欧州でCBR1000RR-Rのプレス向けテストが行われた。なんとそこに、世界耐久選手権を戦うF.C.C. TSRホンダフランスのフレディ・フォレイ選手がゲスト参加。ル・マン24時間耐久に向けて本格テストをする前だというが、さっそくそのファーストインプレッションを聞いてみたぞ!
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「初代から、すべてのファイアーブレードに試乗している」 WGP500ccクラスで、フル参戦2年目となる1983年にケニー・ロバーツ氏との死闘を制して世界チャンピオンとなり、1985年には250ccと5[…]
世界チャンピオンによる最新CBR1000RR-Rのインプレッション!
昨秋のミラノショーでアンベールされ、217.6psという化け物じみたハイパワーや最新の電子制御、エアロダイナミクスなど注目すべき点は枚挙にいとまがない新型CBR1000RR-R。1993年の初代CBR900RRから掲げる「トータルコントロール」のコンセプトをサーキットでの勝利に振り向け、「最大限に操る楽しみと高いコントロール性を実現すれば、それが速いのだ」とばかりに、一気呵成にライバル勢を突き放す構えだ。
日本国内では車両の撮影のみ可能ではあったが、一部テストライダ―を除けば誰もまだ乗ったことがないというホットすぎる車両でもあり、欧州で先行して行われるプレス向け試乗会(日本では4月頃? を予想)を我々は忸怩たる思いで眺めるだけだった。
……はずだったのだが、この試乗会には日本国籍のチームとして初めて世界耐久選手権のタイトルを獲得したF.C.C. TSRホンダフランスのフレディ・フォレイ選手がゲスト参加すると聞き付け、チームにコンタクトを取ることに。そしてなんと、マシンの第一印象をコメントしてもらうことに成功したのだ。
本邦初公開、日本国内における最速のインプレッションをお届けしよう。
もはや従来型と比較することはできない、まったくの別世界
インプレッションは一問一答形式としたい。まずは第一声より――。
「みなさん、こんにちは。F.C.C. TSR Honda FranceのFreddy Forayです。カタールに来て新しいCBR1000RR-R Firebladeのプレゼンテーションに参加しました。このバイクに皆さん期待しているだろうと思います。まず、パワフルでとてもいいバイクだと言っておきましょう。シャーシは非常に強く、非常に簡単に乗ることができるし、必要に応じて電子制御のトラクションコントロールが働きます。これだよ、これ! 率直に言って、ホンダはとても素晴らしい仕事をしてくれたと思います! CBR1000RR-Rは非常に強力なバイクでありながら、とても乗りやすいので、次のル・マン24時間に向けたテストがとても楽しみです」
従来型のCBR1000RRと比べてレベルは何段階ぐらい上がったのだろうか?
「この新しいモデルと古いモデルを比較することはできません。なぜなら、これはもはや、まったくの別世界。真のレースバイクと言ってもいい。おそらくですが、他のレース用バイクと比較したほうが、もっと意味があるかもしれません」
比較対象はスーパーバイクのレーシングマシンということになるのだろう。ファクトリーレベルに近いマシンで世界耐久選手権を戦うフォレイ選手が言うのだから説得力がある。
さて、次の質問に行くとしよう。このバイクでは4速でメーター読み299km/hに達し、そこで世界で初めて膝と肘を擦ったと聞いた。……このことは、CBR1000RR-Rが非常に速く、よく曲がり、速いターンを可能にすることを意味している?
「エンジンは驚くべきパワーで、標準的なギアリングでも非常に強力です。フロントのフィーリングはとても良く、我々が普段乗っているレースバイクと同じようにフロントで多くのサポートをしてくれる。また、トラクションコントロールもとてもよく出来ていて、保安部品を外した市販車両の状態(レーシングECUなどを装着していない状態)でも電子制御は非常にうまく働いてくれています」
ハンドリングはどう違うのだろうか?
「最初の答えと重複するけれど、これは別モノ。このバイクに乗れば、レースバイクのようにライダーにとって多くの自信をもたらしてくれると思います」
ル・マン24時間レース以降、このマシンなら勝てると思いますか?
「思わなければ、ここで走りませんよ(笑)。まだマシンを煮詰めていく時間は必要ですが、その可能性への手応えが、このマシンにあると感じました!」
――現地ではスケジュールが立て込んでいたというが、ファーストインプレッションは無事にお届けできた。国内でのリリースも楽しみだ!
フレディ・フォレイ選手の走り
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HONDA CBR1000RR-R FIREBLADE/SP
主要諸元■全長2100 全幅745 全高1140 軸距1455 シート高830(各mm) 装備重量201kg■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 999cc 217.6ps/14500rpm 11.53kg-m/12500rpm 変速機6段 燃料タンク容量16.1L■キャスター24° トレール102mm ブレーキF=φ330mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ220mmディスク+2ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70ZR17 R=200/55ZR17 ※諸元は欧州仕様 ●国内予想価格:245万3000円/SP=278万3000円 ●色:トリコロール、黒(SP、STDとも) ●国内予想発売時期:2020年3月20日
写真提供 : (c) TSR/TECHNICAL SPORTS RACING
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