
タイで生産・販売されているヤマハXSR155がバイク館SOXを通じて日本上陸。兄貴分の900や700のネオレトロ感を忠実に再現したスモールXSRは、ルックスだけでなく走りまでもシリーズのDNAを継承していた。ツインスパーフレーム+倒立式フォークによる高い剛性と、動きのスムーズな足回りとの組み合わせによる素直な旋回性が印象的だ。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:真弓悟史 ●取材協力:バイク館SOX ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
[◯]乗り手の操作に応えるヤマハハンドリングだ
MT-09、特に初代のトリッキーに過ぎるハンドリングが好みではなかった私にとって、単に外装を着せ替えただけかと思っていたXSR900に試乗したときの衝撃は忘れられない。845ccの水冷トリプルは相変わらず元気が良すぎる傾向にあるものの、それに見合うだけのハードな足回りとなりトータルバランスが向上。ネオレトロなそのスタイルからは想像できないほど、積極的にスロットルを開けていけるキレのいい走りを手に入れていたのだ。
そんなスポーティなXSR像を抱いていただけに、排気量が小さいとはいえXSR155に対する期待値は決して低くはなかった。そして、試乗を終えた今、ルックスだけでなく走りまでもシリーズのDNAを継承してきたことに、素直に感心している。

【’19 YAMAHA XSR155 (THAILAND)】主要諸元 ■全長2000 全幅805 全高1080 軸距1330 シート高810(各mm) 車重134kg ■水冷4スト単気筒SOHC4バルブ 155cc 19.3ps/10000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量10L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70-17 R=140/70-17 ●価格:42万9000円 ●色:白×赤、灰、黒
ハンドリングは、ツインスパーフレーム+倒立式フォークによる高い剛性と、動きのスムーズな足回りとの組み合わせによる素直な旋回性が印象的だ。基本的にはニュートラルで扱いやすく、さらにそこから荷重移動や車体のピッチングを意識して操作すると、それに応じて旋回力が高まる。ライダーの技量の差に応じられるだけのポテンシャルを秘めており、気が付けば無心でワインディングを楽しんでいた。
前後のブレーキも、そうした走りに見合うだけの制動力とコントロール性を有している。パワーや車重の違いは大きいものの、ライディングフィールのベクトルは兄貴分のXSR900と共通といっていいだろう。なお、テスト時の燃費は38.7km/Lをマーク。なかなかに優秀だ。

【シリーズの末弟ながらクラスを超えた存在感】フレームはスチール製のツインスパー。ベースはMT-15だが、わざわざサイレンサーのデザインまで変更するなど、XSRシリーズ共通のイメージをこの排気量で忠実に再現している。なお、標準装着タイヤはIRCのトレイルウィナーだが、国内に流通しているGP-210ではなくGP-211となる。

シート高はMT-15と同じ810mmで、足着き性はご覧のおとり良好。絞り角の少ないバーハンドルによってXSRらしさを成立させている(身長175cm 体重62kg)。
【YZF-R15やMT-15と共通のハイメカエンジン】ソレノイドコイルによってピンを押し出し、吸気側のローカムとハイカムを切り替える可変バルブ機構VVA(バリアブル・バルブ・アクション)を採用。
XSR155にはアシスト&スリッパークラッチも導入されている。

【贅を尽くした足回りにタイの過熱ぶりを見る】倒立式フォークは車体色が白×赤のみアウターチューブがゴールドとなる。スイングアームはアルミ製で、リヤサスはリンク式モノショック。ブレーキは前後ともディスクで、ホイールはアルミキャストと、実に豪華な足回りだ。

兄貴分と同様にコックピットはブラックで統一。メーターもその例に漏れず、サークルデザインを採用する。可変バルブ機構が切り替わると”VVA”のアイコンが点灯する。
スタイリングの要であるタンクカバーも、シリーズ共通のイメージをうまく踏襲している。
シートのみ兄貴分とは異なりタックロールタイプを採用。よりクラシカルな雰囲気を演出。
[△]125が登場すればヒット間違いなし!
輸入元のバイク館SOXでは主要な純正パーツをストックしているようで、維持していく上での心配は少ない。だが、やはり多くの人が望むのは正規ラインナップ化だろう。排気量は155ccのままでもいいが、もし125が登場したらかなりヒットするはず。
[こんな人におすすめ]志の高さに感動。小排気量でも走りに妥協なし
小排気量=コミューターというイメージが強いが、これは155ccでありながら所有欲を満たすだけの質感があり、さらに走りにも光るものを秘める。このクラスのネオレトロが欲しかった人にとってはまさに朗報。購入はお早めに。
オートバイの写真をまとめて見る
あなたにおすすめの関連記事
ヤマハは8月17日、タイにおいて新型のネオクラシックモデル「XSR155」を発表した。ベースとなっているのは現地で販売されているMT-15で、兄貴分であるXSR900/XSR700と同じように、旧さだ[…]
'20ヤマハ欧州仕様のXSR900には、初代RZ250の黒をオマージュした新色の「80ブラック」が登場する。またXSR700のメイン車体色となるのは、900にも設定されたオールドレーサーイメージの新色[…]
EICMA2019のヤマハブースにおいて、ひときわ目を奪っていた1台のコンセプトモデル「XSR700 VIOLANTE」。先立って行われたデザインコンテストでの受賞を経て具現化されたもので、XT500[…]
2019春のモーターサイクルショーに登場した最新カスタムパーツをご紹介! ヤマハXSR900/700には純正クオリティのワイズギアだけでなく、欧州からも“ならでは”のパーツが上陸。スクランブラー風や街[…]
’07年にタイで創業し、現地では第3位の販売台数を誇るGPX。日本では4車種が販売されており、その中の最上位モデル・ジェントルマンレーサー200に試乗した。クラシカルなロケットカウルを身にまといながら[…]
最新の記事
- 1
- 2