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高圧窒素ガス封入オイルダンパーをベースに開発された”パフォーマンスダンパー”は、路面やエンジンが生み出す振動を吸収するもの。開発はヤマハ発動機だが、アクティブが新たに他メーカー用をラインナップした。
●文:横田和彦 ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:アクティブ
乗り味が上質となり鼓動感もよりクリアに
バイクが走るとエンジンの振動や路面の凹凸などによってフレームが細かく変形し続ける。サスペンションで例えるとスプリングの動きを抑制する減衰装置がない状態と同じで、一度発生した振動がいつまでも続いてしまう。その不快な振動を抑制するのがヤマハが開発した「パフォーマンスダンパー」だ。実は4輪の世界では効果が実証され純正採用しているモデルもある。2輪でもヤマハ車用のキットは発売されているが、より幅広い車種に展開したいというヤマハからのオファーを受け、アクティブが他メーカー車用を開発。今回はW800用をテストした。
同じ試乗ルートで装着前後を比較したのだが、その効果は驚くべきもの。走り出してすぐにハンドルやシートから伝わってくる振動が少なくマイルドになっていることを体感。細かい振動による雑味が消えるため乗り味が上質になり、エンジンが発する鼓動感がよりクリアに心地よく伝わってくる。
効果を実感しやすいのがワインディングだ。コーナーに進入する際、シフトダウンしエンジン回転数が上がったとき微振動がキャンセルされスムーズに減速できる。車体のブレが軽減されると同時にライダーの入力に対する反応も早くなるのでバンクさせやすい。同じ場所でバンクさせると装着前よりラインがタイヤ1本分ほど内側になるのには驚いた。バンク中の安定感も増すので自然とコーナーリングスピードが上がっていく。W800の本来の性能が引き出されている印象である。
段差を超えたときなどに伝わってくる振動も減るので、一般道はもちろん高速道路でも快適性が向上。ロングツーリング時の疲労も軽減される。パフォーマンスダンパーは多くの人にメリットがある機能パーツだと言えよう。
【ステーの素材と形状もキモだ】エンジン前後のマウントを利用しスチール製のステーで装着。実はこのステーの素材や形状も制振性能を大きく左右する。アルミ削り出しなども作ってテストしたそうだが、一番効果を発揮したのがスチール製だったという。
【極小ストロークで振動を減衰】作動ストロークは1mm以下なのでダンパー自体を手で動かしてもびくともしない。興味深いのは、見た目は同じだが減衰力が異なるタイプが数種類存在するということ。その中から車種に合わせて適切なものを選んでいるので、指定車種以外に転用しても効果は期待できない。
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