事業者も利用者もうれしい。社会課題の改善にも寄与
平成18年(2006年)の道路法改正後に路上(歩道)への設置も増えた時間貸し駐車場が、今では利用が減り赤字になる場所もある(詳細は前稿)。旧来の駐車システムだと「現地に行ったら満車だった」ということも多く、利用しにくい点があることは確かだ。既存の駐車場の稼働率を上げることは事業者、ユーザーの双方にとって喫緊の課題のひとつとなっている。
一方、近年はインターネットを利用しての駐車場シェアリングサービスが急増。かく言う筆者も、バイクで都心に出かける時は一日で数か所を予約しておくことも珍しくないヘビーユーザーのひとりだ。こうしたサービスは3年前くらいから急激に増え、バイクを停められるスペースはまだ少ないものの、今後もますます増えていくと予想される。そこで今回は、3つの事業者に話を伺った。
駐車場シェアリングの現状
駐車場シェアの利点は、個人宅の軒先から既存駐車場の余ったスペースまで気軽に設定・公開できる点だ。「四輪と二輪でパズルを完成させるような使い方をされています(トメレタ)」というように、既存の四輪用駐車場の隙間に二輪用スペースを設けるといった活用が増えている。旧来のコインパーキングは機器の設置や送電の問題など初期投資が悩みの種だったが、駐車場シェアではスペースの確保だけでよく、施錠装置も必要ない。土地のオーナーや既存の事業者も参入しやすいのだ。
利用者としてもPCやスマホで予約(インターネット決済)するだけで確実な駐車ができ、現地で料金を支払う必要もないので実にスマートだ。日本二普協の駐車場案内や各種ナビアプリとも連携が進んでおり、認知も向上している。大きな問題も発生しておらず、バイク利用者によるトラブルや苦情も出ていないと言う。
シェアリングの今後
バイク利用者からのシェア駐車場増設の要望は多く、各社も前向きだ。「営業による駐車場獲得を中心に、渋滞や違法駐車への対策など自治体やスポーツチームとの提携も進めています(akippa)」と駐車場シェアがシェアリングエコノミーとして様々な社会課題の改善につながることも強みだ。
モビリティが多様化する将来、駐車はIoTによるスマート技術が基本となる可能性が高い。バイクの駐車環境改善にも期待できるだろう。
●文:田中淳麿(輪) ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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