車体で軽さが際立ち、パルス感のあるサウンドや扱いやすいブレーキなどがライダーに自信を与えてくれるため、安定志向の250ツインよりも元気よく走れるのが気持ちよさの要因だろう。路面の荒れたコーナーでもまったく気にならないスクランブラー的な性格も持っていて、街乗りからワインディングまで幅広く楽しめそうだ。35万円で買えて、イザとなれば高速道路も走れる。ハンドリングのバランスもよく、GPXだけでなくこのクラスの外車の中で比べても間違いなくイチオシだ。
敷居を低くしてバイク人口の拡大を目指す:GPXジャパン 月木代表
『ヤングマシン』本誌でもたびたびお伝えしてきたが、勢力拡大中の元気なメーカーのひとつ=タイのGPXは、日本企業進出に伴いその品質管理や生産技術を吸収。もはや”メイド イン タイランド”は東南アジアでのブランドでもある。
そんなGPXの輸入元を務めるのが、マフラーでもお馴染みの月木レーシング。クルマ同様、やがてやってくるEV化の大きな波。マフラーのみではやっていけなくなる、将来を考えた上で「バイク自体を取り扱う」という選択を下した。
GPXジャパン代表取締役 月木康人氏
注目なのは価格だが、各インプレからも分かる通り”チープ”な印象は皆無。「若者がバイトを頑張れば普通に買える。中古すら高嶺の花の昨今、GPXなら手軽に選んでもらえる。他車に乗り換えてもらっても構わない。バイクに興味を持つ入口になれれば」と語るのは月木代表。その思いはレースに関しても同じ。「’21年に始めたデーモンのワンメイクレース、実は車両レンタルも始めます。1〜3万円程度かな?」敷居を低くするため、タイヤはワンメイクでバイアス。低価格レンタルを開始しさらに門戸を広げる。「ビギナーもリターン派もサクッと楽しめる。そんなレースなら肩肘張らずに参加できると思うんです。多くの人が楽しめる、そんなバイク界にしたいですね」月木代表の言葉は、タイの日差しに負けないくらいアツいものだった。
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