日本車の絶頂期だった’80年代の名車たちに“高騰”の波が押し寄せている。超プレミアマシンと化した’70年代車のような状況ではまだないものの、現実的な価格で入手できる時間的猶予はそう長くないだろう。本記事では昨今のアドベンチャーブームの裏で注目されている、’80sラリーレイドモデルの状況をレポートする。
※本記事に掲載されている車両価格等は、取り扱い店舗における’20年6月時点の情報です(関連写真提供:グーバイク)。
砂漠の疾走シーンに冒険心を掻き立てられた
’80年代、砂漠を駆け抜ける過酷なラリーがブームになった。中でもパリダカールラリーは、’78年に始まった当初こそイベントレースの趣だったが、’81年に国際格式になると各メーカーのワークスチームがこぞって参戦。世界中から注目され、日本でも盛んにTV放送されるほどの人気に。砂漠を走る姿に冒険心をたぎらせる若者も多かった。
これを背景に、XL600R、XT600Z、DR750Sほか、各社からラリーレイドマシンが発売。現代でもアドベンチャーモデルが人気だが、当時は強烈にオフロードを意識した性格づけのマシンが大多数だった。
一方で異彩を放つのがTDR250だ。不整地のピュアな速さを追求した2ストオフは存在したが、TDRはオンロードも強く意識。前18&後17インチに、フレームマウントのラリー風カウルを備え、2ストローク快速ツアラーという唯一無二の個性を携えていた。
当時のラリーレイドは、現在ほぼ流通していない。それだけに入手できれば羨望の眼差しを浴びること必至だ。
ヤマハ TDR250:いま時代が追いついた?! 2スト デュアルパーパス
’88 TZR250(2XT)の心臓を専用の鋼管ダブルクレードルフレームに積み、オン&オフ両刀を狙った新機軸。ハーフカウルにアップハン、左右出しチャンバーと外観も前例がない。元来は、’87ファラオラリーで風間深志氏らがクラス1位を獲得した2ストラリーレイドと共同開発された出自を持つ。走りはオン成分が強めで、現代で言うクロスオーバーに近い。まさに時代が早すぎた1台。
残念ながら1代のみで生産終了
斬新すぎたせいか、キャラや魅力が理解されず、わずか1年で生産終了。オフをアピールしていた広告戦略も要因か? 車体色は青と黒×黄の2カラーだ。
実例物件サンプリング〈TDR250〉希少車枠にきっちり昇格
- 相場:前後74万円(約46~110万円)
- タマ数:極少
唯我独尊の個性が認知され、人気上昇中。250アドベンチャーが人気の今、高性能ツアラーのTDRがウケるのも不思議じゃない!? 当時はセールス不振だったため中古の流通数は少ないが、探せば何とか出てくる。安いタマで50万前後、上玉を狙うなら70万超は覚悟したい。
サンプル1:極上車は100万超え!
美麗なノーマル車。貴重な純正リヤキャリアとアンダーガードまで装備。
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