’21年以降、バイク新車ラインナップに大変動が起きる。欧州で’21年1月から次期排ガス規制のユーロ5が全面導入され、規制をクリアしていない車両は”絶版”を余儀なくされてしまうのだ。新型の噂を含め、どんなマシンが生き残るのか、はたまた去りゆくのか緊急予想を敢行。本記事では大型ツアラー&クルーザーカテゴリーの行方を探る。
大型ツアラーカテゴリー:「黄信号」の一方で、対応モデルも多し
スポーティ系やクルーザーも含む当ジャンル。まず気になるのはスズキ ハヤブサの動向だ。日本では’18年型の逆輸入車がラストとなり、「次期型開発中」との情報はあるものの、正式なアナウンスはまだ。’20年秋の発表が大いに期待される。
存続に黄信号が点灯しているのが、’21年に20周年を迎えるヤマハFJR1300、そして日本で人気のハーレーダビッドソン スポーツスターシリーズ。ホンダVFR800Fも現行型は終了となる見込みだ。これらは総じてエンジンの設計年度が古いロングセラーで、規制対応にはかなりのコストを要するだろう。
その一方で、ニンジャH2 SXを筆頭とするカワサキのツアラーシリーズは、既にユーロ5に対応済み。当クラスで最も排気量が小さいホンダ レブル500と、最大排気量のトライアンフ ロケット3Rがともに規制をパスするなど、意外と対応モデルは多い。
スズキ:沈黙を破り、次期ハヤブサ’21発進するか?!
ハヤブサ [ユーロ3]:北米では従来型のニューカラーが登場
’99年の初代デビュー以来、”アルティメットスポーツ”を貫いてきたハヤブサ。’08の2代目に続く次期型は、従来の1340cc直4ユニットを基盤に、電子制御スロットルやIMU&コーナリングABSなどの電脳で進化すると予想される。’20年2月にスズキは創立100周年を迎えており、’20年内に次期型が発表されれば記念イヤーを飾る最高のシナリオとなるハズだ。
GSX-S1000F ABS [ユーロ4]:カタナと一緒に規制対応なるか
リファインした旧GSX-R1000の直4を専用フレームに積み、’17年に投入されたGSX-S1000F。’20で新色が登場した。’19にデビューしたカタナのベースでもあり、近々モデルチェンジで存続か。
カワサキ:ZX-14Rは終了、H2 SX SE/1000SX/650は対応済み
ニンジャZX-14Rハイグレード [ユーロ4]:音速の貴公子はH2 SXに後任を託し勇退
GPZ900Rの系譜に連なるメガGT・ZX-14R。1441cc直4は’16でユーロ4に適合したが、スーパーチャージャーのH2 SXが登場したこともあり、次期規制には対応せず終了となる。国内には逆輸入車が入荷され、ファイナル仕様の2色が販売中だ。
ニンジャH2 SX SE/SE+ [ユーロ5]:200ps+スーパーチャージャーで刺激的な旅を
スーパーチャージャーのH2を専用パーツで最適化し、’18でデビューしたH2 SX SEシリーズ。998ccながらZX-14Rと同じ200psを発生し、H2よりスムーズな特性を持つ。いち早くユーロ5にも対応した。SE+は電子制御サスペンション仕様だ。
ニンジャ1000SX [ユーロ5]:電脳が充実。先進的なラクッ速の代表選手
’11の初代以来、ラクなのに走りは鋭いツアラーとして人気のニンジャ1000SX。’20で大型アップデートを施し、電子制御スロットルなどでユーロ5に適合した。さらに4種類の連動型走行モードやオートクルーズ、上下対応クイックシフター、カラー液晶メーターまでも採用している。’21では新色のライム×黒と灰×黒が登場。従来の白が廃盤となった。
ニンジャ650 [ユーロ5]:万能なパラツイン中忍
’17のフルチェンジを経て、ニンジャ650は’20年型で最新のニンジャ顔や大型化したアッパーカウルを採用。快適度が大幅アップした。600ツアラーで唯一のフルカラーTFT液晶メーターも投入。
ホンダ:ロングセラーVFR800Fが勇退?
VFR800F [ユーロ4]:ミドルV4の長い伝統に終止符が
’80年代に端を発する長寿ユニットのV4エンジンは、可変バルブのハイパーVTECなどハイテクを備える。VFR800Fは’19現行型がラストとなる模様で、’80年代風のインターセプターカラーも用意。
CBR650R [ユーロ5]:攻めにも対応する唯一の直4ミドル
クラス唯一の直4を搭載するCBR650Fが’19でCBR650Rに刷新。万能選手ながら、軽く前傾するライポジやφ41mm倒立フォーク+ラジアルキャリパーの足で攻めもOKだ。’21モデルでユーロ5に対応したことが欧州で発表された。
レブル500 [ユーロ5]:気楽な軽快ボバー
CBR400R/500R系の180度クランク並列2気筒を積むシンプル仕様のレブル500。’20で4灯LEDヘッドライトを獲得するとともに、排気系の変更でユーロ5に対応した。
ゴールドウイングシリーズ [ユーロ4]:生まれ変わった豪華旗艦は存続確実
’74年の初代以来、日本を代表するツアラーとして君臨するゴールドウイングは、’18年型で17年ぶりのフルモデルチェンジを敢行。水平対向6気筒は単体で6.2kgの軽量小型化を実現し、吸気効率も向上させた。ユーロ4対応ながら次期規制を見越した設計と思われ、存続は安泰だろう。
ヤマハ:FJR1300Aが終了か?
FJR1300A/AS [ユーロ4]:20周年の節目でファイナルに?
’00年9月に発表された初代以来、ツーリングの本場=欧州で愛されてきた旗艦スポーツツアラー・FJR1300A/AS。欧州では’20で豪華仕様・アルティメットエディションが登場しており、これが実質的なラストモデルとの噂がある。国内には未導入で、’19モデルが継続販売中だ。
ナイケン/GT [ユーロ4]:新感覚スポーツ3輪はそろそろ対応か?
バンク角に応じて平行に傾く前2輪を備えたヤマハLMWの旗艦・ナイケン。高剛性の片側2本のフロントフォークがその名の由来だ。3気筒はMT-09がベースで、次期規制には未対応。’21での改良が予想される。
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