●まとめ:沼尾宏明 ●取材協力:アライヘルメット
アストロGX:全方位的に快適性がアップ。着脱も被り心地もイージー
現行のアストラル‐Xに代わるツーリング向け新作フルフェイスが「アストロGX」だ。新型コロナ禍により発売が延期されたが、一段と装備を熟成して、ついにデビュー。「アストロ」とは同社の旅向け万能シリーズに冠される名称で、久々の復活となる。
帽体は、衝撃を滑らせてかわす丸いフォルムを堅持しつつ、強靱さと軽量化を両立。その上で、着脱のしやすさ/疲れにくいフィット感/空力特性/快適な換気性能といったツーリング適性を高める工夫が随所に施されている。
ユニークなのはフロントロゴダクトだ。ロゴ下部に吸気孔があり、従来のような前傾時に加え、体が起きたライディングポジションでも効果的に走行風を取り入れる。実際、上体が直立するバイクでテストしたところ、発進直後から額上部に通風している感覚があった(テスト時の気温は14度)。また、頭頂部の左右にあるダクトも、アストラルXより小型ながら効果は同等。夏場の涼しさに大いに期待できるだろう。
被り心地は、優しくも適切。RX‐7Xのようなレーシング系よりソフトながら、頬や前頭部を面でしっかり包み、ロングランでも疲れにくい。ボトム部を前後左右に5mmずつ広げたことで、着脱がしやすいのも本作の大きなポイント。同時に口元のスペースが広がり、圧迫感が減ったのも嬉しい。
走行中は100km/hでもピタッと安定。乱流を抑えるスポイラーの恩恵が大きい。やや巻き込みはあるが、不快な音はなく、静粛性もさすが。さらにスイッチの操作性に感心した。ロゴ部を除く各ダクトは3段階調整で、微妙に”利かす”ことが可能なのだが、スイッチが大きい上に動きが滑らかなので、グローブでも簡単に調整可能だ。
トータルでもストレスに感じる点がなく、快適に旅ができる。まさに老舗ならではの出来。プロシェード別売で前作から1100円増だが、確実に性能は向上している。
カラーバリエーション
RX-7Xシリーズ
RX-7X:技術の粋を集めたハイスペック仕様
空力や安全性を追求したアライの頂点モデル。滑ってかわす範囲を一段と広げたVAS-Vシールドをはじめ、モトGPなどの実戦から開発したエアダクト/可変式エアロフィンを備える。レースのほか、様々なシーンで活躍可能だ。
RX-7X FIMレーシング#1:モトGPも参戦OK。本格レース派へ
最高峰のRX‐7Xをよりレース向けにモディファイ。内部構造などの変更でより軽量化した帽体に、超高速域で安定する大型エアロスポイラーを与えた。認定販売店での限定販売だ。
RX-7X SRC:カーボン仕様
航空宇宙技術用に開発された高強度カーボンファイバーを積層。圧倒的な軽さと剛性を獲得した。RC正規販売店で購入できる。
ラパイドネオ:見た目はクラシック、中身は最新&安全
ディフューザーを備えない帽体や3本スリット、カバーレス構造のホルダーなどで’80年代風ビンテージフォルムを再現。同社初のインナーベンチレーションや、高い安全性も魅力だ。
アストラルX:大人の上質ツーリングモデル
RX-7Xの安全性能はそのままに、落ち着いた雰囲気と快適性をプラスしたツアラー仕様。密閉性に優れ、風切り音の少ないエアダクトが特徴で、外付けバイザーも標準装備する。
XD:パワー系クルーザーに似合うマッシブ+快適ツアラー
大型チンガードとメッシュ付きスリットによる筋肉質な外観が自慢。VASシールドで高い安全性を確保するほか、RX-7Xと同様のエコピュアー内装も備える。スリットと後部スポイラーは開閉式で快適性も高い。
ベクターX:前後W吸気ダクトで車種を問わず換気良好
アライヘルメットのベーシックモデルながら、VASシールドや抗菌内装、スピーカーホールなど機能充実。額のほか後頭部にもエアインテークを設置し、前傾でもアップライトなライディングポジションでも快適だ。
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