縦に柔軟、ねじれには強固。究極のテクノロジーに感激
ハイサイドで激しく路面に叩き付けられたライダーが、次の瞬間には起き上がってスタスタとコースサイドへ歩いていく。モトGPの中継でよく見るシーンであり、それだけ装具の保護性能が高まっている証とも言えよう。
XPDの「XP9-R」は、そんな最高峰のレースシーンでトップライダーたちに鍛えられた究極のレーシングブーツだ。最大のポイントはインナーブーツの採用で、さらにそこへ足首保護の要となる第3世代のアンクルガードシステムを組み合わせたことだ。パーツが外部に露出しないのでアクシデント時に破損しにくく、また取り外して洗えるというメリットも見逃せない。
【XPD XP9-R】冒頭写真のイエローを含め、全4色をラインナップ。カラーバリエーションは黒をベースとした4種類で、ホワイトのみ表地にパンチング加工を施している。●価格:6万5780円 ●サイズ:23.5~31.0cm(全11サイズ)●色:黃 黒×オレンジ 黒 黒×白
ペダル操作時に最も気になる甲から爪先にかけてのフィット感は、使われているラスト(足型)が共通なのだろうか、同ブランドのライディングシューズに限りなく近い。そして、足首の上下方向の動き(背屈&底屈)はスムーズなのに、ねじれなどそれ以外の方向には強固に守られ、AGS3(アンクルガードシステム3)の効果を実感する。さらに、スエードレザーが使われているインサイドが完璧と言えるほどフラットで、車体をホールドした際の感触が手に取るように伝わるのだ。
インナーブーツのナイロンレースは、フィット感の微調整がしやすく、そのロック機構も小さいながら感心するほど使いやすい。ひと昔前は、上位モデルほど保護性能が高い代わりに動きにくい傾向にあったが、その印象を完璧に払拭する究極のレーシングブーツだと言えるだろう。
【カカトとシェルを一体化し、ソールの分離を完全に排除】アクシデント時にアウトソールがはがれるのを防ぐために、アウターシェルと一体化。表地は1.55mm厚のマイクロファイバーで、サイドの開口部にはYKK製のファスナーを使用。
【インナーブーツ式で究極の保護システムを採用】取り外し可能なインナーブーツには、アクシデント時に足首を守るAGS(アンクルガードシステム)3を採用。通気性のいいメッシュ地で構成されており、水洗いも可能だ。
【インサイドはスエードレザー】車体と接する内側にはにはスエードレザーを使用。突起が一切ないのでホールド時の感触は優秀。
【柔軟性および通気性を両立】前面のシャーリングは爪先を掻き上げる方向の動作をサポートするとともに、通気性をも確保する。暑い日のレースでは特にありがたい装備だ。
爪先はスライダーベースと一体成型で、剛性を高める。マグネシウムスライダーは実測で15g。
すねスライダーのネジがアジャスターベルトの固定も兼ねる合理的設計。もちろん交換可能だ。
「実はXPD=SPIDIなんです」
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【SPIDI セールスディレクター シモーネ・フィン氏】スピーディのセールスマネージャーで、XPDのプロジェクトが立ち上がる’00年に、社長にスカウトされ入社。
「スピーディは’77年に世界初のレーシンググローブメーカーとして創業し、順調にラインナップを拡充しました。そして、残ったのがフットウエアでした。スピーディとは異なる商業パートナーを活用したいと思い、新たに「XPD」というブランド名を立ち上げましたが、韻を踏んでいるので関連性は分かってもらえるでしょう。デザイン、快適性、安全性の3つが開発の根幹にあることは両ブランドに共通し、テクノロジーを共有することも珍しくありません」
●文:大屋雄一 ●写真:真弓悟史 ●取材協力:56design ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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