バイクの“電子制御”を知りたい!

ECUは“バイクの脳”/IMUは車体姿勢の状況を3次元的に計測する!

●文:山下剛

最新バイクは電子制御のカタマリで、たとえ原付50ccであってもインジェクションの制御などにはコンピュータの存在が欠かせない。そんなバイクの“電脳”がどんな仕事をしているのか、さらに似たような名前のIMUとはどのような存在なのだろうか。

点火系部品からエンジン制御の要へ

ECUとは「Engine Control Unit(エンジンコントロールユニット)」の略称で、エンジンを制御するコンピューターシステムのことだ。かつては混合気に点火するタイミングを制御するものだったが、現在のECUは燃料と空気の混合比の制御も行うようになった。そのためECUが制御する部位は多岐にわたっている。

 ・点火系(スパークプラグ)
 ・燃料系(混合気)
 ・吸排気系(スロットルバルブ、排気デバイスなど)
 ・動弁系(エンジンバルブ)

このようなエンジン出力に関する全般をECUが総合的に制御している。また、略称はECUと同一ながら「Electric Control Unit」という呼称も存在する。メーカーやモデルによって異なるが、たとえば電子制御サスペンションはSCU(Suspensiton Control Unit)というように各機能を制御するユニットが組み込まれている。

 ・駆動系(トラクションコントロールなど)
 ・制動系(ABSやエンジンブレーキなど)
 ・緩衝装置(電子制御サスペンション)
 ・灯火器類(ヘッドライトやテールランプなど)

これらのコントロールユニットはCAN(Controller Area Network)と呼ばれる通信ネットワークで接続されており、互いが検知したデータを利用し合うことで高次元の制御を実行している。

数年前まで、バイクの進化(とくにスーパースポーツ)はタイヤの進化が支えているといわれてきたが、現在ではコンピューター(CPU)の処理速度がバイクの進化を決める重要なカギといわれている。つまり点火、燃焼、吸排気、動弁系、駆動系、制動系、緩衝装置といったバイクが走行するために必要な機能をすべてミリ秒(1/1000)単位で検知して演算し、処理していくためにはコンピューターの高速化が欠かせない。さらにバイクという小さなパッケージに搭載するには小型化も重要だ。

スズキの場合はECM((Electronic Control Module)と呼称するが、意味合い的にはECUと同じものだ。写真はGSX-R1000RのECM。 [写真タップで拡大]

例えばこうした可変吸気ファンネルもエンジン回転数などを基にECUが制御している。写真は2015年型発表時のYZF-R1のもの。 [写真タップで拡大]

そして近年のバイクに不可欠な電子部品となっているのがIMU(Inertial Measurement Unit)だ。日本語にすると慣性計測ユニットで、車体の加速度を計測する装置である。最新のものは6軸IMUといって、前後・左右・上下の3軸方向の加速度と、ピッチ・ロール・ヨーの3軸方向の角速度をミリ秒単位で検出し、そのデータを基に演算した結果によって車体を制御している。ピッチとは車体の前後の動きを示し、ロールは車体の傾き、ヨーは車体中央を中心とした回転度のことをいう。

簡単にいうと、バイクがどんな状態にあり、どんな挙動を起こしているかを1000分の1秒単位で計測しつつ、安全な車体姿勢を保つための演算をしている部品がIMUなのだ。

ECUは現代のあらゆるバイクに搭載されているが、IMUについてはスーパースポーツやアドベンチャーツアラーを中心に採用されている。いずれも1000ccクラスのハイエンドモデルに限定されているが、バイクの安全性を広範囲で確保していくことを考えれば、将来的には普及価格帯のバイクにも採用されていくだろう。100万円クラスのMT-09が2021年モデルで採用したことからも、それは遠い未来の話ではないはずだ。

IMUが計測する6軸とはこの図のとおり。XYZの各軸に沿った直線的な加速度と、XYZの各軸を中心に回転するモーメント(角加速度)で、3軸+3軸の計6軸というわけだ。 [写真タップで拡大]

左はGSX-R1001R、右はYZF-R1のIMU。 [写真タップで拡大]

2021年型YZF-R1Mのメーター。右端に車体を表現したアイコンがあるのだが、その左のバーグラフで加減速を視覚的に表示してくれるというギミックがある。これもIMUを搭載していればこそ可能となるなのだ。 [写真タップで拡大]


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