隠れたロングセラー60年選手
ホンダ新型CT125への道 “ハンター”の系譜を辿る【’70年代〜現代のクロスカブへ】
- 2020/1/21
60年に迫る歴史を重ねてきたホンダCTシリーズ。歴代スーパーカブと共に歩みつつ、ハードな走りに応えるため独自の進化を遂げた、隠れロングセラー”ハンター”の系譜をひも解く。前稿の’60年代ラインナップ紹介に引き続き、本稿ではロングセラーとなったCT90(’66〜)から後継モデル・クロスカブ(’13〜)までを紹介する。
●まとめ:沼尾宏明 ●写真:真弓悟史、鶴身健 ●取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン
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CT90 TRAIL90[海外 ’66〜]革新メカを続々と投入
CT200のユニットをOHV→SOHC化したCT90(K0)が’66年にデビュー。同時に排気量を86.7→89.5ccへ高めた。他はほぼ同じ仕様だったが、翌年Wスプロケットの代わりにレバー操作ひとつで2次減速比を切り変えられる副変速機を追加。4速ミッションの実質8速化を実現した。さらに飛躍したのは’69年型のK1。フロントフォークをボトムリンク式→テレスコピック式とし、同時にサイドエアクリーナー+ハイマウント吸気ダクトを投入。高い評価を受け、’79年まで続くロングセラーとなった。

【HONDA CT90 TRAIL90】■全長1870 全幅695 全高1050 軸距1220 最低地上高165(各mm) 車重91kg(乾)■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ89.5cc 7ps/8500rpm 0.67kg-m/5000rpm 燃料タンク容量6.5L ■タイヤF=2.75-17 R=2.75-17※写真・諸元は’73年型

【スポーティな心臓に後方吸気を融合】心臓部はスポーツバイクのCS90がベース。’66〜’68は前向きのサイドドラフトキャブだったが、’69以降で後方吸気+アップタイプの導入口を採用。大柄な米国人には邪魔だったハンドル下エアクリーナーはシート左側に移設した。

北米で発行された’71年型K3のカタログ。(左上)大柄なライダーが山中を軽快に走る姿が印象的。(左下)K1からフレームカバーやフォークブーツを採用し、スタイルも洗練されている。(右)。「6000フィート(約1800m)以上の高山でもパワーが落ちないキャブレターを装備する」と説明されている。
CT110 TRAIL110[海外|国内 ’80〜]排気量を拡大、強心臓を積む決定版
’80年にCT90が110に進化し、北米と豪州で販売開始された。エンジンはほぼ専用設計で、ボアを2mm、ストロークを3.9mm拡大しカブ系最大の105ccに到達。初期型は副変速機を備えないが、不評のため翌’81年型から採用する。特に成功したのは豪州とニュージーランドで、農業や郵政用として’12年まで日本から供給され続けた。
2年間のみ日本仕様もラインナップ
’81年10月から国内でも市販されたが、惜しくも2年で販売終了した。コストダウンのため、副変速機がなく、ポイント点火の初期型がベースだった。

【HONDA CT110】■全長1905 全幅755 全高1050 軸距1220 最低地上高175(各mm) 車重87kg(乾)■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ105cc 7.6ps/7500rpm 0.85kg-m/6000rpm 燃料タンク容量5.5L ■タイヤF=2.75-17 R=2.75-17 ※諸元は’82国内仕様

【日本ではアウトドアイメージを強調】「ワークブーツ」に例えた国内のカタログ。時代の影響か、狩りの写真やハンターカブの名称はなく、アウトドア指向を強調している。当時は不人気車だったが、’90年代にブームとなり、多くの車両が逆輸入された。
CT110 POST OFFICE CUB[海外 ’81〜]信頼性を高めた豪州向け郵政仕様
現在、豪州には郵政仕様としてクロスカブが納入されるが、’12年までCT110を導入していた。STDとの相違点は、6→12V化した安定の電装系と、動きが滑らかなスプリング内蔵型のセリアーニ式フロントフォーク。別体式メーターも特徴だ。副変速機は非装備。

【HONDA CT110 POST OFFICE CUB】■全長1905 全幅755 全高1050 軸距1220 最低地上高175(各mm) 車重91.1kg(乾)■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 105cc 7ps/7500rpm ※写真、諸元は’05豪州仕様
HUNTER CUBRA[国内 ’97〜]CT風の純正パーツ群まで登場
’90年代後半になると、ハンターカブブームが一段と過熱化。そこでノーマルのカブをCT風にする純正アクセサリー「ハンターカブラ」が’97年にリリースされた。「カブラ」とは、カブ用の洒落たパーツシリーズで、CT風としてはアップマフラーやアンダーガード、前後大型キャリアなど8アイテムをリリース。
CROSS CUB[海外|国内 ’13〜]約30年ぶりの新作トレール
アドベンチャー人気が高まる中、’13年に初代クロスカブがデビュー。久々に登場したオフ風カブで、CTの後継的モデルと言える。ベースは、中国で生産された’12スーパーカブC110の豪州向け郵政仕様だ。外観は、ボディマウントのガード付きヘッドライトとレッグシールドが特徴。前後17インチにロングストロークサスを与え、車体はノーマルのカブより大柄だ。’18年、国内生産の2代目にバトンタッチした。

【HONDA CROSS CUB】■全長1945 全幅815 全高1150 軸距1225 シート高784 最低地上高155(各mm) 車重105kg(装備)■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ109cc 8ps/7500rpm 0.87kg-m/5500rpm 燃料タンク容量4.3L ■タイヤF=2.75-17 R=2.75-17 ※諸元は’13国内仕様