●文:ヤングマシン編集部
今後のバイクに関する重大な方針が発表された。
’20年12月2日、政府の成長戦略会議で「2050年カーボンニュートラル」に向けた計画(案)が示され、’30年代半ばまでにガソリンやディーゼルによる内燃機関車の販売禁止を目指すという。これに続き、東京都の小池知事が同8日、都内でのガソリン車の新車販売について、「乗用車は’30年までに、バイクは’35年までにゼロにすることを目指す」と都議会で突如表明。政府案にはなかった、バイクに関する明確な言及を行い、ライダーに大きなインパクトを与えた。また、電動カーで争う頂点レースの”フォーミュラE”の都内開催を目指すという。
今回”禁止”とされたのは純ガソリン車で、電動車(EV)はもちろん、ハイブリッド車(HV)もOK。商用車やトラックなどが対象かは不明だ。また中古車の販売は可能だろう。
詳細は今後詰めることになり、メーカーと連携しながら具体的な取り組みを検討していくという。ガソリン車を販売した際の罰則が気になるところだが、販売規制について都は”最後の手段”として慎重な態度の模様だ。
世界で電動化の流れは加速しているとはいえ、気になるのはクルマとバイクを安易に同一視している点だ。バイクは搭載スペースに限りがあり、クルマのようにガソリンエンジンにアシストモーターを装着するといった簡単なHV化が困難。また、重量増によるネガが大きい。そのため国内新車ラインナップのうち電動バイクはごく一部にすぎず、HVに至っては1車のみ。今後決定される政府の方針にもよるが、内燃機関の新車バイクが全面販売禁止となれば、わずか10年強でほぼ全ての現行ラインナップが絶滅してしまう可能性がある。
さらに、元々クリーンなバイク(特に小型車)をHV化しても、コスト増を招くばかりで環境への効果は薄いだろう。米国カリフォルニアのように規制の対象からバイクを除外している例もあるぐらいだ。
都の方針は、あまりに実状とかけ離れた性急な方針と言わざるを得ない。今後の政府方針でバイクがどうなるかを含め、注意深く動向を見守りたい。
世界各国のガソリン車販売禁止時期
- ’30年:ドイツ、イギリス(HV車は’35年販売禁止)、オランダ、デンマークほか
- ’35年:アメリカ・カリフォルニア州、中国、台湾
- ’40年:フランス、スペイン
政府発表の後出しで、都が期限を前倒ししてドイツらに合わせた格好。欧州の一部都市や台湾はバイクも含むが、米国などは対象外。
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