第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

新設計エンジンを携え新アドベンチャーモデル登場

モト・グッツィ V85TT試乗インプレッション【モダンの中に伝統あり。冒険心をくすぐる秀作】

  • 2019/10/6
Motoguzzi V85 TT

イタリアのモトグッツィからステルビオ以来およそ10年ぶりにアドベンチャーモデルが登場。エンジンは伝統のクランク縦置き空冷OHV2バルブ90度Vツインで、排気量もV9シリーズと同じ853ccのままだが、完全新設計という力作だ。

(◯)新設計エンジンが秀逸。フレームも剛性感あり

イタリアのモトグッツィが、久しぶりにアドベンチャーモデルをラインナップに加えた。エンジンは伝統のクランク縦置き空冷OHV2バルブ90度Vツインで、排気量もV9シリーズと同じ853ccのまま。しかし、車体の強度メンバーとして使えるように新設計とされ、合わせてフレームも新作となっているのだ。

Motoguzzi V85 TT

主要諸元■全長2240 全幅950 全高ー 軸距1530 シート高830(各mm) 車重229kg(燃料90%搭載時) ■空冷4ストV型2気筒OHV2バルブ 853cc 80hp/7750rpm 8.2kg-m/5000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量21L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=110/80-19 R=150/70-17

Motoguzzi V85 TT

【パリダカ参戦マシンのV65TTをモチーフに誕生】車名のTTとはイタリア語でトゥット・テレーノ(英訳でオール・テレーン)の頭文字だ。ホイール径はフロント19/リヤ17インチで、フレームは高張力鋼管製だ。

V9シリーズの55hpに対し、同じ排気量から80hpを発揮するV85TTのエンジンは、実用域がとにかく広い。3750rpmで最大トルクの90%を発揮するだけあって、ほとんどのシチュエーションでは4000rpm以下で事足りるほど下に力がある。そこから上の領域では、振動が収斂しながらレッドゾーンに向かってスムーズに伸びていく。明確にレスポンスが変わるライディングモードを採用したり、それと連動するトラコンやABSなど、周辺デバイスは現代的になってはいるが、小太鼓を打っているかのような心地良い鼓動感は健在。加えて、コクッと吸い込まれるように入るシフトフィーリングや、400cc並みに操作力の軽いクラッチなど、新設計だけに各部の進化も著しく感動の連続だ。

Motoguzzi V85 TT

【新設計の縦置きV2はチタンバルブも採用】ボア×ストロークこそV9シリーズと共通だが完全新設計のクランク縦置き90度V型2気筒。前後長の短いクランクケース、セミドライサンプ、約30%軽量なクランクなどを採用。

シャーシもいい。フレームは最低地上高を稼ぐためアンダーループを省略しているが、大きな荷重が掛かる高速コーナーのギャップ通過時にも剛性不足は感じられず、ビシッとラインをトレースし続ける。ホイールトラベルは前後とも170mmと長めに確保されているが、通常の加減速におけるピッチングは少なめで、これが扱いやすさの源に。特に感心したのはシャフトドライブならではの症状、いわゆるスロットルのオンオフにおけるテールの上下動があまり感じられなかったこと。クランクケースの前後長を詰めてスイングアーム長を稼いだことが功を奏したようで、もちろん乗り心地も優秀だ。

Motoguzzi V85 TT

【伝統のシャフトドライブ採用。フロントフォークは倒立式だ】φ41mm倒立式フォーク、リザーバータンク付きリヤショックともプリロードと伸び側減衰力が調整可能。ホイールトラベルは前後とも170mmだ。フロントブレーキキャリパーはブレンボのラジアルマウント式。

ブレーキは、フロントにブレンボのラジアルマウント対向4ピストンキャリパーをダブルで装備。やや過剰かと思われたが、絶対制動力が高いだけでなくコントロール性も秀逸で、コンチネンタル製ABSと合わせて安心感の高い装備と言える。

Motoguzzi V85 TT

【USBポートやクルコンなどを標準装備する】スイッチ一つでシステムの起動から速度の増減まで可能なクルーズコントロールを搭載。充電用USBポートも。

Motoguzzi V85 TT

燃料タンクの造型は’80年代にパリダカに参戦したV65TTがモチーフ。容量は21Lを確保。

Motoguzzi V85 TT

試乗車は純正アクセサリーのツーリングウインドスクリーン(2万4840円)を装着(左)。純正アクセサリーのアルミ製トップ&パニアケースを用意する。3つ合わせての総容量は116Lだ(全セットで24万1920円、写真右)。

Motoguzzi V85 TT

【パワーモードも3種類を設定】スロットルレスポンスだけでなく、トラコンやABSの設定も連動。オフロードモードではリヤのABSをカットする。

Motoguzzi V85 TT

シート高は830㎜と高めだが、足着き性は決して悪くない。高速巡航、スタンディングともバランスは良好(身長175cm 体重62kg)。

Motoguzzi V85 TT

専用アプリで計測機器を拡張したり、電話の発着信などを可能とするモトグッツィの“MIA”(3万4128円)にも対応。

Motoguzzi V85 TT

●価格:スタンダードグラフィック(青、灰):139万8600円 プレミアムグラフィック(黄、赤):142万5600円 ●色:黄、赤、青、灰

(△)猛暑で熱ダレの症状も。左足の熱さは覚悟せよ

両ヒザのすぐ前にシリンダーがあるので、熱風が直撃するのは伝統とも言えるが、V85TTで気になったのは左足の熱さ。サイレンサーの熱が速度域を問わず周辺に対流するようで、途中からガニ股で走ることに。レザーパンツは必須だろう。

(結論)こんな人におすすめ:直接のライバルF750GSよりも味わいは上かも

試乗車の純正大型スクリーンは防風効果が高く、ケース類も使いやすかった。こうしたアクセサリー類の充実ぶりも魅力と言えるだろう。ライバルはBMW のF750GS あたりで、価格も近いが、エンジンの楽しさならV85TTが一枚上手か。

●まとめ: 大屋雄一 ●写真: 山内潤也
※取材協力:ピアッジオグループジャパン

※ヤングマシン2019年10月号掲載記事をベースに再構成

※本記事の内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

大屋雄一

大屋雄一

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紙面版にて厳正なる新製品テストを担当するベテランジャーナリスト。