
21世紀に入って間もなくの2001年春、1基の1000ccVツインエンジンが日本で公開された。造り手は国内4メーカーではなく、四輪チューナー、コンストラクターとして名高い無限(現M-TEC)だ。それまでも、同社は主に国内二輪レースのフィールドでエンジンやシャシーのチューンを施し、数々の挑戦を行っていたものの、その「MRV1000」というエンジンは異例のトピックだった。レース用ではなく、しかも公道用ロードモデルエンジンの新規開発だったからだ。
●編集:モーサイ編集部(上野茂岐) ●レポート:阪本一史(元・別冊モーターサイクリスト編集長) ●写真:八重洲出版(別冊モーターサイクリスト2001年6月号)/ジェネレイト(撮影・柴田直行)
無限なのに!? 公道向けロードスター用エンジンを新規開発
無限を語るとき、必ず紹介の端緒となるのは、四輪レース用エンジンのコンストラクターとしての一面だ。1990年代にホンダから引き継ぐ形でF1用エンジンを開発・供給し(供給先はフットワーク、チームロータス、リジェなど)、優勝を含む活躍を遂げたのが印象深いが、さかのれば二輪レースとの縁も浅からぬものがあった。
1973年の創業以来、二輪、四輪のチューニングパーツの開発と販売を行っていたが、1976年から1992年までの全日本モトクロスにはホンダエンジンをベースにしたオリジナルモトクロッサーMEで参戦し、エンジンの水冷化、アルミフレーム採用など数々の新機軸を盛り込んだマシンを走らせてきたからだ。
ほかにも、1984、1985年の鈴鹿8時間耐久には、CBX750Fエンジンをオリジナルフレームに搭載したマシンで参戦している。
また、市販量産車の開発にも乗り出している。ホンダXR250エンジンをオリジナルフレームに搭載した、ダートトラックレーサーMFT250である。
しかし、同車はXR250以外のエンジン搭載にも対応し、排気量アップなどの拡張性にも配慮したオリジナルフレームが特徴。このMFT250によって、これまで公道用レプリカモデルしか生産してこなかった国内メーカーに先んじて、本格的なダートトラックレーサーの普及にもトライしている。
無限が作った空冷・OHV・Vツイン「MRV1000」とは――。
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