●文/写真:ウィズハーレー編集部 ●取材協力:レッドバロン
見た目では判別不可能。乗り比べることでようやく異常がわかる
’15年式FXDBBストリートボブリミテッドと’10年式XL883Lスーパーローを、那須モータースポーツランドでとことん走り込んでみた。両モデルとも、年式も色もまったく同じ2台がペアとなっていて、外観はピカピカ。しかしそれぞれ1台は極上車、1台はどこかに異常があるNG車だ。
これはレッドバロンが開いたメディア向けの試乗会で、国内外の絶版車16機種32台が同じように用意された。せっかくの機会なので、ハーレー以外もすべて乗ってみたが、外見をじっくり観察しても手がかりを見つけられないケースがほとんど。試乗するとブレーキなどすぐに気づく異常もあれば、サスの動きやエンジンの吹け上がりのように、”優良車”という”正解”があって初めて判別できる不具合もあった。つまり、乗り比べてみなければ「このバイクの特性なんだ」と思い込んでしまう可能性が高いと言える。
普段からオートバイに乗り慣れたジャーナリストであっても、性能を存分に確かめることのできるクローズドコースで走り込んでみて初めて、様々な不具合に気づくことも。つまり、たとえバイクに精通した人であっても、見た目からでは車両のコンディションを判断することは到底できないということがわかる。
【那須モータースポーツランド】レッドバロンがバイク専用としてプロデュースする全長1.2kmの低中速サーキット。バイクの腕を磨ける「那須MSLライディングスクール」や、いつでもバイクの練習ができる「那須MSLライディングジム」の他、サイドカー・トライクを含む種類豊富な試乗車でサーキットを走行できる試乗サービスを展開。普通二輪免許でもハーレーなどの大型バイクを体験できる「那須MSLステップアップ試乗会」など自社サーキットならではのイベントも開催。ビギナーからベテランまでバイクを幅広く楽しめるバイク専用サーキットだ。●住所:栃木県那須塩原市寺子字坂の上677-1 ●定休日:月曜日(祝日の場合は営業) ●URL:https://nasumsl.redbaron.co.jp/
’15 FXDBBストリートボブリミテッド:CPU書き換えの不具合&フットペグ位置不良
まずはストリートボブリミテッド。見た目が同じ2台だが、じっくり走り込むと一方に不具合があることがわかってくる。エンジンの吹け上がりがスムーズで全域で力強い1台に対し、もう1台はトルク感が薄くパワーが出てこない。トルクが落ち込む谷間があり、スロットル操作に対しもたつきが生じるのだ。CPUが書き換えられ、吸排気系に合わないセッティングが施されていたのが理由だった。さらに片側のフットペグのみオプションに交換されていて、位置がおかしい。これも気付きにくい。
’10 XL883Lスーパーロー:触媒なしのマフラー装着
さて、もう一方のXL883Lスーパーロー。1台は排気音がかなり大きい。本来は触媒付きなのだが、仕向地の異なる触媒なしのマフラーが装着されていたのだ。
仕向地の異なるマフラーは、音量がオーバーするため車検をクリアできない。日本仕様のマフラーは93デシベル、北米仕様は99デシベル以下。’00年頃までは日本仕様マフラーが存在せず、日本でも北米マフラーが装着されていたため、その頃までの車両であれば、北米マフラーでも車検に通すことが可能だが…。もしこれを購入してしまったら、車検が心配になるに違いない。
オートバイの購入は”信頼できるショップ選び”が一番大事
さて、ここで気づかされるのが、ネット販売によるリスク。「中古車が安価で気軽に購入できる」と、インターネットでの通販やオークションが普及。’19年10月の消費税増税がこの流れをさらに加速させたりもしているのだが、「失敗した」という話が後を絶たない。
まずネット販売の場合、買い手側の判断材料は出品者の画像や説明文しかなく、その上「ノークレーム・ノーリターン」が基本だ。つまり「保証なしの現状販売」が当たり前。もし、不具合があって修理を依頼したくても、親身になって診てくれるショップは見つからないことがほとんどだろう。
また、「フレームが曲がっていた」「エンジンに致命的なダメージがある」「装着されているマフラーが車検に通らない」「完調にするには莫大な費用がかかる」「書類に不備がある」など、「保証なしの現状販売」には思わぬ落とし穴が数多く潜んでいることも知っておかなければならない。
オートバイのコンディションは、車両を少し見たところで容易に把握できるものではないことは、今回の試乗会で身をもって体験したとおり。もし仮に、ネット販売の現車を確認できる機会があって、エンジン音や排気音を聞けたとしても、プロのメカニックでもなければ、その良し悪しを判断するのは難しいのが現実だ。ましてやフレームの歪みなどは、人間の目で正確に見抜けるものではない。
本来バイクというものは、プロのメカニックが点検や整備を実施して販売されなければならないもの。そこでもっとも重要となるのが、”信頼できるショップ選び”だ。
レッドバロンの中古車販売安全基準「譲渡車検」
レッドバロンでは、オートバイの販売に欠かせない安全基準として、”走る/曲がる/止まる”の要素を満たした車両の証である「譲渡車検」を導入。8種の検査をクリアした車両が中古車として販売されている。
検査用に全店配備された「コンピュータ総合診断機ACIDM(アシダム)」によるフレーム/エンジン/ブレーキなどへの厳格なチェックが、国内外のメーカーを問わず行われているので、ユーザーは安心してバイクを購入することができるだろう。
今回、レッドバロンの譲渡車検付き車両と不具合を抱えた車両をそれぞれペアにし、16機種32台を比較試乗した。ハーレーはそのうち2機種4台。すべての車両の外装は新車のようにキレイで、不具合があることは見た目ではまったくわからなかった。画像だけで判断し購入するネット販売のリスクを痛感した次第だ。
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