軽二輪クラスに新たなトラベルエンデューロ「KTM 250アドベンチャー」が登場。先に登場した390アドベンチャーの兄弟車で、250デューク譲りのハイパワーな水冷シングルを搭載。KTMが生んだ等身大のアドベンチャー、その走りは優秀だった!
[◯] 快活に回るエンジンと操縦のしやすさが光る
’20年2月に発売された390アドベンチャーに続き、日本市場にとって待望の250アドベンチャーが登場した。390と同様にベースとなっているのはネイキッドのスモールデューク系で、フレームやエンジンなど主要パーツを共有しながら専用外装を与え、フロントホイールを19インチ化。さらに前後のホイールトラベル量を伸ばしてアドベンチャーらしいスタイルを構築している。
【’21 KTM 250ADVENTURE】■軸距1460 シート高855(各mm) 車重159kg(半乾) ■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 248.8cc 30ps[22kW] 2.5kg-m[24Nm] 変速機6段リターン 燃料タンク容量14.5L ■ブレーキF/R=ディスク ■タイヤF=100/90-19 R=130/80-17 ●色:橙 ●価格:67万9000円 [写真タップで拡大]
250デュークのスチールトレリスフレームや鋳造オープンラティス構造のアルミスイングアーム、水冷単気筒エンジンをベースに、ホイールトラベル量を増やしてフロントを19インチ化。390よりもコストダウンが図られている。 [写真タップで拡大]
2気筒のカワサキ ヴェルシス-X250が33psなのに対し、単気筒で30psを絞り出す250デューク由来のエンジンは、低回転域からトルクフルかつ7000rpmを過ぎてもうひと伸びするという、回す楽しみにあふれた特性だ。張りのある回転フィールとでも言おうか、スロットルレスポンスがみずみずしく、高速巡航ですら飽きることがない。走行モードの切り替え機構などはないが、その必要性を感じないほど扱いやすい。さらに、バランサーによる不快な微振動の少なさやスリッパークラッチの採用など、完成度の高さは単気筒史上でトップクラスだと思うほどだ。
ハンドリングもいい。ステアリングヘッドの低さから、ネイキッドベースであることが顕著だが、フロント19インチホイールと、デュークよりもナロー化したリヤ17インチホイールにより、アドベンチャーらしい安定性に優れたハンドリングを構築している。荒れたアスファルトやフラットなダートでは、キャストホイールによるバネ下の重さがバタつきとして現れるが、それでも直進性が失われないのはさすがと言える。
φ320/230mmのディスクを組み合わせたブレーキはデューク譲りで、バイブレ製のキャリパーによるコントロール性は良好だ。採用されているオフロードABSは、これをオンにするとリヤの介入をカットするほか、フロントのABS動作も穏やかになる。実際に未舗装路で比較したところ、オンにした方が使いやすいと感じたのでお試しあれ。 防風効果は100km/h巡航を楽にこなせる程度には高く、座面が広いのでロングも快適。価格的にも日本車と真っ向勝負できる秀作だ。
φ43mm倒立式フォークとプリロード調整可能なリヤショックはWP製で、ホイールトラベル量は170/177mm(250デュークは142/150mm)。ブレーキキャリパーは前後ともバイブレ製だ。 [写真タップで拡大]
[△] 小柄なライダーは足着き性がネックに
シート高が855mmと高く、乗車1Gでの沈み込みも少ないため、足着きの厳しさが顕著に。ただ、ライバルのカワサキ ヴェルシス-X250やスズキ Vストローム250よりも10kg以上軽いので、腰をほんの少しずらして片足を着けば楽に車体を支えられる。
[こんな人におすすめ] 軽二輪に新たな刺客が登場。390と迷うかも
立ち位置はネイキッドベースのトラベルエンデューロで、パニアやトップケースなども用意。プラス10万円の390はトラクションコントロール/コーナリングABS/スマホ対応のメーターまで採用するので、車検の有無を気にしないならそちらも検討しては。
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