NEW CBR600RR完全解説

新型CBR600RR完全解説・ヒストリー編【若手ライダー成長の受け皿として再び咲け!】

  • 2020/10/31
新型CBR600RR完全解説・ヒストリー編【若手ライダー成長の受け皿として再び咲け!】

600SS激動の18年。市場は欧州からアジアへ

市販車600ccのレースが世界選手権に格上げされたのは、’99年のこと。ヤマハYZF-R6が投入され、欧州で600ccスーパースポーツブームに火が着いた。このカテゴリーは以後、激しい浮き沈みを辿ることになる。 

CBR-RRシリーズの次兄として’03年に送り込まれたCBR600RRは、モトGPマシン風のルックスと鋭い走りで人気を獲得。’00年代には4メーカーの600SSがシノギを削り、海外勢も参戦を果たした。リッターSSを上回る勢いを見せたものの、’10年代に入るとスポーツモデル人気の凋落によりブームが下火に。規制強化を機に、一度は600SSの灯が消えることになった。 

そして現在。CBR600RR、YZF-R6、ZX-6Rの3車が再び揃ったことは実に歓迎すべきことだ。願わくばこの灯を消さないでほしい。なぜなら、600SSはライダーに必要な存在だからだ。 

その理由のひとつは、”若手ライダーの育成”。近年のアジア圏では、スーパースポーツの選択肢が250~300ccかトップエンドの1000ccしかなかった。だが中間の600が投入されたことで、ステップアップが容易に。’20年カワサキからニーゴー直4のニンジャZX-25Rも登場したこともあり、600クラスの需要はさらに高まるハズだ。

一方で現在のリッターSSは、多くの人にはあまり関係のない高みへと進化し、価格帯も200万円超がザラ、という状況。ゆえに中間にある600SSは、ニーゴーを卒業した人の受け皿としてまさにちょうどいい。そう、今回の新型CBR600RRは、未来のスポーツ好きライダーやモトGP選手を育てる投資と言えるのだ。

まだ先の話ではあるが、ユーロ5規制によりせっかく復活した600RRがまたも消え行くのは惜しい。なんとか末永くラインナップしてほしい。

600RRヒストリー’03:600版RC211Vレプリカとして登場[PC37]

万能スポーツのCBR600Fに対し、’03年にレースユースを意識したCBR600RRが投入された。当時のモトGPマシン=RC211Vとウリふたつのスタイルを継承し、フレーム構造やセンターアップマフラーなどの技術も還元した。従来とは逆に、開発初期段階からサーキットテストを行い、研究を重ねた経緯を持つ。新設計の心臓部は、主要3軸を三角配置し、スターターを右に寄せるなどコンパクト化を徹底。横剛性をわずかに抜いたアルミフレーム、ユニットプロリンクなどの新技術も詰め込んだ。

'03 ホンダCBR600RR[PC37]

【’03 HONDA CBR600RR[PC37]】■最高出力69<118>ps 最大トルク5.2<6.7>kg 装備重量199kg ※ユーロ1対応 ※< >はフルパワー(以下同)

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RCV211Vを意識したデザインとレイアウトの台形メーター。当時の公道市販車で最小&最軽量だった。

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’05で倒立フォーク+ラジアルキャリパーを獲得。フレームなど多くを見直し、5.6kg軽量化した。

600RRヒストリー’07:”軽さ”にこだわって初のフルモデルチェンジ[PC40]

’05モデルから2年後に初のフルモデルチェンジを敢行。エンジンは前後長を30.5mm短縮し、フレームの構成部品を11→4ピース構造とするなど軽量化を促進し、約8kgの大幅ダイエットに成功した。出力特性の変更やマスの集中で扱いやすさが増し、空力性能を高めたカウルも採用。

'07 ホンダCBR600RR[PC40]

【’07 HONDA CBR600RR[PC40]】■最高出力69<119>ps 最大トルク5.2<6.2>kg-m 装備重量187kg ※ユーロ3対応

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ラムエアは、従来の左右吸気からフレームを貫通するセンター吸気に変更。一段と高効率になった。エンジンは中速域の出力特性を改善。

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左配置の燃料計など従来型と似ているが、よりコンパクト化。大型アナログタコメーターは、奇数文字を大きく表示し、視認性をアップした。

'07 ホンダCBR600RR[PC40]

電子制御式ステアリングダンパーを導入。ホイールベースを15mm短縮するなどディメンションも煮詰めた。 [写真タップで拡大]

'07 ホンダCBR600RR[PC40]

’09でスーパースポーツ初の電子制御式コンバインドABS搭載仕様を追加。全車にモノブロックキャリパーも導入。 [写真タップで拡大]

600RRヒストリー’13:逆スラントノーズでマイナーチェンジ[PC40]

先代をベースに外装と足まわりをリファイン。アッパーカウルはモトGPで培った空力技術を還元し、通常ポジションでCd値を6.5%減、レースポジションで5%減を果たした。フロントにショーワ製BPFを新採用すると同時に、リヤサスペンションの設定も見直されている。

'13 ホンダCBR600RR[PC40]

【’13 HONDA CBR600RR[PC40]】■最高出力78<119>ps 最大トルク5.3<6.2>kg-m 装備重量189(ABS=199)kg ※ユーロ3対応

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逆スラントノーズでラムエアの導風効果を向上。さらに内部プレートで空気密度の均等化に成功した。前輪リフトを抑えるチンスポイラーも採用。

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当時のCBR1000RRと同様にBPFを投入。大径ピストンが初期から減衰力をリニアに発生し、クイックダイブを抑える。乗り心地も良好だ。

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メーターは文字盤のデザインを変更し、バックライト色をレッドに。見やすく機能的でありながら一段とアグレッシブなイメージになった。

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前後ホイールは、アルミキャスト製の12本スポークを新採用。タイヤ接地点から受ける荷重に対する剛性を均等化し、操舵感を向上した。

600RRヒストリー’21:高回転化&フル電脳化でビッグマイナーチェンジ[PC40]

排ガス規制に対応せず、’16年に欧州と国内で生産終了となるも待望の復活。エンジンは動弁系の改良や吸排気効率の向上などでピーク出力発生回転数を底上げ。規制対応しつつ2ps増も果たした。ウイング付きのエアロカウルや電子制御スロットル+5軸IMUの電脳サポートもミソ。車名こそ「RR-R」を名乗らなかったが、’20で生まれ変わったCBR1000RR-Rと共通のDNAを主張する。LED4眼となった顔も同イメージだ。

'21 ホンダCBR600RR[PC40]

【’21 HONDA CBR600RR[PC40]】■最高出力121ps 最大トルク6.5kg 装備重量194kg(ABS標準) ※ユーロ4対応

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ミドルクラスでは採用例の少ないTFTフルカラー液晶を獲得。一挙に最新マシンらしい佇まいと、多彩な表示モードを入手した。

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ウイングレットがコーナー進入時と加速旋回における安定感をアップ。

TOPICS:レプリカ・カラーも名物でした

モトGPマシンのイメージが強い600RRだけに、レプリカカラーとの親和性はバツグン。スペシャルエディションとして数々のモデルが限定販売された。モビスター、コニカミノルタ、レプソル、と兄貴分の1000RRよりバリエーションは豊富。フレーム塗色を黒→銀とし、ホイールカラーを変更するなど手も込んでいた。当然、新型でも期待したい。

ホンダCBR600RR

’03レプソルカラー

ホンダCBR600RR

左から‘05/‘07/‘13スペシャルエディション。

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【274.921km/hを樹立】’13年にホンダ社員の有志がボンネビル最高速競技に挑戦。ほぼストック状態で、600市販車クラスの最高速記録を9年ぶりに更新し、優れた空力特性を証明した。

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【エンジンをモト2に8年間供給】’10年にモトGP250クラスが、4スト600ccで争うモト2に再編。’10~’18年、参戦チームに600RRのエンジンが供給された。ポテンシャルと信頼性は折り紙付きだ。

●文:沼尾宏明 ●写真:山内潤也
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