通勤中も仕事中も布団の中でも身体改造![ゴーライド]

ライディングが上手くなる、”ながら”体幹エクササイズ〈セルフ身体メンテナンス|後編〉


●文/写真/イラスト:ゴーライド編集部(小泉裕子) ●タイトル写真:長谷川徹 ●講師:倉田圭 ●監修:浅谷健介(日本指圧専門学校/横浜訓盲学院)

家の中ではもちろん、通勤中や仕事中でも”ながら”でできる「セルフ身体メンテナンス」として、前編ではまず鍛えるべきインナーユニット、そしていわゆる”体幹”とは何か、鍛えるメリットなどを紹介した。後半ではいよいよ呼吸法やエクササイズを紹介するのだが、エクササイズで鍛えるべき筋群は普段感じることが難しい筋肉。それらを鍛えるのに重要なのは”意識すること”。まだ前編を読んでいない人はまず前編からスタートしてほしい。前編で”知って意識し”、後編で”実践”すれば、オフロードライディングはもちろん、日常生活や老後にも効いてくる身体改造ができちゃうゾ!

体幹エクササイズ
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【講師:あん摩マッサージ指圧師 倉田圭】あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持ち、20年来のカブ主であり軽快なリズムを叩き出すドラマーのケイ先生。カブに始まりカブに終わる、クラッチ操作を知らない漢。バイクもドラムも”体幹”がキモ!

ドローイン=呼吸法でエクササイズ効果は5割以上変わる!!

体幹エクササイズを実践する前に、ケイ先生が最も重要だという「呼吸法=ドローイン」を紹介する。体幹エクササイズを無駄なく生かすのに欠かせないポイントであり、このドローインをしながらエクササイズするのとしないのとでは、なんと効果が5割も違ってくるというのだ!!

今回教わる体幹エクササイズは”ながら”でもいい、自分のできる範囲だけでもいい簡単セルフ身体メンテナンスという位置付け。そんな簡単な体幹エクササイズでもその効果が無駄なく生きてくる”神の息吹”、それがドローインなのだ。

ドローインとは……

簡単にいうと「お腹を凹ませたまま呼吸をするトレーニング」のこと。お腹を凹ませた状態をキープしたまま普通に呼吸をすることで、身体の一番奥にある筋肉たちまで収縮させることができるのだ。

ドローインをやってみよう!

この「呼吸法=ドローイン」は仰向けでも座っても立ってもできるが、最も自分の身体の状態がわかりやすい仰向けの姿勢で説明する。どのポーズでも鼻から吸って口から息を吐こう。

<仰向けでドローイン>

  1. 仰向けに寝てヒザを立てる。
  2. その状態で息を口からゆっくり吐いてお腹を凹ませる。
  3. 息を吐ききってお腹を凹ませた状態で、浅い呼吸を繰り返しながら10〜30秒ほどキープしたら脱力する。

仰向けで何度か腹式呼吸をしてお腹を動かしておくと、しっかりと息を吐き出してお腹を凹ませやすくなる。

<座ってドローイン>

  1. イスに浅めに腰掛け、姿勢をよくして胸を張る。
  2. その状態で息を口からゆっくり吐いてお腹を凹ませる。
  3. 息を吐ききってお腹を凹ませた状態で、浅い呼吸を繰り返しながら10〜30秒ほどキープしたら脱力する。

<立ってドローイン>

  1. 足を肩幅くらいに、胸を張り背筋を伸ばして姿勢を正す。
  2. その状態で息を口からゆっくり吐いてお腹を凹ませる。
  3. 息を吐ききってお腹を凹ませた状態で、浅い呼吸を繰り返しながら10〜30秒ほどキープしたら脱力する。

ドローインの最大のメリット=誰でもどこでもいつでもできる

筋肉トレーニングやエクササイズにおいて、その効果を5割増しにしてくれるドローインのすごさは前述した通りだが、実はこの呼吸法をしているだけで、すでに身体の一番深い場所にあるインナーマッスルがじわじわと鍛えられてもいるのだ。そんなドローインのさらにわかりやすいメリットも紹介する。

  • いつでもどこでもできる
    思い立った時にいつでもできるので、仕事中でもツーリング中でも通勤中でも布団の中でもできる。
  • 老若男女誰でもできる
    ドローインは運動強度もなく、運動神経を必要としていないので、運動が苦手でも体力にまったく自信がなくても簡単にできる。
  • 時間もお金もかからない
    やろうと思った時にやれるので”運動する時間”をあえて作る必要もなく、もちろんジム通いなども不要。

ドローインを覚えたら体幹エクササイズを実践しよう

ここまでで、鍛えるべき筋群を知り、意識することを覚え、トレーニングなどのブースターにもなる呼吸法を身につけたことと思う。いよいよ4つのインナーユニットである横隔膜筋/多裂筋/腹横筋/骨盤底筋と部位別に効果のあるエクササイズを実践してみよう。

体幹エクササイズ
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体幹のうち腹腔を構成するインナーユニット×4種
(1)横隔膜筋
(2)多裂筋
(3)腹横筋
(4)骨盤底
いまいちど、しっかりと鍛えたい筋群を意識する。

もちろんエクササイズでは筋肉とともに呼吸も意識して、体勢のキープ中などに呼吸を止めてしまわないように気をつけること。

横隔膜筋を鍛える

呼吸の活動の8割を担う、呼吸の要である横隔膜筋。ここを鍛えることでお腹周りが締まり、胃腸の不調改善や呼吸が深くなることで血行促進し、気持ちも明るくなるのだ。

  1. 仰向けに寝てヒザを立てる。カカトはヒザの下くらいに。
  2. 頭と肩甲骨で支えながらお尻を浮かせる。
  3. 肩からヒザまでが一直線になるように姿勢をキープ。
  4. その状態で呼吸しながら20〜30秒キープし、脱力する。これを2〜3回くり返す。

お尻が下がってしまったりしないように、イメージは肩からヒザまで一直線。そしてこの体勢をキープ中もしっかり呼吸をしよう。

多裂筋を鍛える

首から腰まで背骨に沿って走り、姿勢の安定や上体の動作をサポートする多裂筋。ここを鍛えることでお腹周りが締まり、腰痛の予防&改善の効果が大きく期待できるほか、上体が安定し身体のバランスがよくなるのだ。

  1. 仰向けに寝てヒザを立てる。
  2. 肩から足までが一直線になるようにお尻を浮かす。
  3. 一直線になったまま片足をあげて姿勢をキープ。
  4. その状態で呼吸しながら20〜30秒キープし、脱力する。これを2〜3回くり返す。

肩から足まで一直線をイメージしよう。足を上げすぎたりお尻が落ちてしまうと、違う筋肉トレーニングになってしまうので注意。

腹横筋を鍛える

腰まわりと体幹を安定させる働きを持つ腹横筋。ここを鍛えることでお腹周りが締まり、腰痛の予防&改善の効果が大きく期待できるほか、便秘解消や身体の軸がしっかりして転倒防止にもなるのだ。

  1. 仰向けに寝て軽くヒザを立てる。
  2. 頭の後ろで両手を組み、アゴを引く。
  3. 軽く上体を丸めながら肩甲骨を浮かせる。
  4. その状態で呼吸しながら20〜30秒キープし、脱力する。これを2〜3回くり返す。

しっかりと肩甲骨を浮かせることが大事。胸が圧迫されて思わずキープ中に息を止めてしまいがちだが、ちゃんと呼吸をしながら体勢をキープしよう。

骨盤底筋を鍛える

骨盤内の内臓の位置を持ち上げ、支えてくれる骨盤底筋。ここを鍛えることで尿道や肛門、膣を引き締める効果があり、尿漏れなど尿関連の悩みがある人には特にオススメなのだ。

  1. 仰向けに寝てヒザを立てる。
  2. 丸めたバスタオルなどを両ヒザでしっかり挟む。
  3. 肩からヒザまでが一直線になるようにお尻を浮かす。
  4. その状態で呼吸しながら20〜30秒キープし、脱力する。これを2〜3回くり返す。

肩からヒザまで一直線にするのがポイント。寝る前にマクラを挟んでエクササイズするもよし。もちろん体勢をキープ中も呼吸は止めずに。

ドローインだけでもいい。まずは3週間試そう。確実に身体が変わる

オンでもオフでもライダーを悩ます腰痛の予防や軽減はもちろん、オフロード走行でダートから受けるブレや衝撃など、それらに動じない身体作りに貢献し、身体を適正な位置に導いてくれるインナーユニット。

それらをお家でコロコロしながら鍛えられるのだ。何気ない日常で少しずつやってみるだけでもいいから、まずは3週間試してみよう。ライディング中はもちろん、落としたものを拾う時、階段を駆け降りる時、お風呂で足の裏を洗う時、そんなふとした瞬間からも確実に自分の身体の変化を感じられるはずだ。

もし体幹エクササイズをする余裕がなかったり気が向かないのであれば、気がついた時にドローイン(呼吸法)だけでも意識して実践してみてほしい。テレビを見たり本を読みながら、仕事をしながらや通勤中でもいつでもどこでもいいのだ。

ドローインだけでも続けていくうちに、少しずつインナーユニット全体の強化につながり、身体の芯が強固になり内側から身体が変化していくのを感じられるはずだからだ。

また、各部位ごとに目的を決めて鍛えてみるのも楽しいかもしれない。腰痛に苦しむ人は腹横筋と多裂筋にスポットを当てる、胃の不調や逆流性食道炎に悩んだり、気分が鬱々とする人は横隔膜を鍛えるといいだろう。横隔膜を鍛えることで深い呼吸を得ることができ、自律神経のバランスが整い血行も促してくれるからだ。

男性なら男らしい腰周りを、女性なら締まってクビレのあるお腹周りを作りたいのであれば、腹横筋を重点に鍛えるなど。さらに骨盤底筋を鍛えることで、女性特有の尿もれ予防や防止、男性の大事な部分がとても元気になったりもするのだから、なんでもありのスゴさも感じて、鍛える楽しさも味わえること間違いナシ!!

今まで「体幹エクササイズ」という言葉やポーズを見かけても、なんとなく敬遠してきた人がいたら、ぜひこれを機に始めてみてはいかがだろうか。繰り返すが、ドローイン=呼吸法だけでも、確実に身体は変わる!!


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