タイ、そして日本で発売されたCT125ハンターカブは、ついに「トレール」シリーズ(CT系)が育った地であるアメリカでもデビューを飾るようだ。スペックや写真を見比べる限り大きな違いはないようだが、用意されるカラーリングは赤のみ。また、タンデムステップなどが省略されている。
原付二種の白テープなし、大きなナンバープレートホルダー……予備タンクはどうなる?
北米でもトレール125(TRAIL 125 ABS)、日本でいうところのCT125ハンターカブが発表された。基本的に日本と同じものではあるだろうが、気になる車種ではあるのでスペックや装備の違いなどを見てみたい。
まず写真を並べてすぐに目に付いたのは車高の違いだが、スペック表を見る限りでは最低地上高やサスペンションストロークは同等。インチ表示のため換算するとわずかな違いはあるものの、これは誤差と見ていいだろいう。スタジオ写真を撮影する際にカメラのアイポイントがやや違う(北米仕様のほうが低い)とか、北米仕様のほうが大柄なアメリカ人を想定してバネレートが高いのかも? といった推測もできなくはないが、取り立てて騒ぐほどの問題でもなさそうだ。
外観上では、ナンバープレートホルダーが大きいことや、日本仕様で添付される原付二種を表す白いステッカーがないことで、どことなくヘビーデューティさが増している……ような気がしないでもない。車名に応じてロゴが「CT125」→「TRAIL125」となっているほか、タンデムステップが装備されていない点が目に付く。スイングアームに取り付けを想定したボルト穴もなく、これをタンデム可能な仕様とするにはそこそこの加工が必要になりそう。もちろんパッセンジャー向けのマフラーカバーもない。
ABS標準装備は日本仕様と同じ。車重は換算すると約117.5kgで、日本仕様の120kgと異なっている。これはタンデム用装備の省略が主な理由だろう。2次減速比は同じ2.785だ。
マニアが気にするのは、往年のトレール110(CT110)にオプション設定されていた、水筒のような形をした予備タンクの有無かもしれないが、北米仕様ではまだアクセサリーラインナップが公開されていないため、どうなるのか現段階では不明である。
最初の『トレール』から60年後に登場したオールニューモデル
北米ホンダは、2021年モデルとしてトレール125 ABS(Trail 125 ABS)を発表した。スーパーカブやモンキーと同様に、過去をリスペクトしつつ現代のライフスタイルに適応するミニモトだ。
2019年秋に第46回東京モーターショーにコンセプトモデルとして出展されたCT125は大きな反響を呼び、あっという間に市販化が決定。車体はスーパーカブC125をベースとしながら、フロントに本格的なテレスコピックフォークを採用。サスペンションストロークも増大した。エンジンは2バルブの単気筒で、ハイマウント吸気ダクトとアップマフラーを備え、ローエンドおよびミッドレンジのトルクを高めている。エンジンガードや大型キャリアといった装備も追加された。
アメリカホンダのシニアマネージャーであるリー・エドムンド氏は、60年間で70万台以上のCTシリーズを販売した原動力である独特の外観を維持したことについてこう語っている。
「アメリカホンダが1959年に設立され、ホンダ50(スーパーカブ50)を発売したとき、アイダホのディーラーである“Herb Uhl”がオフロード用に改造を開始したことをきっかけに、ホンダはトレイル50を生産するようになりました。そのモデルは1960年代~1970年代にアメリカのキャンプ場で、キャンピングカーユーザーを中心に広く普及し、多くの後継機につながりました。そのため、CTブランドはアメリカ市場で特別な歴史を持っているのです。スーパーカブやモンキーのように、アメリカのモーターサイクルの黄金時代を復刻しつつ、現代のテクノロジーと信頼性でトレール125が復活するのは素晴らしいことです」
2021年モデルのホンダ・トレール125は11月に北米リリース予定で、車体色は赤(グローイングレッド)のみ。価格は3899ドル(約41万4000円)となっている。
HONDA TRAIL 125 ABS[U.S. 2021 model]
ここで北米市場におけるハンターカブの系譜をざっくりおさらい。北米で1961年に発売されたCA100Tトレール50は49ccのOHV単気筒エンジンを搭載。5psの最高出力と3速ミッションで17インチホイールを駆動した。その後5ccの排気量アップや厚みのあるシート、アップマフラーなどのアップデートが施され、市場では「ハンターカブ」の愛称が付けられた。
1964年に発売されたCT200トレール90は、87ccエンジンに4速ミッションを搭載。ハイマウントインテークやアップマフラーを備え、よりヘビーデューティに。2年後には車名がCT90トレール90となり多数のアップグレードが施された。1969年にテレスコピックフォーク導入、翌年には折り畳み式ハンドルバーが追加され、ピックアップトラックなどでの運搬がしやすくなった。1974年のウインカー追加により、アメリカ50州すべての公道でのライディングが合法となった。
一方、ミニバイクベースのCT70トレール70は1969年に導入され、1982年でいったん販売終了。1991年に復活して3年間販売された。
1981年には105ccのエンジンを搭載したCT110が発売された。最初の“トレール”シリーズ導入から20年後であり、この頃にCTのブランドはハンター、キャンパー、フィッシャーなどの間だけでなく、オフロードでの実用性と信頼性が評価され、経済的な農業用車両としても高い評価を得ていたという。
そして2019年、東京モーターショーでCT125のコンセプトモデルが発表され、2021年モデルのトレール125へとつながっていくわけだ。
【HONDA TRAIL 125 ABS[北米 2021 model]】主要諸元■全長77.2 全幅31.7 全高42.7 軸距49.4 シート高31.5(各インチ) 車重259ポンド(117.48kg)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ シリンダー前傾角80° 124.9cc 最高出力未発表 変速機4段 燃料タンク容量1.4ガロン(5.3L)■タイヤサイズF=80/90-17 R=80/90-17 ●北米価格:3899ドル(約41万4000円) ●色:赤 ●北米発売時期:2020年11月
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