●文/写真:モトメカニック編集部 ●取材協力:KTC(京都機械工具)
安全で快適、環境対策をしながら燃費性能も追求するために、さまざまな電子機器を搭載した現行車。それに対して、必要最小限のメカニズムで動くのが旧車や絶版車の魅力。部品点数が少ない分だけ整備性は悪くないが、最新鋭のコンパクトな工具を用いることで作業効率は大幅に向上する。
基本作業ですら容易ではない現代のバイクにはシブイチ
スパークプラグ交換やガソリンタンクの着脱など、メンテナンスの入り口とされた基本作業ですら容易ではないのが現代のバイク。
かつてプラグを頻繁に着脱したのは、始動に手こずってかぶらせることが多かったから、いつでも一発始動が当たり前のフューエルインジェクション世代にとって、そもそもガソリンで濡れたプラグを外す必要がないという現実はある。
’70年代に製造されたバイクは、機種を問わず部品の配置に余裕があって手入れがしやすい。始動装置/燃料装置/点火装置といった要素に変わりはないが、電子デバイスで密な現代車に比べてスカスカで、ドライバーとスパナで大抵の作業は何とかなる。
そもそも当時のソケット工具の差込角は12.7sq.が主流で、自動車整備向けに9.5sq.が普及し始めた頃。バイク整備には持て余す存在だった。
しかしそれから半世紀を経た我々の手には「シブイチ」がある。小さなヘッドに90枚ギアを収めたネプロス6.3sq.ラチェットハンドルは、かつてのスパナ並みのサイズ感で扱うことができる。もちろんボルトナットを回すスピードは比べものにならないほど快適でスピーディーだ。
所有して乗るだけでなく、日頃からメンテナンスを実践することでいじる楽しさを実感できるのがバイクの重要な魅力。長い歴史を刻んできた絶版車でこれからもバイクいじりを楽しみたいなら、使い勝手の良いシブイチ工具を積極的に活用したい。
力が入りにくい場所でこそコンパクトなシブイチが本領を発揮
ネプロスの6.3sq.シリーズは、小判形ヘッドとして世界最高クラスの90枚ギアを採用したラチェットハンドル「NBR290」を筆頭に、ドライバ型やスライドヘッドなどの駆動工具も徹底したこだわりで設計されている。ソケットやビットを指先で回せるクイックスピンナなど、6.3sq.ならではの使い勝手の良さを実感できるだろう。
六角部5mmのビット長を比較すると、スタッビ4.5mm/スタンダード23mm/ロング63mmと明確な違いのあるヘキサゴンビットソケット。ねじれにくいスタッビタイプ、エクステンションバーを使わなくても深いボルトに届きやすいロングタイプには、スタンダードとは明確に異なる特長がある。
セルモーターの着脱に役立つユニバーサルジョイント
首振りのために必要な2本の回転軸を同軸上で直交させるグランドクロス機構を採用したユニバーサルジョイントは、約60度の最大振り角でもスムーズに回転し、ハンドルから加えた力が逃げない伝達性の高さが魅力。
外観を見れば分かるとおり、8mmのソケット外径が11mm、10mmソケットの外径は13.4mmと、ネプロスソケットの外径は多くのめがねレンチよりも圧倒的にスリムで狭い場所での作業で重宝する。肉厚の薄さを追求しながらボルトナットとの接触を面接触としたパワーフィットによって、締め/緩め作業の確実性を向上させている。
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