「凄い顔だなぁ……」カワサキNew ZX-10RRが発表された時の印象だ。しかし、いつの時代も新しい物は違和感を抱くもの。写真を見ながらこうして10Rの記事を何本も書いていると見慣れてきた。さらに試乗会場で実際に対面すると、ダウンフォースを稼ぐ顔は僕の中でシャープな印象に変わっていった。
●文:ライドハイ(小川 勤) ●写真:益田 和久
思ったよりも小顔だけれど……
ウイングレットの役割も果たすフロントマスク。この発想だけでかなり新しい。ヘッドライトを装着する市販車は、レーサーと違いいろいろな制約があるはずだが、10Rはそこに挑戦した。実際に対面すると思ったよりも小顔。でも、とても複雑な形をしている。
久しぶりのリッタースーパースポーツ、試乗コースは愛知県のSPA西浦だ。10Rに限った話ではないが、サーキットで1,000ccスーパースポーツに乗る前は本当に緊張する。200psオーバーのエンジンは、もはや扱うとか乗りこなすとか、そういうレベルのモノでない。
所有する悦び、最高峰の技術を知る悦び、10Rに関してはSBKチャンピオンマシンの片鱗を知る悦びもあるだろう。
公道やツーリングではもっと乗りやすいバイクはたくさんあるが、10Rにはそんな特別感があるからこそ、苦行にも感じる前傾のキツさ、200psもあるのにまったくスロットルを開けられないジレンマがあっても乗りたくなるのだ。
果たして僕は200psに反応できるのだろうか……。散々スーパースポーツに乗ってきているのに、走り出してもその気持ちはなかなか拭えない。とにかく油断大敵なのだ。タイヤも新品だったので、まずはモードを「ロード」にして走り出す。印象的なのはスロットル操作に対する車体の反応が穏やかなこと。4、5、6速をメインに使って身体とタイヤを温めていく。
ちなみに、タイヤの空気圧は冷間で前後1.9キロ。サーキットは内圧が上がるので、標準よりは低めで走り出したい。
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