二輪車利用環境改善部会レポート#33

原付と自転車を行き来するモビリティがバイク市場を激変させるか【モビチェンがもたらす衝撃】

原付と自転車を行き来するモビリティがバイク市場を激変させるか【モビチェンがもたらす衝撃】

●文:ヤングマシン編集部(田中淳磨/輪)

駐車問題を解決できる? 原付一種モビリティが登場

’20年10月28日(水)、パーソナルモビリティのベンチャー企業であるグラフィット社が会見を開いた。同社が販売するハイブリッドバイク(原付一種の電動モペッド)に新機構を装着すれば、法律上、原付一種と普通自転車を切り替えることができるようになったのだ。

これにより、走行時はモーターによる自走ができ、駐輪時は自転車として停められる、今までにないモビリティが開発されたことになる。同社は、この規制緩和を新技術実証制度(規制のサンドボックス制度)を利用して実証実験を重ねることで実現させた。

これは大変衝撃的なニュースであり、’25年11月に令和2年度排出ガス規制の適応を控えた原付一種というカテゴリーの将来像にさえ影響を与えうる出来事だと言える。

’06年6月から始まった駐車違反取締りの民間委託により、原付一種を含む数多くのバイクが取り締まられてきたが、その理由は停められる駐車場が少ないからだ。自転車法の範疇にある原付一種でさえ、駅前の自転車等駐車場からスーパーやマンションの自転車置き場にさえ停められない状況が続いている。結果、原付一種の販売台数は右肩下がりになり続けているわけだ。

原付一種である電動モペッドは、バッテリーが切れて自走できなくなったとしても、あくまで電動モペッドだ。ペダルを漕いで前に進むことはできても、自転車歩行者道路や普通自転車専用通行帯(いわゆる自転車専用レーン)を走ることはできない。もちろん、ペダルで足漕ぎしている時でもヘルメットを脱ぐことは許されない。そして、前述したようにナンバープレートが付いている電動モペッドは、自転車置き場には停められないことが多い。

しかし、新機構である「モビリティカテゴリーチェンジャー(略称=モビチェン)」を使い、電動モペッドから普通自転車に切り替えてしまえば、駅前や繁華街にたくさんある自転車置き場に堂々と停められるようになる。通勤に便利な駅前の月極め駐輪場だって契約できるかもしれない。駅まではモーター駆動による自走で颯爽と走り、駅前で車両を降りて電源オフ、モビチェンで自転車に切り替えてから駐輪場に停め、電車に乗り換えて通勤ということも夢ではないのだ。駐輪場を運営する事業者としても何の投資も必要ないから大歓迎だろう。

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新機構「モビチェン」は’21年夏の発売を予定しており、モビチェンの後付けが可能なハイブリッドバイク「GFR-02」も発表された。現在は同社の車両のみに認められた措置のため、周知が進まないと駐輪場などでトラブルになることも予想されるが、その点は「警察庁から各自治体へ通達がいく(鳴海禎造代表)」手はずだという。

モビチェンは、まさしくゲームチェンジャーだ。原付一種の姿、価値を一変させる可能性がある。

1台で原付バイクと自転車を切り替えられる「モビチェン」

下の写真は現行モデルのハイブリッドバイク「GFR-01」に装着した新機構「モビリティカテゴリーチェンジャー」のプロトタイプだ。この形状のまま発売されるわけではなく、バイクの電源をオフにして、手動でナンバープレートを覆い隠すという機構が重要だ。モビチェン後は普通自転車になるので、自転車歩行者道、自転車専用レーン、自転車しか停められないマンション駐輪場やサイクルラックにも停められる。

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モビチェンするには車両の電源をオフにした上で、ボタンとレバーの同時操作が必要。

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モビチェンについて説明するグラフィット社の鳴海禎造社長。


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