ハスクバーナ・モーターサイクルズの「ピレン」シリーズに250ccの軽二輪モデルが登場。スクランブラースタイルに現行シリーズ唯一のキャストホイールを組み合わせる。軽二輪の枠を超えた存在感と個性的な走りを実現しながら、日本車並みに手を出しやすいプライスにも注目だ。
[◯] 兄弟車・デュークとは異なる走り。高速域では安定指向に
スウェーデン語で「矢」を意味するピレンシリーズ。カフェレーサースタイルのヴィットピレンとスクランブラー風のスヴァルトピレンがあり、’20年の新機種として登場したのが後者の250だ。上位の701と401がそうであるように、ベースモデルはKTMのデュークシリーズであり、付け加えるとデュークは390から125までのスモール系が共通のシャーシなので、スヴァルトピレン401に250ccのエンジンを積んだ、という見方もできる。
まずはライディングポジションから。ハンドルの幅や高さなどは250デュークに近いが、着座位置が高く、さらに後方にあるので、スクランブラーというよりもストリートファイターに近いとも言える。足着き性は決していいわけではないが、車体が軽くてスリムなので恐怖感はほとんどない。
続いてエンジン。同じ水冷シングルを搭載するホンダのCB250Rが最高出力27psなのに対し、このスヴァルトピレンは31psを公称。メーター読みで1万1000rpmまで快活に吹け上がる一方で、わずか2000rpmで発進できるほどのフレキシブルさを併せ持つ。この特性は250デューク譲りだが、ECUなどのセッティングが熟成されたのか、忠実なスロットルレスポンスも含め、さらに磨きが掛かった印象すらある。スリッパークラッチを採用しているためレバー操作が軽く、ミッションのつながりも良好。あらためていいエンジンだと感心した。
ハンドリングは、表記サイズよりも太く見えるデュアルパーパス系タイヤの影響が大きいのか、1クラス上の安心感がある。倒し込みや切り返しは軽いけれども舵角の付き方は穏やかで、60km/hを超えるとより安定性が高まる。セミブロックパターンだがオンロードでのグリップ感は高く、前後とも142mmという長めのサスストロークと相まって、ステップが接地するほど倒し込んでもまだ余裕があるという印象だ。ブレーキはこのパワーと車重に対して十分以上に利いてくれ、コントロール性も文句なし。まさにアーバンスクランブラーといっていいだろう。
[△]積載性よりもデザイン。その割り切りに惚れろ
兄貴分の401は’20年モデルでシートレールを40mm延長。その車体を250も共用しているのだが、それでもタンデムシートは狭いので積載性は期待しない方がいい。このスタイリングが気に入った人なら、それに文句を言うことはないだろう。
[こんな人におすすめ]軽二輪の枠を超えた存在感と個性的な走り
’18年にデビューした際のヴィットピレン401よりもサスの動きがいいように感じた。輸入元に聞いたところ、インド生産に切り替わった際に仕様変更が行われた模様。ただ扱いやすいだけでなく、そこに主張があるので楽しいのだ。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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