MotoGPの技術をフィードバック

’20ホンダCBR1000RR-Rエアロダイナミクス解説【RC213V譲りの技術で空力性能を向上】

CBR1000RR-R

2020年に登場するホンダCBR1000RR-Rは、速さを求めてMotoGPで培った技術をフィードバック。 実際にライダーが操縦している状況を考慮し、徹底した空力特性の向上が図られている。 ここでは前稿のスタイリング編で紹介したフェアリングがどのような効果を発揮しているのかについて紹介する。

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MotoGPフィードバックはエアロダイナミクスにも!

’20 CBR1000RR-Rの空気抵抗値はクラス最小の0.270を記録するが、それは優れたエアロダイナミックを表す指標のひとつに過ぎない。フェアリングには、空気抵抗の削減ばかりでなく、ハンドリング時に走行風が与える悪影響を低減するための工夫が随所に盛り込まれている。これらはなかなか数値化されるものではないが、細かい積み重ねによりRR-Rの旋回性アップを助けている。

CBR1000RR-R
ダクト内のウイングには翼と逆向きの迎え角がついていて、ダウンフォースを発生。一方空気抵抗がそれほど発生していないことが空力解析データの色分布からわかる。
CBR1000RR-R
(左)アッパーカウル上端両側のスリットは、旋回時にヨーおよびロール方向の空気抵抗を低減。(右)フロントフェンダーは、前輪から空気の流れを遠ざけてコーナリング性能の向上を狙う。
CBR1000RR-R
インナーリヤフェンダーは、ライダーの足に当たる走行風を低減しながら、リヤリフトを減らすデザイン。アンダーカウル後端は、後輪に当たる走行風を減らして空気抵抗削減効果を生みだしている

そしてフェアリングで注目を集めるのは、サイドカウルに設けられたダクトウイングだ。モトGPマシンのRC213V(’17〜’18年仕様)からフィードバックされた技術によりデザインされたこのウイング内蔵ボックスは、もちろん単なる飾りではなく、サーキットの速度域でダウンフォースを発生させ、加速時はウイリーを抑制。ブレーキング時やコーナー進入時の車体安定性向上にも貢献するという。4速までのフル加速が0.6秒速くなるというデータも記録されているのだ!

CBR1000RR-R
左右に短く前後に長いウイングが左右ダクト内に配置される。複雑な形状と角度の追求により、旋回時の挙動に影響を及ぼさない。
CBR1000RR-R
ボックス形状のダクトウイングは、日本では’17年5月31日に特許申請。これは、RC213Vマルケス車に装着される約2ヵ月前となる。
CBR1000RR-R
モトGPのホンダワークスチームは、2017年の第10戦チェコGPからマルク・マルケス車のフェアリングを変更。ここから2018年の第4戦スペインGPまで用いられたダクトウイングが、CBR1000RR-R用のルーツになっている(RC213Vの羽根はその後に巨大化)。

続いてはセンターラムエアダクトについて紹介

次稿では、’20 CBR1000RR-Rに対しホンダがついに導入したセンターラムエアダクトについて紹介する。お楽しみに。

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