長期戦の様相を呈している新型コロナウイルス。3密を避けるために小型スクーターの需要が各地で伸びている中、台湾からの魅力的なメーカーが上陸。通勤快速に最適なSYMの個性的なマシンを2回に分けて紹介する。後編はこの4台。■マキシムTL|ジョイマックスZ250|クルージム250|ジェットS
しばらく輸入がなかった台湾のSYMが再び日本に入ってくる…と聞いて、正直心ときめくというほどではなかった。悪口を言いたいワケではないが、ひと昔前のSYMは実用性と価格重視の製品が多く、"楽しさ"を重視[…]
マキシムTL:SYM初の2気筒エンジンを搭載
SYMはTMAXやAK550に代表されるマキシスクーターのジャンルにも進出。「マキシムTL」は、前後50:50の荷重配分、スイングアーム&チェーンドライブ(ライバルはベルトドライブ)など、マキシスクーターのセオリーを踏襲しており、キャラクターがスポーティ路線であることは明白。しかもこのマキシムTLのために、SYMは自社初となる2気筒エンジンを製作したというから、その気合の入り方は尋常ではない。ただ排気量はライバルたちよりも100ccほど低い465ccに設定。パワーとスピードでライバルたちに真っ向勝負は挑まず、ほどよいパワーで扱いやすさを優先させる戦略のようだ。
ジョイマックスZ250:税込50万円はかなりお買い得
フルフェイルヘルメットが2個入るシート下スペースに、トンガリ過ぎないデザインなど…。ビジネスシーンにも使いやすいコンパクト250ccスクーターの「ジョイマックスZ250」。日本のビッグスクーターをしっかり学んでいるのだろう。760mmのシートはもともと足着き性がいい上に、ステップボードのまたがり部にエグレを設けて足着き性をさらにアップ。一方で2段階調整式のスクリーンやUSB電源の確保など、本当に日本の”ビグスク”を研究しており、いいところは取り入れ、足りないところは補った、そんな丁寧な作り込みがなされている。
【日本のスクーターより日本らしい乗り味】最近のビッグスクーターは、ヨーロッパ市場を当て込み、どんどん腰高でスポーティ路線のスクーターになっていく傾向が強い。それもあるのだろうか、ジョイマックスZ250で走り出すと、すごく懐かしかった。一世代前のフォルツァやスカイウェイブシリーズに通じる“ビグスク”フィーリングを多分に感じるのだ。肩ひじ貼らずに気楽に乗れるポジションは、懐かしの “あんちゃん乗り”も可能で、車体はフレームもサスも柔らかめでとにかくコンフォート。スポーツ性を求めるよりも、まず何よりも快適であることを第一にするジャパンスクーターのお手本のような乗り味だ。
クルージム250:GT仕様のライバルはBMW?
エンジンはジョイマックスZ250と共通のようだが、こちらは税込約65万円と価格にかなり差がつけられた「クルージム250」。キャラクターはグランツーリスモ的なツーリング要素が強められており、エクステリアのデザインや質感はもとより、シートも高級な仕上げが施されている。また機能面では、ジョイマックスZ250よりもステップボードが長めとなっており、ゆったりとしたポジションでツーリングを楽しめるようになっている。
【重厚感があるロングツーリング仕様】ジョイマックスZ250とエンジンもタイヤサイズも同じなのだが、乗り比べてみると、クルージム250にはBMW C400系に通じるようなどっしりとした安定感がある。シート高にして2cmアップ、重さにして10kg増しているのは確かなのだが、完全にツアラー系の直進安定性重視キャラクターに仕立てられている。
ジェットS:見た目どおりの通勤快速
コンパクトな車体に加速のいい125ccのエンジンを積む”通勤快速”と言って、思い浮かぶのはスズキのアドレスシリーズだろう。ジェットSのライバルはもちろんそのアドレス。ホイールベースは1286mmと短めで重さも129kgと軽く、前後12インチのタイヤは混雑した道路でもキビキビ走ってくれる。当然、ライバルと同じステップスルーを採用。薄型の段ボールなら置ける上、乗り降りしやすいよう低めの高さに設定されている。
【2段加速が懐かしい】まさに通勤快速。アクセル全開でスパッと飛び出すシグナルダッシュがなかなか楽しい。中速域からまるでギヤを1速落とした(存在しないが)ように加速が伸びて、ピンクナンバーのライバル達の前へスイッとおどり出る。この加速フィーリングは、ひと昔前の通勤快速のあいつと同じ! こんなところまでマネしなくても…、と思うのだがそれがいい。
●文:谷田貝洋暁 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
しばらく輸入がなかった台湾のSYMが再び日本に入ってくる…と聞いて、正直心ときめくというほどではなかった。悪口を言いたいワケではないが、ひと昔前のSYMは実用性と価格重視の製品が多く、"楽しさ"を重視[…]
物心ついてから、ずっとレースをしてきました。だからいつも忙しくて、のんびりしたことがありません……。 でも、さすがにこの新型コロナ禍の影響でレースも開催されず、練習も満足にできない日々。時間があること[…]
近藤スパ太郎[タレント/プロデューサー] 環境番組のパーソナリティを担当したことを機に、電動バイクの強烈なパワーにひと目ぼれ。俳優・MCの他、企画プロデューサー、芸能プロダクションSPANCHOOSの[…]
新型TMAX560は従来の530をベースに発展。しかし、エンジンは言うに及ばず車体各部も細部までリフレッシュ。タンデムライダーの快適性を考慮したテールまわりやエンジン冷却性に貢献するアンダーカウルの新[…]
なんだかすっかりオフロードづいている全日本ロードレーサーです(笑)。月イチぐらいのペースで行くオフロードコースで走らせているのは、友人から安く譲ってもらったCRF150R2。のびのびとバイクに乗れるっ[…]
最新の記事
- 価値ある中古車がわかる! リセール・プライスランキング50回記念イベントがバイク王世田谷本店で開催
- ZX-4RRターボ/グロム250etc…夢のマシン乗り心地は? 2024年度上半期試乗記事ランキングTOP5【Webヤングマシン】
- カワサキ新型「KLX230」「KLX230 S」登場! スタイリング一新で2年ぶりの復活
- カワサキが新型「KLX230 シェルパ」を発表!! KLX230シリーズに加わった“トレッキング”仕様
- 名車がスケールモデルで蘇る! ホンダCB400FOURが1/12完成品バイクとして登場
- 1
- 2