シエル T9Sツアーメイト試用インプレッション【必要かつ十分な日本仕様のインカム入門機】

イタリアのインカム「ミッドランド」を取り扱うリンクスが、新ブランド「シエル」をリリース。ツインパックで2万円を切りながら、4人までの同時通話や日本語音声案内などを実現する。さっそくテストした。


●まとめ: 大屋雄一 ●写真: 真弓悟史 ●外部リンク: シエル

[○] 日本語案内の安心感。機能的にも満足度高し

長年、ミッドランドのインカムを取り扱ってきたリンクスが、「シエル(CIEL)」という新ブランドの製品をリリースした。世界での販売台数が15万台を超える2輪用インカムを日本専用モデルとしたもので、音声案内を日本語としたり、FMラジオの周波数帯を日本向けとしながら、シングルパックの価格は1万円を切る。

使い方は、2輪用インカムとしてはごく一般的で、スマホとの接続もすぐに済んだ。音楽などを聞きながらのインカム通話や、スマホの複数台登録といった複雑な機能を持たない分、覚えるべき操作や手順が少ないので、インカムが初めてという人にはむしろ好都合かもしれない。

実際に使ってみての印象はなかなか良い。スピーカーから聞こえる音楽は、もっと高音質だったり低音を強調したインカムもあるが、十分以上にクリアであり、シャカシャカとした耳障りな音質ではないのは確かだ。ノイズブロックやノイズキャンセルもきちんと機能しており、これで1万円以下とは驚きしかない。

高機能ゆえに操作が複雑に、さらに価格が高くなりすぎたライバルへの強烈なカウンターパンチ。ナビアプリの音声案内や、仲間とのインカム通話が主体ならこれで十分だ。

【シエル T9Sツアーメイト】ツアーメイトはシングルとツインパックの2種類をラインナップする。バッテリーの容量は800mAhで、IP67相当の防水性能や2種類のノイズキャンセル機能などを盛り込む。 ●価格:9980円(シングルパック) 1万8800円(ツインパック)

【各タイプのヘルメットに対応】これがセット一式で、取り付けベースは粘着タイプとクリップタイプがある。ブルートゥースチップは高性能で知られるCSR社の製品で、スピーカーは高音質なHi-Fiタイプだ。日本の周波数に対応したFMラジオも。

【マイクは2種類同梱】シングルパックで1万円を切りながら、フルフェイスヘルメット用とジェットヘルメット用の両マイクを同梱。さらに帽体への取り付けベースも2種類同梱する。

スピーカー&マイクジャックは、防水性を高めるために2段階の押し込み設計を採用。本体は85gと軽量で、かつ薄いのが特徴だ。

充電用のUSB端子はmicroBで、充電時間は約3時間。連続通話時間は最大16時間を公称し、丸一日のツーリングにも十分対応する。

【最長通信距離は800m】ツインパックはアマゾンで1万8800円で、シングルよりもお買い得な設定だ。800mもの最長通信距離を公称し、たとえそれ以上に距離が離れても圏内に戻れば自動的に復帰する機能もある。ソロ向けの「ミュージックメイト」もリリース予定だ。

[△] ボタンがフラットで位置が分かりにくい

写真で見て分かるように、ボタンがフラットでグローブ越しだとどれを押しているのか分かりにくい。

[こんな人におすすめ] リンクスが扱うインカムだけに安心感は大きい

アマゾンなどのネット通販サイトでは、聞いたことのないブランドの格安インカムがたくさん販売されている。価格帯としてはシエルもそこに属するが、取り扱いがリンクスなので修理依頼などのアフターサービスは万全だ。インカムの便利さを試すには最適だろう。


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