美しいバイクはホイール仕上げから[モトメカニック]

古いスポークホイールを完全自作で復活させる術【ダチ製ステンレスブランクスポークで再生】


●文/写真:モトメカニック編集部 ●取材協力:ダートフリーク フェイス

古いスポークホイールを自分好みに作り替えるにあたって、もっとも重要なのはスポークの張り込み工程。だが張替え用スポークのチョイスには迷うところ。ここではダチ製のブランクスポークを曲げて、完全自作ホイールに挑戦する。

自信を持って勧められるダチ製ステンレススポーク

廃盤のスポークでも需要が多いものは独自に製作しているスポークホイール専門店・フェイス。特にダチ製のステンレススポークは使用する機会が多く、この商品の登場に助けられた場面もあったそうだ。

「昔と違って今のステンレススポークは、硬すぎず靱性があって、まず折れることがありませんからね」とフェイス鈴木氏。ダチ製スポークは自信を持ってお客さんにお勧めできる商品だそうだ。

今回は、スポーク購入前に寸法測定方法を教わった。一番大切なことは、リムの孔数や向きとハブ側の孔数とスポーク孔PCDが一致していること。36孔ハブに40孔リムは組めないし、同じ孔数でも、ドラム用リムとディスク用リムでは、ディンプル孔の角度が異なり、思い通りに組み立てられない。

たとえば、無理な組み込みではスポークが”弓張り”になってしまう。ここでは、マッチングの確認とスポーク寸法を測定し、スポークオーダーから仮曲げの様子をご覧いただこう。

マッチングの確認とスポーク寸法測定

リムの中心にハブをセットするイメージで仮置きし、ハブの外周とリムの内側を同じ寸法になるように確認する。その状態をキープして、スポークの長さを実測し決定する。

ダチ製ブランクスポークの長さを決定するには、スポークを引っ掛けるハブフランジ部分の厚さと、リムのニップル穴とハブ穴間の寸法の”和”だ。4MM+174MM=178MMだが……

ここでフェイス鈴木氏からひとこと。この寸法測定はおおよそと考え、内掛けは距離が近くなるので-2MM。外掛けは大回りで距離が遠くなるため、+2MMにすると良いそうだ。

使用した工具はこちら

ダチのブランクスポークを曲げるためのDRC製専用スポークベンダー。こんな商品を作るダートフリークのマニアックさはハンパじゃない。もちろん純正スポークの流用で曲げ込みを増したいときなどでも利用できる。

こちらもDRCのUNITブランドから発売されているニップルレンチ。様々なサイズがあり、それぞれ単品で購入することができる。フェイス鈴木氏によれば、先端形状の改造で使いやすさが高まるそうだ。

ニップルサイズに合せてワッシャーもラインナップされているため、曲げで組み込んだスポーク先端が僅かに飛び出すような際には、ニップルワッシャーを組み込むことで寸法調整が可能になる。

スポークの仮曲げ

実測でスポーク長は178mmだったので、内掛176mm、外掛180mmのブランクスポークを2袋ずつ(各20本)購入。つまり内外それぞれ4本余る。それをテスト用に。

スポークの太さに合わせてペンダーのガイド部分をそれぞれ調整する。まずは太さを合せて固定し、次に首先の曲げ寸法に合せてスポークのセット位置を決める。

スポークの位置が決定したら、先端の突き当て部分がきっちり当たるようにコの字ストッパーを固定する。フェイス鈴木氏は、この固定ストッパーにバイスグリップを利用。

内掛けと外掛けそれぞれ最初の1本を曲げたら、ハプ孔に通してスポーク先端がハブの中央を向くか確認する。引っ掛け部分のクギ頭が飛び出し過ぎても、カッコ良くない。

最初に曲げた外掛けスポークは曲げ角度が浅かったので、スライド部分のストッパーをフリーにしてから曲げ直し。正しい曲げになったスポークに習ってストッパー調整。

フェイス鈴木氏によれば、36本スポークなら、内掛けと外掛けそれぞれ3本ずつ曲げれば、リムのセンターにハブを落ち着かせることができるそうだ。片側6本で曲げ確認中。

ハブから120度振り分けで内外各3本ずつ曲げて組み、これでイメージがつかめる。この際、リム下に何かを挟んでオフセットゼロにすることで、より一層リニアなイメージが可能に。ここでは木っ端を利用した。


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