日本車の絶頂期だった’80年代の名車たちに“高騰”の波が押し寄せている。超プレミアマシンと化した’70年代車のような状況ではまだないものの、現実的な価格で入手できる時間的猶予はそう長くないだろう。本記事では、市販バイク初のアルミフレームに国内初のカウルをまとい、2ストレプリカの礎を築いたスズキ・ガンマシリーズの状況をレポートする。
※本記事に掲載されている車両価格等は、取り扱い店舗における’20年6月時点の情報です(関連写真提供:グーバイク)。
過激さで有名、最後発の気合作にも注目
市販バイク初のアルミフレームに国内初のカウルをまとい、2ストレプリカの礎を築いたRG250Γ。パラツインと車体の熟成でライバルに対抗したが、’88でVツインのVガンマに全面刷新を遂げた。以降は電制化を進め、倒立フォークを獲得していく。そしてレプリカ人気が終息した’96年、まさかの完全新設計=VJ23Aを投入し、我々を驚かせた。タマ数は並列/Vとも同程度だが、やや並列の方が多く、’85~’86あたりが充実。高年式ほどレアになる。最終型は最も新しい250レプリカながら、ライバルほどには引き合いがなく、狙い目か。
実例物件サンプリング〈RG250Γシリーズ〉RG-Γの人気が上昇中?
’83-’85 RG250Γ〈GJ21A/B〉市場のほぼ半数を占める「パラガンマ」
- 相場:55万円前後(約25~100万円)
- タマ数:多い
アルミフレームほか初物尽くしのエポック作。パワーリードバルブによるパラツインは衝撃の45psを発生し、自主規制値の上限になるほどだった。ほぼ毎年改良を重ね、徐々に扱いやすく進化。’84からフルカウル仕様を設定した。販売期間は5年と長く、タマ数はそこそこアリ。程度と価格は千差万別だが、VJ21と同程度でやや高めだ。
サンプル1:’83-’85年式GJ21A/Bの場合
サンプル2:鉄板の”ダブダブ”ウォルターウルフ
F1や全日本500+水谷勝で強いイメージを残したウォルターウルフカラーは、往年のライダーにとって垂涎モノ。相場はやや強気だ。並列時代のみのカラーで、紺×赤とシルバーがある。
’88 RGV250Γ〈VJ21A〉初代Vガンマはパラガンマとほぼ同価格
- 相場:60万円前後(約35~100万円)
- タマ数:少ない
完全新設計の90度V2と日の字断面のDC-ALBOXフレーム、極太φ41mm正立フォークで武装。過激な走りが評判を呼んだ。相場感は先代のパラガンマとほとんど同じ。年式と内容を考えれば、買い得感はある。タマはさほど多くないが、選べる程度には存在。’88と’89にシュワンツのペプシカラーが存在するも、中古は皆無だ。
サンプル1:’89年式 VJ21Aの場合
’90 RGV250Γ〈VJ22A〉流通台数の少ないVガンマ2代目
- 相場:80万円前後(約50~120万円)
- タマ数:少ない
Vガン第2世代は’90年1月に投入。国産車初の湾曲スイングアームでチャンバー容積を稼ぐことが可能になり、国産レプリカで唯一の右2本出しチャンバーが実現した。排気デバイスなどの電子制御が高度化し、倒立フォークも得ている。タマ数はVJ21より若干少なく、相場は上昇。人気なのはやはりラッキーカラーで100万円超もある。
サンプル1:’90年式 VJ22Aの場合
サンプル2:ラッキーストライクも22最終はひと味違う
Vガンマ時代のイメージリーダーは、WGP500の英雄=ケビン・シュワンツ。彼のRGV-Γをイメージしたラッキーストライクカラーが大人気だった。中でも’94はフレームまで赤い豪華仕様!
’96 RGV-Γ250 SP〈VJ23A〉タマ数少なくプレミアも僅か。狙い目!
- 相場:125万円前後(約100~150万円)
- タマ数:希少
ライバルの進化が止まった’96年にフルチェンジで登場。ワークスレーサーXR95に倣ったラムエア付きの70度Vツイン&アルミフレームを新設計で奢り、’99年まで販売された。最も新しい2ストレプリカだけに最強クラスの性能と程度を誇り、なおかつ同年式のNSRやTZRと比べて断然安い。タマは選びにくいが、早めの確保が吉か。
サンプル1:’96年式 VJ23Aの場合
●文:沼尾宏明 ●販売車両画像提供:グーバイク ●取材協力:グーバイクおよび各バイクショップ ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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