三部新社長が就任会見で明言

ホンダが電動スポーツバイク計画を発表【‘24年にはパーソナル領域の原付クラス車も投入へ】


●文:ヤングマシン編集部 ●情報提供:ホンダ

’21年4月1日にホンダの9代目社長に就任した三部敏宏氏が記者会見を行い、今後のホンダの進むべき道を示唆する中で「2輪車の電動化」についても言及。‘24年までにパーソナルユースの原付クラス車両3機種を投入すると発表したうえ、ホンダが「FUN領域」と呼ぶ、中〜大型スポーツ系バイクのEV商品も計画中と発表された。4輪ではキーワードとなっている「電動化」の波が2輪でも加速しそうだ。

パーソナルユースの2輪も電動化を推進

「ホンダは意志を持って動き出そうとしている人にパワーを与える会社になる。つまりは”Powered by HONDA”だ」と述べた三部社長は、以前からの目標「2050年カーボンニュートラル化/自社の2・4輪が関与する交通事故死者ゼロ」について改めて説明。4輪では2040年にグローバルでEV/FCVの販売比率を100%にするなど、カーボンニュートラル化に向けて邁進することなどを発表した。

2輪車の電動化については「高額なバッテリーを車体と切り離して考えることが普及のカギ」とし、PCXエレクトリックなどが採用している”モバイルパワーパック”を活用した電動化を企業や自治体と推進していくと説明。いっぽう、一般ユーザー向けにはバッテリー共有化や交換ステーションの設立など他社との協業もポイントとなるため、すでに日本/欧州で発足しているバッテリーコンソーシアムで合意した交換用バッテリーの標準化などに取り組むとし、さらにビジネスバイクにとどまる現状の電動車ラインナップをパーソナル領域にも拡大、’24年までには原付一種/原付二種クラスのパーソナル向け電動バイクを3機種投入すると発表した。

さらに注目したいのは、ホンダが「FUN領域」と呼ぶ、中〜大型クラスのスポーツバイクについても「EV商品の投入を計画」と発表されたことだ。今回はその投入時期やジャンルまでは明かされなかったものの、2輪トップメーカーであるホンダがついに電動スポーツバイクの投入に踏み切ることは、今後のバイクを取り巻く状況や流れに大きな一石を投じることになるだろう。

2輪はスペースや航続距離などの問題から4輪以上に電動化が難しく、現時点では電動化に向けた法規制や明確なロードマップはまだ提示されていない。ところが’20年12月に、小池百合子東京都知事がそうした課題を顧みずに「2035年に都内で純ガソリン2輪車の新車販売を禁止する」と発言したことで、電動化に向けた議論がなされないまま、注目度だけがにわかに増しているという状況にある。そんな状況下でホンダが電動スポーツバイクの投入を明言したことは、競合メーカーにとっても衝撃のはずだ。

三部社長は4輪のエンジン開発畑の出身で、内燃機関にも深い理解があり、「水素燃料やカーボンニュートラルフューエルなどで、ファン領域向けの内燃機関4輪車が生き残る可能性はある」と発言しているものの、大きな流れの中では少数派になっていくとの立場も示している。この流れは2輪にも波及していくと考えられ、その意味でもホンダがどのような電動スポーツバイクを投入してくるのか、非常に注目されるところだ。


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