クラシカルなセミダブルクレードルフレーム、そこには乗りやすさと楽しさを込めたスペックが! 前輪の少し遅れて反応する設定がもたらす安心感、すべてにクイックでない特性は、ビギナーだけでなくエンジョイ派のベテラン好みでもある。
●文:ライドハイ編集部(根本健) ●写真:RIDE HI 編集部、本田技研工業
ライダーが馴染みやすいタイムラグを造り込んでいる
空冷の単気筒でトラディショナルなデザイン。雰囲気重視のバイクだから、そもそもローテクだろうと思いがち。
ところがさすがホンダで、この鋭さなど無縁と思える外観からは想像もつかない、最新テクノロジーが駆使されているのだ。
というと、すぐエンジンを思い浮かべると思う。確かにそれもあるのだが、ここではまず車体というかフレームの技術について説明しておこう。
このバイク、燃料タンクに隠れて目立たないのだが、ステアリングヘッドというフロントフォークが装着されている、メーターパネルの下の舵を切る中心軸の位置(ヘッドパイプ)と、エンジンの一番上との間隔が間延びした感じに広いのが特徴的。
そしてエンジンを支えるフレーム下側のマウント位置と、そのヘッドパイプとの距離が長く、リーンをしてから車体が曲がりはじめるまでの、ライダーが馴染みやすいラグ、つまりちょっとだけ遅れる感じを醸し出しているのだ。
遅れると聞くと、どこかスポーティさを欠く印象を与えるかも知れないが、実際には一瞬のラグも感じさせないはず。
ライダーというか、人間の感性は2次曲線的にジワッと増えたり動いたりする特性に馴染みやすい。いきなり予告もなく、バッと押されたり、サッと引かれたりすると咄嗟に反応できたとしても不安になり常に身構えなければならなくなる。
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