’21年以降、バイク新車ラインナップに大変動が起きる。欧州で’21年1月から次期排ガス規制のユーロ5が全面導入され、規制をクリアしていない車両は”絶版”を余儀なくされてしまうのだ。新型の噂を含め、どんなマシンが生き残るのか、はたまた去りゆくのか緊急予想を敢行。本記事では大型スポーツカテゴリー(リッタークラス&600ccクラス)の行方を探る。
迫りくる次期排ガス規制 欧州と日本で導入される次期排ガス規制は、現在のユーロ4(H28年規制)より一段と厳しい。これを乗り越えられないモデルは、適用時期以降、生産NGとなってしまう。特に欧州は、現行車[…]
大型スポーツカテゴリー:安泰の旗艦リッターに対し、600勢は終了の危機
各メーカーの威信を賭けた高性能マシンが居並ぶ当ジャンル。衝撃が走ったのは、史上初のスーパーチャージド市販バイク=カワサキ ニンジャH2シリーズ生産終了の報だ。公式アナウンスによると「次年度モデル以降の国内導入予定はございません」との一文が! カワサキに尋ねると、「現状で’22モデルの生産予定はない」とのことで、日欧だけでなく、独自の規制を敷くアメリカでも販売予定はなさそう。つまり’21が実質的に現行H2のファイナルモデルとなるのだ。公道仕様のH2カーボンも同様で、363万円のプライスながら今後はプレミア化する可能性も。欲しい人は早めに動きたい。
ホンダCBR1000RR-RとヤマハYZF‐R1の旗艦スーパースポーツは、ともに’20年型で進化し、ユーロ5に対応した。残るスズキGSX-R1000Rとカワサキ ニンジャZX-10Rは現行型がユーロ4のまま。GSX-R1000Rは4月に’20が発売されたが、カラーチェンジのみで排ガス対応は静観の構えだ。一方のZX-10Rは、’21モデルで何らかの動きがあるとヤングマシンでは予想している。近年勢いのあるカワサキだけに、アッと驚く新型に期待したい。
外国車勢では、’21年型BMW S1000RRや、新作のドゥカティ パニガーレV2らがユーロ5に適合。パニガーレV4系はまだだが、’21年型で対応と予想される。
一方で懸念されるのは600クラスの行方だ。YZF-R6、ZX-6Rとも終了が近いとの噂。発売したばかりの新型CBR600RRもユーロ4対応で、欧州では未発売だ。国内もこのままでは2年後に終了となってしまう…。
カワサキ:異次元SC機は’21でファイナル! ZX-10Rは最強Ver.爆誕か!?
’21 ニンジャH2カーボン/H2R [ユーロ4]:Z H2の技術をフィードバックして復活はあるか?
怒濤の加速を誇るスーパーチャージャーエンジンを搭載し、市販車最強の231psを叩き出すニンジャH2カーボン。クローズドコース専用のH2Rに至っては驚異の310psをマークする。この2台が’21で生産終了することとなった。ともに現行はユーロ4対応だが、バランス型スーパーチャージャーのH2 SXとZ H2はユーロ5に対応済みなので、技術的には規制に適合できるハズ。復活を期待したい!
’20 Z H2 [ユーロ5]:最新ネイキッド版は規制をクリア
’20で登場した史上初のスーパーチャージャーネイキッドが本作。心臓部はツアラーモデルのH2 SXを基盤に各部をリファインし、楽しめる200psに仕上げた。フレームは専用設計だ。
’20 ニンジャZX-10R[ユーロ4]:全面刷新でCBR1000RR-R超えを期待
スーパーバイク世界選手権(SBK)で6連覇を達成した常勝マシンがZX-10R。’19で高回転化を促進するフィンガーフォロワーを獲得した。ライバルの攻勢が強まる中、’20は色変更のみ。’21でカワサキが動くと我々は見ている。規制対応はもちろん、CBR1000RR-Rの218ps超えに期待!
ホンダ/ヤマハの2台巨頭は既にユーロ5をクリア。スズキは先送り
’20 ホンダCBR1000RR-R/SP [ユーロ5]:完全新作で218psながらクリーン
12年振りに全面刷新。直4ユニットは各部にRC213V-S譲りのノウハウを活かし、同一のボアストをはじめ、チタン鍛造コンロッドやセミカムギアトレーンを投入した。ダクトウイングや軽量メインフレームも自慢だ。ヤングマシンのテストではゼロヨン10.088秒、4速でメーター読み299km/hを記録するなど圧倒的。
’20 ヤマハYZF-R1/M[ユーロ5]:新作ヘッドで200ps堅持。トルクは増強
’15のフルモデルチェンジで飛躍的に進化したYZF-R1。’20ではエンジンと電脳、外装を大幅にリファインした。クロスプレーン型クランクシャフトの直4はシリンダーヘッドや動弁系を見直し、ユーロ5とH32年規制に対応しながら最大トルクを0.1kg-m向上している。6年ぶりに国内仕様が用意されたのもトピックだ。
‘20 スズキGSX-R1000R[ユーロ4]:’20モデルはカラー変更のみ。対応はもう少し先か?
国産勢で唯一の可変バルブタイミングを積むリッタースーパースポーツは、’20年4月に国内仕様の新色が登場。モトGPマシンと同様、’60年代GPレーサー風の100周年記念カラーをまとう。欧州でも10月に同じ車体色が投入された。排ガス適合は当面先と予想するが、現行型は登場が’17年と設計が新しく、対応は十分可能だろう。
600スーパースポーツは絶滅危惧種。早めに動け!
’20 ホンダCBR600RR[ユーロ4]:4年ぶりに復活も余命わずか?
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